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   52番 ペナン で ダラダラ  2004年2月〜3月

2月12日 ランカウイのクアへ遊帆UFOを廻して、税関とハーバーオフィースで手続きを終える。
     あちらこちらの町並みでシャッターの降りている店が多い。
     立派な建物内のテナントのオネエチャン達も暇そうに腰掛けて足をブラブラさせながらお喋りに夢中である。
     タイと違って声をかけてくるほど商売熱心さはない。
     殆ど食堂かみやげ物、服、金等を扱う店であり、どこの店も決まったように同じ品揃えである。
     どうやら、仕入れは何処か大手で卸したものを小売しているだけで、お客の好みにより品物を揃えるとか、
     他の店より値段を安く売る方法を考えたりする努力はなさそうである。
     レストランはマレー料理が多く、所々に中華料理があり、イタリア、ドイツ、フランス、日本式レストランはなかなか
     見つける事が難しい。
     モスリムの国なので酒も置いていない。(中華レストランにはビールがある)
     食事が終ったらさっさと寝る以外は方法がない。
     バー、デイスコ、クラブ等は一切無しの品行方正タウンである。
     ランカウイはマハテイールの可愛い出来の悪い息子という気がしてならない。
     マハテイールの肝煎りでマレー人優先で援助、保護されながら、暫くすると利益が出ないので店を
     たたんでしまうようである。


     他に見る所もないので、モスリムのマチコ巻きスカーフを眺めて独断と偏見による研究は次のようである。
     一番多い色が白であるが、黒もあり、綺麗な花柄のプリント地もある。
     中には多分エルメスのプリント柄スカーフらしきものまである。
     三角に折って額の所にどうやらプラスチックの庇を入れているようである。
     次に巻き方であるが、一番多いのが首に巻いて両端を後に廻している形である。
     最もおとなしそうな巻き方は、両端を前に降ろし、顎の下で安全ピンで留めている形で女学生に多いようである。
     チョット派手な巻き方は片方を真後ろに安全ピンで留め、片方を前に降ろしたり後に巻いたりする形である。
     共通していえる事は顔を小さく見せる為にスカーフをギリギリまで前に持ってくることのようである。
     服装は、洋服も多いが、マレー伝統衣装を着ていると、ダブついている上に殆ど地面を引きずる程のスカート?
     をはいているので体の線も殆どわからず、モスリムの女性にはメリットが多いかもしれない
     男の方は錯覚を起こさないように、想像をたくましくして、見えている所から太っているかやせているか、
     足が長いか短いか、出るところはでて、凹むべきところはそうなっているか、等と考えなくてはならない。
     モスリムのある派は目だけ出している為、顔を見るチャンスはベールを取ってお祈りする時だけらしい。
     そのお祈りも男女別の部屋なので、若い男の努力は大変なものであろう。
     日本の様に男女交際が自由ではないから、公の場でデートをする事もできないし、手でも触ったら
     ”ハイ、結婚よ”と言われそうで、男は気合を入れてワンチャンスにかける事になるのであろうか。
     モスリムでは、結婚後、奥さんを何人も貰う事が出来ると聞いていたが、実情はチョト難しそうである。
     必ず第一婦人の許可が必要で、また、生活費等は全て第一婦人から渡される様な事を聞いた。
     そうなると、第一婦人が嫌になったから、隠れてチョット次を考えるかという安易な事では済まされない事になる。
     ということで、一見男女差別がありそうでいながらモスリムは意外と女性にとって都合の良い良い宗教なのかも知れない。
     男は、酒と浮気を封じられ一日5〜6回お祈りをしなければならず他に目移りする暇もない。
     宗教をこの様にメリット、デメリットの問題で考えたり、頭から神様を疑ったり、試してみたりしようとする、
     不埒な私にアッラーの神様は何と答えてくれるだろう。
     一度この世でもあの世でもいいから、会ってみたいものである。

     ランカウイを午前10時頃出港、ペナンに向かう。
     風は12〜15ノット、アビーム、波は2M程で 白波が立っている。
     外海にでると、エンジンを切り、セーリングにし、メイン、ジブ、インナーを開き、テストをする。
     15ノット位吹いてくると、ジブ60%位にし、インナーと両翼になり、バランスも良く、4〜6ノットのスピードが出る。
     安全の為ランニングバックステイを後から曳く。
     ペナンクオさんのアンカーリングポジションまで65マイルある。
     午後8時30分、ペナン港の北端の浮標(ここまで約50マイル)に到着する。
     ここからは大型本船と行き違ったり追い越されたりするので、機走にする。
     c−mapで現在位置をコンピュータの画面上で見ながら方向を選んでいるので、辺りは暗くても簡単である。
     最近、又、セーリングが面白くなってきたのである。
     
     昨夜(今夜?)は寝るのが遅く(早く?)午前3時頃に寝たので、久しぶりの朝寝坊で桟橋に上陸すると10時だった。
     久しぶりにクオさん、奥さん、インさん等と会うと、家に帰ってきたように感じられるのである。
     インさんにバイクを借りて、ジョージタウンへ行く。
     ランカウイと違って、中国人、インド人、マレー人、ヨーロッパ人とミックスである。
     早速、牛筋モツ煮込みシコシコ麺を食べながら、ここに鍵さんがいたらこの麺絶対気に入るのになと思いながら食べる。
     藤山直美(藤山かんびの娘?)に似たこの店のオネエチャンは顔を覚えていて、注文する前からもう作り始めている。
     前にも書いた様に、本来は茶室となっているので、飲み物を出す店に軒先を借りて藤山直美似のオネエチャンが
     店を出しているので、勘定は別々なのである。
     この麺を食べにくる客が飲み物を注文し、お茶を飲みに来る客が麺を食べるという持ちつ持たれつの
     関係になっている。
     茶室の主人にしたら、売れ筋の評判の物を出す屋台はお客を集めてくれるので大歓迎となるのである。
     ここら、中国人的発想であると関心する。
     この様な組み合わせでインド人と中国人のカップルで仲良くやっている店も沢山ある。
     職場の同僚と昼飯を食べに行っても宗教により食べるものが違う時等この寄せ集め食堂は非常に便利なのである。
     ランカウイがマハテイールの可愛い出来の悪い子とすると、ペナンは長年一人ほったらかしで苦労しながら
     自力で育ったハーフのまま子という感じである。
     どこか、自由の風が吹き町が面白く パワフルで楽しく 気に入りの町の一つである。
     ジョージタウンから帰って桟橋の上がった所の寄せ集め屋台で夕食を食べて帰ってくると、クオさんの
     奥さんが私を手招きで呼んでいる。
     ”この間、カンタンであなたと会ってから主人とバンコックまで車で旅行してきたの。”
     と、いいながら小さな鳥かごに木の小鳥が二匹止まっている物をバレンタインのプレゼントとしてくれる。
     手を叩いたりして音がすると、小鳥が鳴く仕掛けである。
     いつも一人ぼっちで寂しいだろうと思い小鳥のさえずりで少しは気を紛らわせる事が出来ると思ってくれたようである。
     ”あれ、バレンタインというのは、男からプレゼントするのやなかったかいな?それにいつの日がバレンタインや。”
     等と、年をとっても女性からのプレゼントには心が弾み、嬉しさの余り言っている事がわけが分からなくなる始末である。

     クオさんの桟橋を海側にスペースを広げている。
     材料は、廃材を使い、全て人力である。
     海側に柱を立てるのに、人が柱の上に登り揺らしながら大きなハンマーで叩いている。
     砂の中にドンドンと突き刺さっていく。
     柱が出来ると補強の板をボルトで留めてしっかりとした縁台を作っている。
     随所に色んな知恵を出して進めていて、見ていて成る程と感心するのである。
     ”クオさん、こんなに広くしてどうするの?”
     ”甥にバンドマンがいるからここでミュージックを演奏しながらバーベキューをしようかと思っている。”
     ”グッドミュージックにグッドフード、もう一つ、グッドガールも忘れないでね。”
     ”勿論だよ。”
     冗談とも本気とも分からない返事であった。

    去年、カンタンで歯の金冠がはずれて、日本に帰ったときに直そうと歯医者に行ったのだが、
     その時はどういう訳か医者がペンチみたいなもので掴んではずそうとしてもはずれない。
     ”無理しないで取れたときに又来てください。”
     そうこうしているうちに、タイへ戻ってしまったのである。
     現在は入れ歯安定剤をつけて、止めているが1日で取れてしまうのである。
     そこでクオさんの知り合いの歯医者の場所を教えてもらうのに、一緒に彼の車に乗りペナンの南側の町を走った。
     ペナンはジョージタウンを中心に、北側フェリンギ海岸沿いに観光客用ホテルリゾートが立ち並び、
     南側は工場地帯になっている。
     モトローラ、シーゲイト、ホンダ、その他外国企業の工場が東南側に立っていて、遊帆UFOもその辺にアンカーを
     降ろしている。
     ペナンは交通の要所で、又、労働力はマレーシア人だけでなくインドネシアからの労働者も多く、
     マレーシアの中では外国企業が進出し易そうである。
     日本通運、それに、この間御世話になった阪急交通社等が進出している所をみると、かなりの日本企業がここへ
     進出してきているのだろう。
     去年ここの海はゴミだらけだったのが、今年は非常に少なくなり、海も綺麗になっている。
     向かい側の島にもリゾートがオープンしている。
     海さえ綺麗になれば、ここは、いい海岸線が続いていて海水浴もできそうである。
     但し、モスリムの女性は肌を見せる事はできないので、流行るかどうかは分からないが。
     歯の事であるが、いつも一日一回磨いて安定剤を塗って又元の場所に納めるのが決まり事になっている。
     今日はトイレに座って、歯を磨きながらついでに入れ歯も磨いていたら、手元から金冠が滑り落ちてしまった。
     ”アッ シマッタ。”
     と、思うと同時にカラカラコンと軽やかな音を立てて何処かへ落ちてしまった。
     便器の外に落ちていてくれよ、と祈りながら懐中電灯で探しても見つからない。
     便器の内側を調べるとそれらしきものが見える。
     日本で買っておいた狭い所掴み器でそっと便器の中に入れ、掴みだす。
     ”アア、良かった。”流れていたらトイレ分解して探さないとならない所であった。
     再度、金冠を綺麗に磨き安定剤を塗って元の場所に納めて一件落着である。
     早く、どこかで入れ歯を直そうと思うのであった。

     今日の新聞にスマトラ島の北部というから、ペナンの西側(180マイル)であるが、海賊が貨物船を襲い
     乗組員を誘拐人質として身代金を要求、支払わないので乗組員が3〜4人殺された、という記事が載っていた。
     最近は、貨物船でもヨットでも襲うそうで、足の遅いヨットは絶好の餌食になるそうである。
     この地帯、スマトラ北部は反政府組織勢力が強く、海賊を捕まえる事が難しいらしいが、
     私としては、米海軍でも日の丸自衛艦でもこの辺を威嚇行動して貰いたい物である。
     そんな事を言っても、国家利益優先で個人&個企業レベルの安全等話にならないといわれるのが落ちだから、
     自分で始末するしかないのである。
     それなら 船検時、ライフジャケットも必要だけれど、この海域を航行する船は機関銃とハンデイロケット砲を
     装備してよろしい、等と自衛の手段を認めるべきである。
     戻ってくれば、預ければばよいのである。
     今はピストル1丁も許されないので、船の放水銃で対抗しようと訓練するらしいが、武器を持った海賊に
     放水銃ではお笑い草にもならない。
     これだけで、海賊に勝てるかどうかは分からないが少なくとも水鉄砲よりはましだし、
     黙って捕まり、身代金を要求されるよりは海賊一人でも道連れにした方が良い。
     2〜3度戦えば彼らも、日の丸の船はリスクが大きいから やめとこという事にならないだろうか。
     親の都合で、子供を丸裸にして、海賊に気をつけていきなさいよ。愛しているからね。
     と口先だけ言っている様なものである。
     この事はイラクへの自衛隊派遣と同じで、武器は小銃までとか色々と制限をつけるのは弾の飛んでこない国会で
     議論する無責任な机上の空論というやつではないか?
     国会で議論している御本人か息子でも自衛艦と一緒にイラクまで行かれてはいかがでしょうか?
     派遣するなら、責任をもってせめて自衛の為にはあらゆる武器の使用を認めるべきである。
     それが怖いのか信用ができないなら派遣を取りやめるべきである。
     日本もそれ相当の責任を負担しなければ、世界の仲間はずれになると脅され(本当はどうかわからない?
     ヨーロッパ、アメリカのヨッテイーに聞いても、そう言うのはブッシュだけ、世界中の国民はそんな事思っていない。)
     面子を立てる為に恐々派遣するというやり方は自衛隊員のリスクを強いながらあちらにもこちらにも八方美人に
     なろうとしているようなものである。
     無宗教の日本国家の特徴をイラクで生かすチャンスは自衛隊派遣以外にあったと私は思っている。
     アメリカ人に対するテロとなると、アメリカの方針ははっきりしていて、フィリッピンパラワンのリゾートで
     アブサヤフ君がアメリカ人を人質にして身代金要求したとき等、勿論、身代金は出さないで人質は殺された。
     (中国系フィリッピン人は、個人的に身代金を出して助かったらしい)
     その後、米軍が派遣され、アブサヤフ君の根城とする島々を攻撃していた。
     結果どうなったかは知らないが、アブサヤフ君も兄貴分のビンラーデイン氏があんな状態だから彼の所まで
     援助の手がまわらないだろうからジリ貧かヒョットすると掃討されてしまったかもしれない。
     日本も昔は、サムライやら農民も刀を持っていたが、それで現代社会より殺人事件が多かったとは思えない。
     刀を取り上げた理由は、反政府行動を抑える為にやったもので、大義名分は国民安全の為という
     いつもの誤魔化しである。
     武器さえ与えて置かなければ、反抗しても安全であると思い、村社会を作り、お互いの監視の下で責任と義務を
     個人に押し付け、お上のお達しを何でも受け入れる体制ができ、それが今でも残っているのである。
     例えば、戦時中の隣組で皆戦争に行くのだから私も仕方が無い等であり、現在でも、業界の自主規制 談合等、
     お上の意向を察して、村社会内で自分達で自主的に行うというお上にすればこの上も無い手間のかからない
     顔色を示すだけで済む有難い体制なのである。
     この体制に慣れ親しんで破る事ができないなら、逆にこの体制を利用すれば 明治初期の様に、優れた知性、
     道徳、理性、教養を備えた、スーパーマン政治家が現れて、日本を引っ張っていけば一気に変化する可能性がある。
     僅か50年前のマッカーサー実験でも明らかである。
     未だ日本は民主主義ではなく、お上の統治で全てが決まるので、トップに立つ指導者により大きく変化する可能性がある。
     所が現在の政治自体が村社会そのものであるのに笑わされてしまうのである。

     アンクル クオのアンカーリングポジション(005--21-369N 100-17-952E)から、ペナン大橋の付根に
     ある政府経営のヨットハーバー(005-21-369N 100-18-945E)へ移動する。
     ここは、モノハル艇なら50艇位は留められるポンツーン設備である。
     未だ、係船料はFreeで、水道代は10RM/月 電気代はメーターにより計算されるので遊帆UFOは10RM(300円)/月
     で、OKである。
     このハーバーは、マレーシア海上保安庁の船が置いてあり、安全面においてはこの辺りでは一番であろう。
     今は、ルデイのカタマラン(彼はここがオープンした去年の6月からズーと置いている)と、この間カンタンで
     一緒にいた、ENIGUMA(彼等には私がこの位置を教えた)それに主人の留守のヨットが3艇いる。
     マレーシアの金持ちのメガクラスヨットが4艇いて、常時クルーがメンテナンスしている。
     勿論、このてのメガヨットはお金はあるけど時間が無いタイプの人なのでパワーボートである。
     私の様に、時間はあるけどお金は無い人はセーリングボートで同じヨットでも全く違うのである。
     ここへのルートは、北上してくるのなら、ペナン島とPulau Jerejak島との間を通ってくれば問題無いが、
     ペナン大橋を越えて南下してくるなら、橋の付近は浅瀬が多いので、Pulau Jerejak島に近寄って
     進入してくるのが良いだろう。
     このハーバーは環境が良すぎて、何処にいくにも歩いては不便かもしれない。
     私は、自転車かデインギーで移動している。
     勿論ジョージタウンまで 出かければレンタバイク(10〜15RM/日)を借りる事ができる。
     このハーバーは長期留守にするには、絶好のハーバーでペナンからは何処へ行くのも交通の便は良い。

     ペナンは、チャイナタウンへ行くと飲茶の店がまだアチラコチラにある。
     ステンレスのワゴンに各種点心を乗せて売り歩くスタイルである。
     2年程前に香港へ寄った時、飲茶の店が随分と減っていた。
     香港も借地料が値上がりし、単価の安い飲茶では経営が苦しくなったからもしれない。
     飲茶は安い材料を手間暇かけて作りその割にはお客の回転は非常に悪そうである。
     オッサン5〜6人が大声で喋りながら、お茶を飲むばかりで、ワゴンを押して売り歩くオバサンが
     薦めても一向に食べようとしない。
     喋らないオッサンは新聞を隅から隅まで時間をかけてユックリと読んでいる。
     私の様に、売りに来るオバサンのものを片っ端から取ってパクパクたべても、10RM(300円)程である。
     この商売、半ば老人ホームか、町内集会所のようになっている。
     こんな所が日本にもあれば、孤独な老人は毎日100円程持って朝食を食べに行く所ができてよいだろう。
     神戸でも飲茶の店はあるが、勿論高級店である。
     結局、日本の老人は年金を貰って、物価が安く住み易い国へ集団海外脱走するしか方法が無いようである。
     しかし、もし年金生活老人が全体の1割も集団海外脱走したら、彼等の財産も移動する事になるのだから、
     金額にすれば大変な額になって、日本政府は見過ごせないので年金生活老人の海外渡航禁止措置
     或いは、海外持ち出し金額制限という事になるかもしれない。
     それでなくても、中高齢者の貯蓄の比率が多く、またこの層はお金を派手に使わないから、日本の景気が
     悪くなると言うような事をテレビで経済学者といわれる人がのたまわっていた。
     景気の悪い責任は我々中高齢者が金利ほぼ0%の貯蓄にもかかわらず貯めこみ、チビチビと使うからだそうである。
     日本の経済学者も勝手な事ばかり言うもんである。
     金利0%の泥棒金利政策をどうして批判しないのか、国民をバカにしているのである。
     どうせ日本国民は井の中の蛙、どれだけ金利を下げても、じっと我慢しているに違いないと看破しているらしい。
     海外預金にしたら、為替のリスクがありますよ等と脅かされ泣く泣く選択肢無しと言う人が殆どである。
     海外脱走するなら、その国の貨幣で生活するのだから、為替リスク等関係なしで金利も結構ついている。
     オーストラリアヨッテイーに日本の金利は0.00?%だよといったら、目を丸くし、それでも貯蓄率世界一だよ
     というと、肩をすくめるだけであった。

 20日 ENIGUMAのデインギーは、私と同じ様に後に大きな車輪をつけている。
     海岸に揚げる時に車輪を降ろして、曳いていくと引きずらないで軽々波の来ない所まで揚げられるのである。
     車輪を上げ下げする仕組みだが、私の場合、アルミニュームの支柱の端を中心にして上下の位置に穴を、
     開け、そこにステンレス棒を差し込み固定するという構造である。
     ステンレス棒の先端には抜けないように、ボールが埋め込んであり、これが中々穴から抜けにくく苦労するのである。
     所が、ENIGUMAのデインギーは、上下に切り込みがあるだけで差込穴はない。
     車輪を海中から引き上げるときはその切り込みの所に入れて、車輪の重みで固定すればよいが、
     下に降ろした時にどうやって固定するのかが分からない。
     ENIGUMAのビルに説明を求めると、実際に車輪を下に降ろして切り込みに入れてそれで落ちないで固定されている。
     ”成る程、車輪の浮力でロックされるのか。あんたは天才やな。”
     こんなに簡単で扱いやすい仕組みを考え出すビルに脱帽してしまった。
     早速、私のデインギーもシステム変更である。
     この様に、人の船を見ると思わぬアイデアに感心するのである。

     ここ4〜5日前から、夕方になると黒雲が出てきて雨が降り風が吹く。
     もう雨季に入りかけているのだろうか?
     チョット、早すぎるように思うが、雨は水の補給ができて、デッキが洗えて、且つ船内が冷やされて苦にならない、
     というよりも、歓迎の方である。
     唯、バイクに乗ってご飯を食べに行くのは面倒になるので、自炊になる。
     そういう時は、殆どスパゲッテイとパンで済ます。
     今日は、突然の事で材料が無いので、ニンニク&唐辛子をオリーブオイルで炒め、固形コンソメスープを
     溶かしたものに、セージ、胡椒、バジル、シーズニング等の香辛料を手当たり次第に入れて、
     クリーミーチーズを加えて、スパゲッテイと混ぜ合わせ出来上がりである。
     パンはオリーブオイルにニンニクを入れたものを塗って結構な味である。
     あとは、氷にマテニーを入れて豪華メニューである
     これに玉ねぎとベーコンを入れ、パルメザンチーズがあればレストランメニューになる所である。
     ここペナンでも大きなスパーマーケット カリフォーに行っても、ベーコンは良いものが無い。
     豚肉売り場コーナーはスーパー内に別にあり、インド人が豚肉だけレジーをしていて、スパーの本レジーは
     モスリムのオネエチャンなので、豚肉のパケージを見ると、客に自分で取れといってオネエチャンは触ろうともしない。
     知らん顔をしていたらどうするかと思ったら、籠を逆さまにしてコチラに渡すのには、参ってしまった。
     日本のスーパーなら上司が飛んできて叱られるだろうが、ここはモスリムの国、モスリム教義が第一で
     仕事、サービス、レジャー、政治まで全てはその教義の下にあるのである。
     そこまで徹底してモスリムを信じるなら立派なものでアッラーの神様も目をかけてくれるだろう。
     私が現役で仕事をしていた頃、インドネシアの原皮屋の社長がモスリムで、日本へ来たときに会ったのだが、
     インドネシア、ジャカルタではモスリムの教えに従って、酒は飲まなかったのに、日本へ来たら飲むのである。
     ”シャッチョウサン。あんたモスリムやで酒は飲んだらあかんのと違うか?”
     ”大丈夫、ここは日本だからアッラーの神様の目が届かないよ。”
     ”アッラーの神様の目より、あんたのカミサマの目が届かないからと違うか?”
     モスリムでも人様々である。

     このヨットハーバーは近くにマレー料理海鮮屋台が3軒程あるのだが、夜だけしかオープンしない。
     昼食、インターネットカフェ、買い物には不便な所なので、自転車に乗って、10Km程あるジョージタウンまで
     モーターバイクを借りに行った。
     去年から時々借りているインド人洗濯屋ジイサンの所である。
       参考情報:名前YAS 電話:016-481-2359 住所: 417A Chulia Street 110200 Penang
              電話を掛ければ、どこにでもバイクを持ってきてくれるそうである。
              短期なら15RM/日 位いうが、長期で借りると10RM/日でいけそうである。
     前にいたインド人のジイサンはいなくなって40〜50代の(インド人は年が良く分からない)のオッサンに代わっている。
     ”前にいたジイサンはどうした?”
     ”あのジイサンは薬中毒で更生中だよ。”
     ”じゃ、暫くは顔はみれんな。所でバイク10リンギット/日で頼むわ。”
     相場、15RMを11RMで契約し、乗ってきた自転車を折り畳んで、番号ロックで柱に縛り付ける。
     ”そんな鍵じゃダメ。ダメ。”
     彼が持ってきたのは太いチェーンと南京錠でそれで2重にロックする。
     ”バイク返すまで、責任持って預かっててや。”
     今日はペナン島の中心部山手の方を探検する事にして、勘でバイクを走らす。
     ペナンヒルという山頂までケーブルカーがあるのだが、去年事故を起こしたので現在修理中で
     ついでに乗り換えずに山頂まで行ける様に改造中との事である。
     この南に大きな寺院と観音像が小高い山頂に立っている。
     この寺は極楽寺といって、ペナン観光名所の目玉の様である。
     ガイドの案内で日本人観光客が訪れている。
     山裾に登り口があって道幅3m程の両側に土産物、T-シャツ、漢方薬 仏様グッズ、レストラン等が続いている。
     急な坂道で高度差200mはあるのではないか?
     赤や黄色の色が塗ってあって日本の寺院の荘厳というか、暗いイメージは無い。
     名前からして極楽寺なのであるから、派手な方が似合うのであろう。
     お釈迦様も綺麗に色が塗られていて、より人間的である。
     布袋様やら、悪魔をふみつけている仏様等、色んな仏像か、神様像が並べてある。
     現世御利益を求める中国人が好む寺様式である。
     ドンドンと南へ向かうと、15〜20階建のアパートが建設中であったり募集中である。
     看板を見ると300万〜500万円位の分譲価格のようである。
     見晴らしは良いし、周りに緑も多く住むのに良さそうな所である。
     20分程走ると南の海岸線へでて飛行場に突き当たる。
     飛行場を横切って、東側海岸線道路に沿って行くとクオさんの所とヨットハーバーに戻るのである。

     今日はペナンで一番背の高いビル コムターへ行く。
     百貨店とテナントで色々な店が入っている。
     中でも一番面白かったのは、レストランと化粧品屋に挟まれている店で、看板がHouse of condom
     と、絵入で書かれていて、エイズの防止の為にコンドームを使用しましょうと書いてある。
     店内は若いオネエチャンが二人お喋りしながら店番をしていて、商品は勿論、各種コンドーム
     セクシー下着、その他セックスグッズである。
     ここまでは、世界中にこの手の店はありそうで別に珍しくも無さそうだが、、その店の真ん中に
     何故かキャンデイーコーナーがある。
     普通この手の店は路地裏とかにありそうな物で年齢制限付きであるが、ここは有名テナント内にあるのである。
     そして、中学生位の女の子もキャンデイーが目当てか、興味本位のセックスグッズが目当てか
     分からないが、連れ立って堂々と入ってくるのである。
     しかし、ここはモスリムの国、セクシー下着のパッケージにプリントされている女性の乳首部分は
     黒く塗りつぶしている。
     性教育と病気予防にはコンドームに慣れしたんだ方が隠すより良いのかもしれない。
     次に、面白かったのは、”Pork Chop&Friend”と言う店で、名前の如く店内は豚の縫いぐるみ、
     豚の絵のT-シャツ、豚のコップ等、キテイーチャンの豚版と考えれば分かりやすい。
     日本人なら別に豚版があっても、犬版があっても不思議に思わないが、ここはモスリムの国、
     アッラーが毛嫌いしている豚と犬は御法度の筈。
     スーパーで豚の絵が描いてあるパッケージさえ触ろうとしない国民である。
     こういう逆境にもかかわらず、店内を豚で埋める心意気に感動するのであった。
     次に、日本式レストランであるが、1階にクルクル回る寿司屋がある。
     値段は、普通私がお昼に腹一杯食べる金額が、一皿2個乗った寿司である。
     3階には”元気ラーメン”と言う店があり、日本語で景気良く
     ”ラッシャイマーセ、ラシャイマーセ。”
     と、呼び込んでいる。
     こちら、ラーメンは10RM程で、福建蝦ラーメンの3倍位は高い。
     私は、どちらかと言うと味の点でも断然福建蝦ラーメンの方に軍配を揚げる。
     2階はレストランではなく、日本食品としてお菓子やらラーメンを売っているが、表は確かに
     日本語なのだが、メーカー名が韓国語で書かれていたり、そのままハングル文字で
     辛ラーメンとか書かれていたりする。
     要するに、韓国、日本はミックスで大差ないのである。
     タイでもそうであったが、日本語で書かれていると、高いけれど品質は良いというイメージが
     定着していてそれを利用しているようである。
     そのうち、品質は良いというのが抜け落ちて、高いというのだけ残ったら悲惨な事になるだろう。
     近い将来、メイド イン ジャパンはそんなイメージに変わるかも知れないのである。
  
     極楽寺の北側にペナンヒルへ登るケーブルカーがあるが、それは今は修理中である。
     そこから北側に公園があり、サルが住んでいる植物園がある。
     ペナンのサルはニホンザルに似て小型で顔も良く似ている。
     1匹のボスサルを中心に幾つもの群れをなしている。
     勿論、朝夕は運動の為に沢山の人が訪れているので、サルも人も折り合いをつけて慣れている。
     ここから、ペナンヒルまで歩いて登れる山道があり、約30分位で見晴らしの良い所までいけるそうなので、
     一応、挑戦してみる。
     大汗をかき、足はヨレヨレになりながら登っていく事30分、降りてくる人に頂上は未だですか?と聞くと、
     ”もう少し、後30分位です。”
     後未だ30分ではギブアップである。
     ヨレヨレの足で下ってきたのであった。
     ペナンは結構高い山があるが、ペナンの人に言わせると山ではなくヒルだという。
     私には、六甲山位に思えるのである。

    クオさんの友達で、飛行場の西側、丘(高度800mくらいはありそう)の頂上にタイ式海鮮料理の店が
     あるそうなので、試しに行く。
     クオさんの車でメイン道路から急な山道を登る事、10分未だ辺りは森である。
     こんな所は、特別の人しか知らないだろうから客も少ないと思っていると、家族連れ5組程が
     談笑しながら食事をしている。
     この丘にはここしかレストラン&建物は無く、遥か眼下に町並みと海岸線、小島が見え、風は山を上がってきて
     ひんやりとしている。
     1軒だけ10m程の木造船を改造して宿泊できるようになっている。
     木造船の内部はトイレ、シャワー 寝室があり屋上に上がると4畳半程のテラスになっている。
     1泊夕食付きで100RM程らしい。
     ここの主人のお客に日本人がいるそうで、携帯電話でその人を呼び出し私に喋れということである。
     その人は会社を退職して、3ヶ月間ペナンにいて2ヶ月間日本に帰るというパターンで、ゴルフと
     マッサージで毎日楽しんで日を過ごして居られるそうである。
     ペナン3ヶ月という事はビザの滞在有効期間で、それまでにビザ延長するか一度出国するかしなければならない。
     ペナンからタイの国境まで車では3時間もかからないし、毎日バスもでているから日本まで帰る必要は
     無いのであるが。。

     ENIGUMAはランカウイのレガッタ、ロイヤルランカウイレガッタ(3月始め)に参加する為に
     このヨットハーバーを出て行った。
      オランダの50フィート程あるトリマラン(2本マスト)も出港準備をしている。
     プーケットでは2月に毎年恒例のレガッタが行われ、そこから次にランカウイへ沢山のヨットが回ってくる。
     マハテイール首相杯も準備されている。
     私は、ダラダラセーラーなのでレースに興味は無い。
     大航海時代の帆船での戦闘では、他の船より速いということが勝利の第一条件だったのである。
     弾丸の届かない距離で、もし、距離を広げる事ができれば安全圏内に逃げられたのである。
     ランカウイはこの時期、陸上ではトライアスロン大会があり、世界中から参加している。
     去年、このトライアスロン大会に出くわしたが、日本からも大勢参加していた。
     サポーター&応援の為か1人に4〜5人は付いているので、飛行機をチャーターしても採算が取れる程
     のビッグイベントになっている。
     マハテイールの後押しで、年間色々と行事が企画されお客の呼び込みに熱心である。
     しかしながら、行事が終ると、水を引いたように観光客もいなくなり、元の静かな島に戻るのである。
     どちらかというと、私には静かな方が有難いのである。

     このヨットハーバーに始めからいるドイツ人のルデイーは、タイ人の奥さんと一緒に50ft程のカタマランに住んでいる。
     彼は、プロペラを半円形のステンレスカバーで囲いそれをラダーにして操船する方法を考え、10mほどの漁船に
     取り付け試乗船にして彼のカタマランの横に繋留している。
     ”この様にスクリューの上部をカバーすると効率が良くなるんだ。”
     とのご本人の推奨であるが、インさんに言わせると、
     ”あの船はスピードが出ないからあかん。
     漁船では、目的地に早く着く事が第一だから、それ以外の事には全く興味を示さない。
     私も、試しに乗ってみたが、ヤンマー3GMを3000rpmで15ノット程でているようであった。
     1800rpmになると、滑走状態でないので、5.5ノット位になる。
     遊帆UFOは1800rpm以上で走った事がないが、それでも5ノットと考えている。
     船型にも因るから彼のエンジンとプロペラシステムがメリットがあるのか無いのか分からない。
     彼は、マレーシアからタイに売り込みをしているそうだが、素人の私が判断しても難しそうである。
     クオさんの話では工場にこの製作費を未だ払っていないそうで、工場も困っているとの事である。
     遊帆UFOの隣に、イタリアから輸入した木造船30ftのオーナーが年齢、40代の中国系マレーシア人である。
     この船は木目が綺麗に出ているお洒落なパワーボートである。
     船体全部をカバーして、彼がいない時でも船内のエアーコンが作動している。
     ”人がいないのに、何故エアコンを動かしているの?”
     ”木造船だから、暑いマレーシアでは船に良くないので船の為にエアーコンを回しているので、燃料が高くつきますわ。”
     彼は、いつも船にきて船も出さずにデッキを磨いたりステンレスを磨いたりして船の為に働いていて、私と大違いである。
     もう一艇、モノハルヨット30ft程、オーナーはインド系マレー人で、アンクル クオのアンカーポジションで横にいた船である。
     この船は、クオさんの話では取引にトラブルがあってブローカーがこの人を探しているそうである。
     このオッサン人当たりはソフトで、年の頃30代であるが油断できない奴らしいので一応注意している。
     この様に、船に乗っている奴は色々と癖があって面白いのである。


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