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45番 プータロージジィになる
8月5日 帰国すると孫はもう生まれていた。
プータローオヤジからプータロージジイに昇格である。
この孫とは、どの様に付き合うか決めねばならない。
甘チャンジジイでいくか、友達ジジイでいくか、ヤンチャジジイでいくか時間はまだ、たっぷりある。
8月11日 毎年恒例大津花火大会が台風10号の為に今日になった。
ここの花火は、2時間位打ち上げる大規模なものである。
今日は、少し南からの風で何とか終わるまで天気も持つだろう。
柳が崎ヨットハーバーは花火鑑賞するには特等席である。
フィリッピン、ボンボノンで出会ったオーストラリア人夫婦、ビルとシルビアは
昨日から、琵琶湖に来て私の船に寝泊りしている。
彼等は、フィリッピンから石垣島、宮古島 鹿児島 ハウステンボス、和歌山へ
寄港して、来年はハワイへ向かうらしい。
”私達がもし、ハワイへ行ったら、寝泊りはビバチェ(48ftスチールケッチ)でできるよ。”
と、ビル。
”ヨットマンの計画は、変更されるのが常識やからな。来年一杯未だ 日本にいるのと違うか?”
と、私は聞いてみる。
”私は、ビルと別れて永久に日本にいるかもね”
という、シルビアの危ない発言が飛び出す。
ハーバーの近くにやまとの湯という風呂屋があり、みんなで風呂に入りに行く。
この風呂屋の屋上も花火を見るには特等席であるが、その時間帯は、予約の人だけ入れるらしい。
”シルビア。日本の女性は大根足で短いといわれてるのを知ってるか?”
”日本の女性はスリムで、綺麗よ。”
”それじゃ、今度、行く時はデジカメを持っていって見せてくれ。”
というビルの希望はかなえられる事はなっかった。
夜は、ワインとチーズとクラッカーを買ってくる。
去年から、花火打ち上げ時は、商業船以外、個人のモータボーと、ヨットは琵琶湖湖上に船を出すこともできなくなっている。
又、去年までは、桟橋の上で、座り込んで食べたり飲んだりできたのが、今年から船上だけとなったらしい。
一般の方からの苦情処理と事故防止の為というのがその理由らしい。
即ち、
1.一部の人達だけが桟橋を使用できて不公平である。
2.桟橋で酒を飲むのは、教育上良くない。
3.桟橋から落水すると、危険である。
というような、もっともらしい理由である。
数年前に明石花火大会の事故以後、主催者、警察の管理責任等が取り沙汰され、
どこでも、人の集まる所は規制ばかりである。
大津市内のレストラン、喫茶店などは、予約席のみとし、会場も予約席しか入れない。
日本には、今や自己責任という考えはなくなってしまった様である。
自分の身の処し方さえ、人に言われなくては出来なくなってしまったのか。
そんなに、日本人は情けない民族では無い筈である。
20日 船外機の中古を買いに堅田までJRに乗って行く。
私の自動車は、去年に処分してしまったので、今はバスと電車ばかりであるが、これが結構楽しいのである。
まず、時間制限無しの私は、時間待ち等一向に苦にならない。
かえって、本が読めるのが有難い位である。
JRに乗り座席に座って、本を読んでいると、車掌さんがやってきて私にしきりにぺこぺこしながら小声で話しかけてくる。
私は、検札かと思い切符を見せると、
”済みません。この車両は女性専用車両なんです。 ムニャ。ムニャ。。”
周りを見ると、確かに女性ばかりである。
慌てて、次の車両へ移動することになった。
インド編で、女性専用車両について書いたが、私はこれは女性差別であると思っている。
痴漢防止の為ということなのだろうが、犯罪にあえばその場で勇気を持って戦ってこそ、男女平等といえるのではないか。
これでは、始めから女性は弱いものなんですと、認めているようなものである。
日本の女性は、今や男性より強く逞しく自由人になっているのは、コギャルからオバチャンまでを見れば誰でも認めざるを得ない。
ギャルとオバチャンが座席をすばやく取りに行き空いた座席まで荷物を置いているのが減れば、
スローで遠慮勝ちな私にとっては少し嬉しい事ではある。
そう考えると、これは男性保護措置なのかもしれない。
男性専用車両なるものを作ってもらいたいもである。
29日 先週に続き今日も鮎を取りに行く。
木原さんに網打ちを習うが大きく拡げるのは大変難しい。
それでも、最初に網を打って小鮎が2匹取れたときは、ヨットでエンジンを切って帆走したときと同じ感動を感じた。
今まで私は釣りに関しては全く才能がないと諦めていたので、これで遊帆UFOに帰って、網で鰯やら鯖を
取れるかもしれないと思ったのである。
私と木原さんとの捕獲量は格段の差があるが、一応、天ぷら&飴ダキをするのに充分な量である。
夜になって、20人位集まって、とりあえず何とかのパーテイである。
蕎麦うち名人は、スジ肉と野菜のシチュウまで作ってくれる。
京都見物に行っていたビルとシルビアとその友達もビールを持って特別参加である。
彼らは、棒を使うだけで打ちあがる蕎麦打ちテクニックをまのあたりにみて驚いている。
棒と包丁と簡単な道具だけで平均に薄く延ばされ均一の太さに切りそろえる技術は、
何でも道具をつかう文化では驚異に思えるのだろう。
日本の強みは、自分の技にこだわる職人魂であるが最近はそんな職人は少なくなってしまった。
9月2日 中古マストを東京で見つけた。
木村さんの車で取りに行き、2分割して神戸まで運ぶ。
神戸からペナンまで船で運ぶ手配をする。
今回は、使えるかどうか分からないが一応3個ファーラーもあるので、ジブ、インナー、メインと全てファーラーにする積りである。
全てファーラーなら簡単にセールを巻き込む事が出来るので取り付けさえしっかりすれば一応安心である。
荷物のペナン到着は、プーケットからペナンまで遊帆UFOで行くので、10月半ばにお願いする。
12月まではマスト建だけして、孫を見に帰るつもりである。
9日 プサンから慶州&Taeguと懐かしい町へ気ままな旅をする。
慶州はあまり変わっていないが、Taeguはドンドンと町が変化している。
北朝鮮の美女軍団で注目をされた、ユニバシヤード会場はTaeguの町外れに新しく建設されていた。
日本の報道機関は、美女軍団ばかりを取り上げ、大会は何だったのかさっぱり分からない有様で、
相変わらず、報道機関に携わる人々の良識とセンスが疑われるばかりだった。
韓国全体から受ける印象は、日本より活気があるということだ。
物価は、あがっているがそれを超える景気活況で吸収しているらしい。
プサンヨットハーバーもパワーボートとヨットの数が随分と増えた。
今日の新聞に、マリンレジャーの伸びにもかかわらず、選択肢は韓国産ボートが無く、ステ−タスシンボル的な高価な輸入船
だけだったのが、来年から300万円以下の大衆を対象としたパワーボートの販売をするそうである。
日本にあるプレジャーボートの数と比較すると、人口比から見ても現状のプレジャーボートの数は、問題にならないほど
少ないもので、今後暫くはこの分野は伸びるだろう。
12日 久しぶりにイーテーウオンに行く。
何年か前は、日本人観光客が多かったのが、中近東、アフリカの人々が多くなっている。
それに合わせて、店も様変わりしている。
前は、日本人目当てのコピーのカバン、時計、等売る店と、カラオケが多かったが、
今は、スタンドオープンバーとタイ インドネシア インド イタリア フランスと各国料理の店があちらこちらにオープンしている。
前は呼び込みのニイチャンやらオッサンに
”シャッチョ サン”
と、呼び止められたものだが、今は異様な姿の私には誰も声をかけてくれなくなってしまったのである。
9日から3日間の間、東アジア 韓国 中国 等は、太陰暦の旧盆に当たっている。
日本と同じで民族大移動で高速道路は大変混み合っている。
首都ソールはその為に町全体が静かでタクシーの移動もスムースで結構な事である。
韓国は、町の至る所に大衆サウナ(300円)がある。
日本でいうと町の風呂屋である。
最近は、日本でも人気のあるスーパー銭湯みたいな一寸規模の大きな風呂屋もできている。
韓国人は、朝 早く入浴する人が多く夜は早く閉まってしまう。
内部はサウナとスチーム、冷水、温水 熱水風呂とあり、頼めば垢すり(1000円)もしてくれる。
久しぶりに垢すりを頼むと、顔は貴乃花そっくりで体を2回り程小さくしたニイチャンが腰に紐を巻き、それに手ぬぐいを
挟み込んで、フンドシ代わりにしたスタイルで30分程、力を入れて擦ってくれる。
垢は、黒い塊になってボロボロとでてくる。
ほんまに、これが自分の体にあったものかと考えると恐ろしいような、寂しいような気持ちになるのである。
体の表裏腕足は勿論、指の間、オチンチンの裏まで丁寧に垢すりをして、腰、背中をマッサージしてくれるのである。
風呂からあがると、体はサラサラ、スベスベして体重も軽くなったように思えるのである。
大抵仮眠室があり、そこで本を読みウトウトするのが天国である。
明日、バンコックへ飛ぶ予定だが、台風14号が行く手に待っている。
多分、明日になれば通り過ぎているだろうと楽観的に考えるいい加減な私なのである。
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