トップページに戻る
4月日記へ 5月日記へ 6月日記へ 7月日記へ 8月日記へ
9月日記へ 10月日記へ 11月日記へ 12月日記へ

ちょっと危ない色艶都々逸
第1章 第2章 第3章


        江戸の絵師と都都逸風日記 2010年


8月1日
葛飾北斎「諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝」
滝の絵は北斎晩年に描かれたものが多いのではないかと勝手に思っています。
この滝も、デフォルメされていながら滝の流れ落ちる音を感じさせるような気がします。
止まる事なく流れ落ちる滝を見上げる旅人は北斎自身でないかと思います。




8月2日
鳥居清長「風俗東之錦 盆栽売り」     
鳥居清長の八頭身美人二人の着付けをみると一人は前に帯を結んでいます。
自由な結び方だったのでしょうね。
体をそらして女性の色気を感じさせます。
最近日本女性の生足ファッションより色気あると感じるのは私が年が行った所為でしょうか?




8月4日
最近は山で遭難する事故が多いですね。
自然は牙をむいたら、人間の事情など考えません。
航海中何日も時化た時など、「もう堪忍してか」 と頼んでも時化の神様は 「そんな事知らんもんね」 と言っています。

葛飾北斎「富嶽三十六景 山下白雨」
富士の姿が美しく、すそ野に雲が絡んでいます。
雲の下は雨が降っています。
北斎は実際の富士を見たまま描くのではなく、自分の頭の中の富士を描いているのが凄い所です。




8月5日
鈴木晴信「坐鋪八景 扇晴嵐」 
女性の普段の生活を描いた鈴木晴信です。
浮世絵に斬新なアイデアを持ち込み常識を破った絵師ではないかと思っています。
彼の絵は普通の女性の日常生活の可愛らしさ、洒落が描きこまれているように思います。




8月6日
歌川広重「両国花火」
江戸時代も船から花火を見ていたんですね。
その当時に生きていたら、やはり船に乗って花火を見ているだろうなと思いました。
私はいつかマレーシアペナンで日本の花火を打ち上げられたらというのが夢です。




8月7日
昨夜の琵琶湖花火大会は家族団体行動で花火開演から、見物場所のヨットハーバー着が30分もおくれましたが、後半の花火を満喫しました。
やはり花火はいいですね。
世界中の爆弾を花火に変える事ができたらと願う夜でした

歌川国貞「江戸自慢 洲崎廿六夜」

盥に入れて子供を行水をさせる逞しそうな母、周りに2匹の子犬が見上げています。
見ていて、ホットとする江戸の日常を描いた浮世絵です。
家族の繋がりが希薄になったと言われる現代日本、家族の原点を思い起こして貰いたいものです。




8月8日
今日は良いお天気で良かったです。
というのも、趣味人ヨットの仲間が徳島からヨットで淡路の富島港へ来て、一杯飲み会があるからです。
皆さん、初対面ですがヨット乗りは共通項があるので直ぐにうちとける事でしょう。
富島は今から50年前に明石から播但汽船で行けました。
今は船は通っていません。
この港もきれいな浜があり伝馬船を漕ぎ海に一日中潜って、キス、べら、ヒラメを銛でついた懐かしい所です。
野島断層(阪神大震災)でその当時の風景は残っていないでしょう。
今日は、その辺を見て歩くつもりです。

喜多川歌麿「扇屋内 花扇」

描かれている女性は 吉原遊郭の高級遊女 花扇ですが、客と駆け落ちしますが直ぐに連れ戻されます。
花扇にとって浮気も本気もなく命がけの駆け落ちだったのでしょう。




8月9日
歌川広重「深川洲崎十万坪」
上空から見ている鷲の構図が新鮮です。
逆に人間の住む深川が小さくチマチマとしたものに見えます。
広重は鷲の目を借りて、人間の卑小さを描き表わしたのではないでしょうか。




8月10日
高校時代に夢中で読んだ水滸伝の花和尚魯智深が好きです。
盗賊を退治しては自分が盗賊の首領になるという痛快さが気に入っています。
梁山泊の英雄達の中でも常に弱者側にいたのではないかと思っています。
そして最後は潮音を聞いて大悟するのですが、同じく潮音を日々聞いていても大悟しない私から見ると羨ましい。

葛飾北斎「花和尚」

筋骨隆々で禅杖を振り上げて悪人退治する瞬間を描いています。
睨みつける目からは悪は許さぬという気迫まで感じられます。




8月11日
「伝毛松筆・猿図」という中国画の猿です。
浮世絵とは違っていますが猿の表情が面白く、フワッとした毛並みも可愛らしくて好きです。




8月12日
好きなように生きてきた人生に悔いなしです。
人生良かったか悪かったかは自分が判断するもので、お金も地位も名誉も私には関係ありませんでした。

上村松園「盆踊り」

上村松園は江戸の絵師ではありませんが、登場してもらいました。
先祖の霊、餓鬼と亡者を送る盆踊りですが、何とも楽しそうに踊っています。




8月12日
葛飾北斎「深川万年橋下」
江戸時代の川船和船が描かれています。
川では魚を釣っています。
当時は綺麗な水で魚も豊富にいたのでしょうね。
句の下がよいのは今や勿論私です。




8月13日
歌川国政・三味線糸替
色香の匂う良い女が三味の糸替に集中している図です。
一度聞きたいものです。




8月14日
鳥居清長「真崎の月見図」

三人娘が床几で月をみながら 三味線でも弾くのでしょうか。
満月は高い位置にありますので結構夜更けと思われます。
夜はテレビを見て過ごすのが現代社会ですが、そんな時間までゆっくり月見とは贅沢な生活ですね。




8月15日
歌川国芳「狂画 かっぱのやきつぎ」

割れた皿をなおす「やきつぎ」屋という商売があったようです。
漫画のような表情の面白さに笑ってしまいます。




8月16日
東燕斎寛志「雪中美人図」

この絵師は「とうえんさい かんし」と読み、あまり有名ではありませんが、良い女を描いています。
体を不自然にそらした構図に女性の柔らかさを表現し、雪が降るのに絵に華やかさがあり好きです。




8月18日
葛飾北斎「夏の朝図」

北斎の肉筆画です。
顔を描かず鏡に描くという斬新なアイデアが素晴らしいと思います。




8月19日
上村松園「春風」

髪の生え際一本一本まで丁寧に描かれ、少し振り返るような姿に女性の優しさがあらわされていると思います。




8月20日
国民は選挙で何を選んだのでしょう。
その舵取りは国民の意思を反映せず、どうして迷走するのでしょう。
政治とは何でしょう?
今や政治家ではなく国民に突きつけられている問題だと思います。

・甘(管?)言あやつり 民釣りあげりゃ 泣きの諫言 気にならず

鳥居清麿倍「竹抜き五郎」

政治竹山の不要な竹を根こそぎ引っこ抜いてもらいたいという思いで句を付けました。




8月21日
10日後に日本を離れます。
人間生活するには、色々なものが必要な事は分ります。
私は必要と思っている物の大部分が要らないようなものであるような気がしています。

葛飾北斎「雁と歌仙」

北斎晩年の肉筆画と言われています。
歌仙に自分の姿を重ねているのでしょう。
飛んでいく雁を見つめ何を思っているのでしょう。




8月22日
喜多川歌麿「姿見七人化粧」

女性美の表現を追い求めた歌麿です。
鏡に映る顔を描く事で後ろ姿も見せるという方法です。
自分自身を見つめる姿はこの絵を見る人に色々な事を語っているような気がします。




8月23日
子供の時に追いかけた鬼ヤンマ、シオカラトンボの事を思い出しました。
川に行けばトンボのヤゴを見つけました。
今は琵琶湖で交尾したまま飛ぶトンボに気持ち良いだろうな等と考え、どんな気分か一度代わってもらいたいと思う妄想が未だ起こります。

葛飾北斎「桔梗に蜻蛉」

桔梗の花の構図が面白く、花が蜻蛉の方を向いて描かれていて、花は歓迎しているように思います。




8月25日
喜多川歌麿「浮気乃相」

お風呂上がりの女なのでしょうか、左胸を出し横を向いた姿は色気を感じます。
昔は浮気封じのおまじないがあったそうですが、この女性にかかっては効き目がありますでしょうか。




8月26日
浮世の国の舵取りは我が身に利する事ばかり考え、民の事を考えているようには思えませんが、その国の舵取り達を選んだのは我々であるという認識をもう一度持つ必要があります。
我々も我が身に利する事を鼻先にぶら下げられ大局を誤っていないかと。。。

葛飾北斎「木賊刈り」

昔 誘拐された息子といつか会える日が来ると信じ、木賊刈りをしていると、若い仏僧と出会うという話のようです。




8月29日
日本国内は政治迷走が続いていますが、私は明日から日本を離れます。
船に戻るまでベトナムとタイをぶらついてきますので、10日間程インターネットにつながる環境ではありません。
今、民主主義政治に、どう向き合うか我々自身が問われているのかもしれません。
自分の主張を通すだけでなく、沢山の違う意見をどのように昇華させる事ができるか国家から家庭まで求められているのかも。。

磯田湖竜斎「水仙に子犬」

耳を垂れた子犬達が寄り添って固まっています。
子犬の輪郭を1本の線で描かず、細かい線の寄り集まりで描き、毛のフサフサを表しています。



9月日記へ