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ちょっと危ない色艶都々逸
第1章 第2章 第3章
江戸の絵師と都都逸風日記 2010年
9月7日
ペナン遊帆(UFO)に戻りました。
4畳半もないこの空間は、最も使いやすく、過ごしやすい場所です。
ハーバーの2匹の猫のうち1匹だけになったそうですが、私の顔を見て「ニャ〜」と出迎えてくれました。
もう子猫ではなく、立派なレデイ猫です。
タイ 「バンコック王宮壁画より」
修復作業が進んでいるようで、絵も彩色しなおし綺麗にはっきりと見えます。
金彩は細かい筆で模様が中に描かれています。
この仏か神か分かりませんが、愛嬌があって好きです。
9月8日
ベトナムホーチミンにて
ベトナム戦争で散布された枯葉剤で、奇形の子供たちが生まれています。
人間は何故こんなに馬鹿で残酷な事が出来るのでしょう。
戦争の無くなる日が来る事を祈ります。
9月9日
タイ バンコック王宮壁画より
神様か悪魔か人を集めて食べているようです。
どこかの国の政治屋さんとダブって見えるのは私だけでしょうか?
政治屋さんは昔から妖怪の様なお顔の方が多かったような気がします。
9月10日
私がペナンに戻ったので、昨夜はマタマタ一杯飲み会でした。
明日からイスラム教徒はラマダンあけでお祭り(ハリラヤ)です。
お昼にモスリム友人宅に招待されおよばれに行きます。
タイ バンコック王宮壁画より
この神様は顔が四方八方向いています。
表情もとぼけた顔ですね。
手も10本もありますので、料理を作りながら、ご飯を食べ、洗い物をし、新聞読んで、背中や腹のかゆい所もかけるので便利でしょうね。
9月10日
昨夜0時がラマダン(断食あけ)で花火があちらこちらで揚がっていました。
花火とっても日本の花火の様に大きいものでなく、子供が遊ぶ打ち上げ花火です。
わたしの夢はペナンで日本の花火をあげてみたいという事ですが、マレーシア政府は花火の持ち込みを許可していないようです。
夢まだ遠しと言った所です。
葛飾北斎「 隅田川関屋の里」
絵の中の馬はスピード感がありますね。
本当に走っているように見えます
9月11日
昨日は モスリム友人アリの家でハリラヤに招待され、美味しいマレー料理を頂きました。
親戚友人を多く招待し、他の家の子供達もお年玉をもらいにハリラヤの挨拶に来ます。
昔懐かしい、日本の地蔵盆を思い出しました。
上村松園「娘」
ふっくらとして、優しい娘の表情が好きです。
ダイエットで骨皮になるのが美人と思っている現代日本女性に異を唱えます。
9月12日
どうやら日本は秋雨の季節になったようですね。
こちらは未だ夏のようです。
年中夏ですが。
鳥居清長「雨中湯帰り」
鳥居清長の女性の特徴は八頭身で面長なのですが、この3人の女性は面長とはいえませんね。
高下駄はいてスラリと伸びた白い足がチラリとみえます。
浮世絵師によってこの当時の風俗が描かれていて楽しくさせてくれます。
どんな着物で、着方をしていたのか、髪型から、アクセサリー、下駄、傘等。。。
9月13日
喜多川歌麿「扇屋花扇」
高級遊女で客と駆け落ちしますが直ぐに連れ戻されます。
私は各国それぞれに国の空気を感じますが、日本国がかごの鳥の様に感じるのは私だけでしょうか。
日本を出て各国で住んでみて初めて分かると思います
9月14日
日本はもう松茸なんですね。
思いだせば、クルージングに出て12年位松茸を食べた事がありません。
揚州周延(ちかのぶ)「清水上野守つま」
明治時代の浮世絵師の様です。
山の崖から落ちそうな牛を女性が角を掴んで引っ張り上げている面白い浮世絵です。
9月20日
国の頭も決まったようですが、大和国はオロチのいた国ですからね。
頭は沢山あっても胴は一つです。
勝川春英「高師直」
なんとなく情けなそうで、恨めしそうな表情です。
1枚の絵の中に、心の中をこんなに表現できるんですね。
9月16日
ペナンの自由の風を満喫、快調です。
日本は頭が決まったのに未だ先に明かりが見えないような。。。
上村松園「牡丹雪」
この人物を左下に置いた構図は降る雪の重さを表していると思います。
背を曲げ耐えて雪道を行く傘をさした女性は美しい。
9月17日
ペナンは来週、旧盆で町には各種月餅が売られています。
好きな卵の塩漬けのを一つ、胡桃等、ナッツ入りを一つ買ってきてお茶で食べています。
本当に、旨い!
歌川豊国「生け花を生ける娘」
奥に長キセルを持った女性がお師匠さんでしょうね。
道具もしゃれて、心にゆとりのある生活をしていたのでしょう。
9月18日
日本の夏は終りの様ですね。
蚊取り線香も蚊帳も必要ない日本になりましたね。
良くなったのやら悪くなったのやら。。
上村松園「蛍」
蚊帳を吊るそばに蛍が飛んできたのでしょう。
体をひねってみる姿、女性の柔らかさと優しさが出ています。
9月19日
ペナンはよい天気です。
明後日桟橋で満月鑑賞大パーテイを予定しています。
いつもの通り誰が来るか、何人来るか始まってみないと分かりません。
上村松園「つれづれ」
リラックスした表情と本を見つめ含み笑いをして、心豊かな若いお嬢さんですね。
髪の生え際の丁寧な描き方に驚かされます。
9月20日
鈴木晴信「菊慈童」
新しい浮世絵表現を追求した久しぶりの鈴木晴信です。
菊慈童とは中国の山で不老不死の薬水があるというので、行くとそこに綺麗な若い童子が出てきて、菊の葉の露を飲んだお陰で不老不死という。
中華料理では、菊の花びらを入れたお茶があり、喉に良いと飲まれています。
9月21日
葛飾北斎「酔余美人」
酔って箱に寄りかかるこんな美人を苦しめる悪い男の顔を見てみたいものです。
うつろな顔の表情と体の線が女性の可愛さを描いていると思います。
9月22日
昨夜は、雨も降らず、いつものように何人いたのか、いつ始まりいつ終ったのか分からない大パーテイになりました。
2年前私の仲間のヨットマンがタイで亡くなりましたが、彼がよく私に言っていた言葉です。
「あんたは、不自由の自由がええねんな」
船という不自由な空間でも自由を選ぶ私のスタイルを的を得た言葉だと思いました。
喜多川歌麿「踊り」
美人画専門の歌麿ですが、こんな洒脱な絵もいいですね。
三味線を弾き、扇子を持って踊る人の表情が楽しそうです。
9月23日
日本は嵐と雷があったそうですが、もうこれで、夏は終わりでしょうね。
ペナンは、雨季と乾季の区別があるだけです。
今は雨季です。
歌川国芳「天竺徳兵衛」
妖術を使って日本転覆を謀る難しそうな顔の徳兵衛とひょうきんな顔をした蝦蟇は可愛いく滑稽に見えます。
それで、国芳には申し訳ないが中華料理「蛙」を思い出してしまいました。
9月24日
潮州料理というのを、ご存知でしょうか?
中華系の人達で、福建人、潮州人共に中国南海岸方面に住んでいる人ですが、彼等は何世代も前からアジア各地に水上家屋を建て、密集して生活してきました。
その為、海鮮料理が多いのですが、味は薄味、日本人には一番合う中華料理ではないかと思っています
喜多川歌麿「高島屋おひさ」
うちわ片手に首をかしげ、着ている着物がすっきりとして粋です。
実在した美人だそうです。
9月25日
ヨットで夜に帆走すると、夜光虫はキラキラと引き波に光ります。
少し興ざめになるかもしれませんが、船内トイレは手動ポンプで海の水を循環させるしくみです。
それで、便器にもキラキラと夜光虫が光ります。
汚いものと一緒にされた夜光虫には申し訳なく思っています。
鳥居清長「九月漁火」
着物をぞろりと着ているのは籠の鳥の花魁達でしょうか。
遊郭の外に出る事が出来なかった彼女達は、文に自分の思いを託すしか方法が無かったのでしょう。
畳に拡げて読んでいるのは、男からの恋の便りなのかも知れません。
9月26日
ペナンは日中晴れ夕方に雨という雨季パターンです。
今日は椰子酒(ツバ 汚いって?)を飲みに行きます。
椰子の木を登って集めた新鮮な椰子酒は甘くて発酵も十分にしていないのでジュースといっても良い位です。
葛飾北斎「花和尚」
筋骨隆々錫杖を振り上げ悪人を懲らしめる瞬間を描いています。
銭塘江の潮音をきいて大悟し入寂したそうです。
私は毎日波の音を聞いているけれど悟れません。
9月27日
昨日 椰子酒を飲みましたが新しい飲み方を発見しました。
椰子酒に苦い黒ビールを2割程混ぜて飲むと美味かったです。
東洲斎写楽「嵐竜蔵の金貸石部金吉」
口を一文字にし、顎の角張と口元のしわで、金貸石部金吉の表情を良く表わしています。
9月28日
喜多川歌麿「栗持つ山姥と金太郎」
歌麿が山姥を描くとなまめかしい美女になるんですね。
金太郎に何かせがまれているのでしょう。
9月29日
ハーバーの猫も遊帆(UFO)に住みついています。
私の後を付き纏い足の間を抜けてくるので知らぬ間に蹴飛ばしたりします。
それで、この猫はゆうほキャットと呼ばれています。
今は、いいけど来年は友人の船を日本からペナンまで廻航しようかと思っていますので、半年程戻れないかもしれません。
まあ、先の事を心配してもしようがないね。
歌川国政「三味線糸替」
体を極端にひねって糸替えをしていますが、終われば調子を見ながら、ゆったりとした菅掻が聞こえてきそうです。
9月30日
私が遊帆(UFO)に戻って1カ月、ハーバーにいた猫がよく船にやってきていました。
あちらこちらに糞をするので、船のオーナー、クルーから苦情が来たのでしょう。
ハーバースタッフが猫をどこかへ持っていくようです。
日本のペットの猫なら、人間並みの扱いのようですが、こちらの野良猫は生きて行くのは厳しいでしょう。
人間社会も猫だけでなく、人間にとっても段々と住みにくい社会になっていくようです。
横山大観「叭叭鳥」
叭叭鳥のとまっているいるモミジの空間に凛とした緊張感があり、生き物に対する慈しみが描かれているようです。
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