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フィリッピンNo.7レポート ボホール島 サンジュエゴ祭 2000年7月
7月18日 修理用部品をカバン一杯に詰め(45kgsオーバー) ボホールに戻る。
今は雨季の為 よく雨が雷を伴い降ってくる。朝7時20分の関空行きリムジンバスに乗って、飛行機を2回乗り換え
船に一回 と タクシー2回で 目的地まで13時間で到着する。
ヨットと現代文明の乗り物のスピードの違いは比べるのが馬鹿らしいほど差があるのに
世界中の人がヨットを愛するのは理由があるからだろう。
いまさらここで理由を列記しなくとも 私のHPを読んで戴いている人は多分この筋の人達でしょうから
先刻御存知のはずである。
私の独断と偏見によると 大昔人間が最初に作った乗り物は船ではなかったかと思う。
陸地は時間をかけて歩いていくか動物の背中に乗っていけば目的地にいつか到着できたでしょうが、
川 あるいは海を前にして この向こうに行きたいと人類が懸命に考えた時 船を作り出したのではないか?
筏で組んだ船が先か 丸木をくりぬいた船が先かは、なんの研究もしていない私にはわかりませんが、
この様に 大昔から海を見たらこの先に行って見たいという衝動は先祖のDNAから続いて
私のDNAの中にも先祖からのプログラムの端くれが残っていて、しかとした理由もなく苦労の方が多い航海に
出て行くのかもしれない。
19日 Nealの連絡先Victoriaに電話をいれ 午後1時にホテルで会える様に伝言し両替に町まででかける。
ペソは引き続き安く 一万円で4000ペソになっていた。
トロピクスリゾートホテルのレストランで昼食をしていると
”背の高いアメリカ人があんたを待ってましたぜ”とウェイターが教えてくれる。
名前はわからなくても スキンヘッドの日本人とロングヘアーのアメリカ人で ウエイターも誰か分かっているらしい。
約束がどこかで食い違ったのだろう。 こうなれば一人で船の係留場所まで行こうと思いホテルの前で
トライシクルを待っていると なんとNealがバイクに乗ってきてバッタリ出会う。
遊帆 UFO は勿論無事に係留されていた。明日の満潮時に砂浜に揚げる予定だ。
今日はNealが家で泊まれとの事で じゃあ おじゃまするか、どこで泊っても私はOKだし Nealも気楽な一人住まいだ。
夜は家の周りの木に蛍が数千匹光っている。大袈裟ではなくこんなに群がっている蛍を見た事が無い。
クリスマスツリーより幻想的に見える。
英語でLighting Insectsというらしいが Nealもこんなに多くの蛍がいるのはめずらしいという。
ゆっくりとした音楽が流れ 実に映画のラブシーンの様に 雰囲気は最高だが 何故男2人だけなんや?
夜食はNealがスパゲッテイを作ってくれるが、どうやらVictoriaの下ごしらえ済みをあたためただけらしい。
Victoria(Neal)の家 Neal読書中 ベランダから海の絶景
20日 昨日の夜食のスパゲッテイを作る手つきがどうも危なっかしかったので朝食が心配だ。
案の定、ガスレンジに火をつける時に、つきにくいのか覗きこんでいたが 突然ボンと火がついた。
ニールは目を瞬かせて顔を手でなでているが、長い眉毛の先が焼けてチリチリになってしまっている。
”オ〜 デンジャラス。デンジャラス”とビックリしている。
私は 他人の不幸はこちらの幸福とばかり大笑いだ。
それにもめげず朝食は、またまたNeal手作りのスクランブルエッグだが 調味料を何も使っていないので味が無い。
ニールはしきりに美味くないからもう一度外で食べ直そういうが 私は 彼が眉毛焦がしながらつくってくれたものだし、
健康にはこの方がええし、 じゃまくさいし もったいないので食べてしまう。
今日から船をパングラウ島の南端のビーチで満潮を利用して揚げてドライブ修理するつもりだ。
タグビラランの港内から修理のビーチへ行く途中5Km位 水深3mの所を進んで行く。
底は丸見えでこちらはひやひやするがNealはダイジョウブ といってズンズン走らす。
よほどこの辺りの海をよく知っているらしい。
そういえば Nealの製作中の船の仕事振りを見ても元パイロットだけあって彼の完璧主義がでて感心させられっぱなしだ。
”ほんまに ええ仕事してますな”という感じだ。
今日は 船に泊って明日朝から ドライブ修理にかかる。
21日 潮が引いて船は完全に砂浜に立っている。
まずはドライブをバラバラにする。
1個所ピンが潮噛みで抜けない。
昼頃にNealが来たので 相談する。抜けない所だけ町の鉄工所へ持って行こうという事になり、車で町まで行く。
今日はこれで仕事は終わりだ。急ぐ必要は何も無いのだから。
今日もNealの家で 2人だけの時を過ごす事になった。 何だか ヘンな関係に思われそうだ。
しかしながら この家のロケーションは素晴らしい。
前に広がる海まるで映画のラブシーンに出てくる風景になっている。
電話 テレビは無く 静かな音楽と海の音以外は一切聞こえない。
海から10mくらいの崖に立っていて 村からも1Kmは入っているので回りに人家はない。
22日 朝7時干潮なので ロックシステムを考えて準備する。 この際に船底と船体掃除をするが3時間程で疲れてしまった。
昼にNealが迎えにきて 今日はボホール島あげてSandugo祭があり Street Dancingがあるという事で町に見学に行く。
午後2時からという事で ホテルのレストランで昼飯を食べ、ビールを飲みながら待つが 時間が来てもまだ来ない。
人々は大勢カンカン照りの道路に座って気長に待っている。
”Neal、 ストリートダンスて 阿波踊りみたいなもんか?それとも リオのカーニバルみたいに オネエチャンが
半裸で踊るのか?”
”私も始めてで良う分からんけど ボホールで 半裸のダンスは期待でけん。泳ぐときでもTシャツ着て泳ぐくらいやから”
”そもそも Sandugo祭て どこかの聖人か?”
”そやない Sandugoちゅうのは 始めてボホール島に来たスペイン人や”
勿論Nealは英語しかしゃべらないけど 一応こんな感じで説明してくれる。
結局 5時頃になって 最初のチームが昔の民族衣裳仮装行列で太鼓のリズムにのってやってきた。
男は褌に羽根飾りをつけ 手にはパドルを持ち全身に刺青を入れている。女は蓑のようなスカートにいたる所に
貝を着けていて、手には魚の籠を持っている。これを見ただけでもフィリッピン人は海洋民族だと言う事がよく分かる。
各地方単位でチームをつくって 衣装とダンスと音楽を競っているらしい。
一渡りチームが過ぎると 道端に大型トラックに大出力アンプを乗せ バンドがダンシングクウイーンを演奏を始める。
途端にでっかいオカマちゃんが群集の中で一人のって踊り出す。
周りは圧倒されてスペースができ踊るどころではない。
後ろにいた オカマ見習のオニイチャン?orオネエチャン?も先輩オカマの命令で踊り出す。
もう先輩のオカマちゃんはアンプの乗っている大型トラックの天井へ駆け上がり、 圧倒的大多数の冷たい視線を
ものともせず 腰を振って踊っている。
トラックまで揺れてダンスを始めている。
実にオカマちゃんの 一人舞台で度胸の良さは見あげたものだ。
やはり 男を捨て 女も捨てると こんなに ええ根性になるのかと感心する。
こちらも Nealと男二人そこそこのノリで楽しんだあと 次ぎは先ほどのダンスチームのコンテスト発表会場へ行く。
舞台では 司会者がチームの成績を発表し その度にあちらこちらで大歓声があがり 賞金を貰っている。
”Neal あそこの市長らしきハゲでデブのおっさんの横で 頭に王冠を乗せたかわいい子はVictoriaの娘やろ?”
”そや Melany(Victoriaの娘)や。この間 ミスボホールコンテストで 一番になったから この会場で
お披露目をかねて 賞品を渡してんねん”
ボホール島で 知人といえば NealとVictoriaの家族だけだが その娘がこんな晴の舞台にいると 我娘の様に
嬉しくなってしまう。
それにしても未だ16歳で 大勢の人前で堂々とした素振りは 立派を通り越している。
家で見る時は 全く目立たないし そんなに美人でもないが 人前でスポットライトをあびると 途端に光出す
何かを持っているのだろう。
今日はデジカメを忘れたのが悔やまれる。
23日 朝から ドライブを組みたてる。 プロペラシャフト ベアリング オイルシール等を新品に換える。
プロペラも純正品でアルミ製なので軽い為問題は起きないと思う。
ドライブを船体に取り付けた所で 潮が上がってきたので一応終わる。
明日からは ロックシステムを修理するのだが 取り寄せた部品は最初のシステムのままで片側を押さえるだけの
すぐ外れる装置なので 改良しなくてはならない。
今日の昼は Victoriaの娘の ミスボホール自前祝いで御近所を招待しての パーテイらしく お相伴に預かる。
昼からは ボホール始って以来の ドッグコンテストがあるらしく 娘のミスボホールの勢いを借りて、
Victoriaの家で10匹以上はいる犬の中から選んだ娘犬 ショウーテイ(足が短い為この名前になった)を
出す事になった。
”Neal ショウーテイは血統書無いし 何犬で出場するねん?”
”ボホールショートレッグドッグや” にやりと笑っている。
”新種やな”
会場は さすがにボホールで始めて開かれるだけあって 雑種犬が多く 我子かわいい贔屓目出場という状態だ。
飼い主が 犬を歩かせても あっちこっちの犬同士 吠えたり尻尾を巻いたりでコンテストにならない。
審判員も一人だけで 独断と偏見でテキパキと 1位 2位 3位を決めている。
どちらかというと ”どの犬でも大してかわらんもんね”という感じで真剣に悩んで順位を決めていない。
ショーテイ自身も ”私はそんなもんにでるより寝てるもんね”という感じで 寝転んで動こうとはしない。
そうこうしていると 夕立が来たら もうドッグコンテスト等ほったらかしで みんな一斉に家に帰ってしまう。
というような訳で ショウーテイにしたら 自分の順番がくる前に お流れになってほっとしたと思っているに違いない。
新種?ボホールショートレッグ 無理やり服を着せられたショウーテイ ”私は寝るほうがええもんね”
25日 取り寄せたロックシステムは危なっかしく問題ありそうなので 思いきって自分の考え通りワイヤーを引きロックする
方法に変更する。少し見栄えは悪いがこの方が確実に機能するしドライブのチルトアップもスムースで問題無い。
胡散臭い おっさん3人が来て バランガイキャップテンがあんたに会いたがっているので来てくれと言いに来た。
どうせお金の話しだろうが 一応 使者を送ってきては、ほっとくわけにいかず バランガイキャップテン(村長)
に会いにいく。
やはり 船を泊めてるので係留費が欲しい。ついては 200ペソ/日でどうやとの話しだ。
今後の事もあり 海は公共のもので個人のものではないから係留費としては払えない。しかし 村の人たちに
感謝料は 払う用意があるが金額はこちらで決めると話し合いは終わる。
29日 村の人に感謝料として全部で500ペソを支払う。
5〜6人が手を振って別れを惜しんでくれるのを後に今日の満潮08:00に浜辺から離れる。
ドライブも静かに回り振動も無く、シャフトからオイル漏れも無くなったようだ。
途中 セーリングにしてドライブを引き上げたり降ろしたりするがスムースで確実にロックできる。
もう一度 前回と同じ川のところに係留しに入る。
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