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     第90番 ペナンで独り言                2008年4月

4月 (マカオ、中国、香港旅行)
   今年の2月にマレーシア航空割引航空券フェアーで買っていたマカオ行きで飛行機に乗って
   3時間程経つと、飛行機が大揺れしだす。
   船でどんなに揺れても平気だが、飛行機は好きになれない。
   一応マカオ空港に着陸するが、外は大荒れで出発便は全て欠航らしい。
   空港から珠海(中国領)までタクシーで行くしかないが、この嵐でタクシーも来ない為
   待ち人で長い行列ができている。
   取りあえず並んで、位置を確保して皆さんの様子を探る。
   何やら中国語でワーワーと言っているので、
   ”どうした?何かタクシーに乗る方法あるか?”
   ”ヤミのミニバンがあるけど、250マカオ$とふっかけられてる。”
   ”私は国境ゲートへいきたいんやけど。”
   ”私もやから、半分の割り勘でどうや?”
   ”OK,125ドルだすわ”
   と言う事で一件落着で、国境ゲートに着く。
   ゲートは人で溢れている。
   いつの日か世界中の国境審査がなくなることがあっても、日本は最後まで残るだろう。
   中国は来る度に変わっていく。
   デパートには高級家具が並び、ブランドファッション物が並べられている。
   人々に購買意欲をわかせ、良い生活を求めて労働意欲を起こす。
   道路は整備され、町のあちらこちらで高いビルが建設中である。
   高度成長期の日本のようである。
   経済制度が実質資本主義の中国は貧富の差が大きく、それが中国自国の経済発展を
   支えている。
   いろんな国に行ったが、その日の食べ物が無い人が沢山いる。
   これは仕方がない事なのか、或いは何か世の中の仕組みがまちがっているのか私には
   分からない。
   
   (韓国ドラマ)
   カミサマとそのお友達の団体で韓国ドラマロケ地観光にいくが、天国の階段のロケ地の舞衣島へ
   行きたいので韓国ソール旅行社に交渉してくれとの事である。
   という事になると、黄さんにお願いするのが一番確実である。
   それで、私も黄さんが貸してくれた韓国ドラマ”天国の階段”を見る事にした。
   韓国ドラマは昔から良く知っているので半分馬鹿にしていたが、ドンドン、ストーリーに引きこまれていく。
   主役の崔智友、権相宇の熱演に何度も涙が出てくる始末である。
   成る程、日本のオバサマ方が嵌るのは分かるが、この愛をテーマにしたドラマを見て成果がある事を祈るのみである。
   現実の世界に戻った時に隣にいる旦那様に失望しないで貰いたいものである。
   見返りを期待しない愛、自己犠牲の愛に感動した筈だから。

   (マレーシアのホットパンツファッション)
   ハーバーからジャスコまで新しい道路がほぼ完成したが、この道は袋小路になっていて、利用するのは
   ハーバーにいる人か、マリン警察の人か位である為、殆どMy Roadである。
   舗装され植木が植えられ芝生が張られて、気分良く自転車でジャスコまで行くのである。
   最近、気がついたのは、マチコ巻が極端少なくなって、しかも、ホットパンツにヘソ出しファッションという
   お嬢さんが多いのである。
   アッラーには申し訳ないが、私の予言通り、女性の美を追求する欲望にモスリムの戒律は
   破られ、譲歩を余儀なくされるだろう。
   女性が肌を出すのは、男が欲望を思い出させる為に罪になるという見解らしいが、アッラー様考えが狭い事ないですか?
   美しくなりたいという願望はそんなに悪い事何でしょうか。
   もう一つの方法は、男の方がそんな欲望を起こさないように、厳しい修行を強いるしかないだろう。
   そんなに、厳しい修行は普通の男は望まないのでここでモスリムの指導者も考え所である。
   人は肉体があるのは当然でその肉体を隠したり、否定したりするのは不自然に思うのは私がスケベージジイだからなのか。
   神様は人の為にあるのであって、神様の為に人がいるのではないという私の考えである。

5月 左足の膝が痛くてどうしようもないので、サムに昼飯食べるついでに医者による様に頼む。
   マレー半島側に潮州人が集まっている市場で潮州料理を食べる。
   味はあっさりしていて日本人向きである。
   香港でもファンさんとよく潮州料理を食べに行った。
   お腹も一杯になって、個人外科医院にいく。
   中華系医者で日本語も少し喋り、丁寧に説明してくれる。
   診察の結果は痛風という事である。
   今まで痛風は足の親指関節にでていたが、今回は左肩と左足膝関節にでているらしい。
   ついでに、頭と顔のほくろのようなものも3個摘出してもらう事にした。
   これは皮膚癌の検査をするらしいが、長年あるものだから大丈夫の筈である。
   血圧も上180、下110と悪いので薬を飲むように言われる。
   高血圧と痛風は私と長年付き合っている馴染み深いものである。
   ”豆類も痛風によくないし、水を1日3リッター程飲んで下さい。”
   豆腐も駄目なら食べるものがなくなるし、そんなに沢山水も飲んでいられない。
   まあ、適当にごまかしながら、持病と付き合っていくしかないなと思うのである。

   マレー系オーナーの100ft程あるパワーボートにはミャンマー人2人、タイ人1人合計3人のクルーが
   常時メンテナンスをしている。
   夕方になると、彼等が釣った魚を持ってきてくれるので一緒に良くバーベキューをする。
   そのミャンマークルーの一人が最近のサイクロンで母国ミャンマーで沢山の人が死んだので、
   救助活動の援助金を集めに来た。
   ”ミャンマーは政府は何もしないし、今回こんなに被害がでたのも政府の責任だ”
   ”君達、母国から離れている人同士ネットワークがあるの?”
   ”私は、ペナンの南担当で、ジョージタウン、バタワースと各地で活動しています”
   ”日本は災害のデパートみたいな所で台風、地震、噴火、大雪その他なんでもあるけど、
    私のホームタウンの神戸地震の時、飛行機で日本に戻って神戸上空が火に包まれているのを
    見て、泣いたよ。あの時は、世界各地から援助があり、ボランチアの人々も沢山助けてくれたよ”
   自衛隊が空から救助していたら、もっと被害は少なかったかもしれないのに、馬鹿な法律に縛られて
   動かなかったが、そんな時こそ自分の責任で決断するのがトップであり、それさえできない
   官僚のトップは何の役にも立たないので、恥じて自ら進退をきめるべきだが、それを出きる程の人物なら
   そんな事にはならないだろう。
   私はミャンマーには未だ行った事がないので分からないが、タイに出稼ぎ或いは逃げ出してきている人の
   話を聞くと、政府を良く言う人はいない。
   中国が軍事政権を支持している背景は、中国がインド洋に出る事のできる川をミャンマーにあることも
   一つの理由ではないだろうか。
   遊帆UFOでインドに行って、インデペンデンスチベットの若い人達に会ったが、今回のチベット問題も
   世界各国が腰砕けになっている。
   日本政府は腫れ物に触るような扱いである。
   今後世界侵略は大砲の弾でもミサイルでもなく、貨幣或いは最も貨幣価値の高いものによるという事に
   なると思っている。
   中国という大きなマーケットを持った国に経済優先の旗印のもと、チベット問題を犠牲にしているのである。
   チベットは明らかに中国が侵略したのであって、私が上海で仕事をしていたころの中国愛国教育で育った
   人達は、その事すら知りはしない。
   現在、あの毛沢東語録を手にして各地でインテリを虐待し殺していった人達、或いは見てみぬ振りをしていた
   人達が、今の中国を動かしているのだから恐ろしいのである。

   先日摘出手j術した所の抜糸の為に医者に行く。
   ニコニコ顔で丁寧に挨拶し、握手までしてくれて、日本の医者のイメージとは違っている。
   ”前回の摘出した検査結果は3箇所とも皮膚癌ではありません。安心してください”
   脈を取り、血圧を測り、抜糸の説明を受ける。
   ”少し痛いです。すみません”
   料金は5RMで、ほんまにこれでええのかいなと、こちらが申し訳なく思うのである。
   お昼を食べに、この近くは潮州料理屋に行く。
   魚と細切り生姜のフライに、厚揚げと野菜の炒め物、2品を取って、デザートを食べる。
   ここは安くて、潮州料理では今のところ一番(5つ星)という評価をしている。

   同じハーバーにいるノルウエー夫婦のアヴィンとエバの船はもう何年も動いていない。
   最近デッキにステンレスパイプで骨組みを作り屋根を作ったが、今はデッキに板を張って
   フラットにしている。
   セーリングヨットからハウスボートに格上げ(?)で、これも一つの方法である。
   アヴィンはサックスフォーンとキーボードを演奏し、私が今回キーボードを買うのに適切なアドバイスを
   してくれた。
   エバは水着姿で殆ど1日中デッキで本を読んでいる。
   この夫婦を見ると、いい関係だなと羨ましくなるのである。
   彼等も孫がいて最近も顔を見に暫く帰っていた。
   基本的には同じだろうが、国によって恋人、夫婦、親子、兄弟愛の表現の仕方が少し違っているようである。
   韓国ドラマ”天国の階段”を見終わり、カミサマの推薦で”美しい日々”を見たが、
   英語で”I love you” 韓国語で”サランヘ”と日本語で”愛しています”がニュアンスが少し違うように思う。
   英語、韓国語は全ての状況に使えるが日本語は使える状況が狭いように思えるのである。
   例えば孫に対して”愛しています”と言うのが変に思うのは私がおかしいのであろうか?
   今度からは孫に”アイラブユー”と言って、
   ”意味は自分より大切だと思う時に使うんだよ”
   と、教えようと思っている。

   大西さんが久しぶりに日本に帰るので、ちょっと早い還暦祝いをカニ屋でする事にして、
   彼の数少ないお友達のChangさんとカニ屋の主人Tangさんも参加してもらう。
   人の出会いは面白いもので、私とカニ屋の主人Tangさんとは、ペナンに来た初めのころ、
   たまたま入って食事を終え、計算する時になって財布を忘れたのに気づいて、借りて帰ったのであり、
   Changさんは同じハーバーに船を置いているのだが、大西さんとたまたま競馬場であって、
   意気投合し友達になったのが始まりらしいが、カニ屋の主人TangさんとChangさんは古い友人なのである。
   決まり事のバースデイケーキと赤いパンツと焼酎を買ってきてプレゼントにする。
   遊帆UFOでパーテイに使う、チューブに入った電飾を飾りつける。
   これはルデイが珍しく何故か私にプレゼントしてくれたものである。
   準備は整って大西さんの現れるのを待つ。
   いつものようにウオッカをミネラルウオーターボトルに入れ替えたものを持ってフラフラとやってくる。
   ”大西さん、今日はちょっと早い還暦祝いするで”
   ”誕生日は、はよしたらあかんらしいで”
   少し、テレているのである。
   ”かまへん。大西さんはお友達が少ないから、ちょっと寂しいけどな”
   ビールに焼酎と食べるより、飲むのがメインコースなのはいつもの通りである。
   食事が終わった所で、カニ屋のインドネシア看板娘オネエチャン2人がバースデイケーキを持って
   登場し、ろうそくを立てハッピーバスデイソングを歌ってくれる。
   ”日本では60歳は還暦というて、生まれた干支になり赤ちゃんに戻ると言う意味があるねん”
   ”中国でも同じよ”
   大西さんもテレながらも喜んでくれたようである。
   還暦を迎えた我々はこの先は今まで生きてきた年より長い事はない。
   今生きている事に感謝というか、儲けた気分になれるように心がけている毎日である。

   

   ハーバーからジャスコへ行く新しい道路がほぼ完成したが、この道は袋小路になっていて、
   限られた人しか利用する価値がない。
   勿論、このハーバーにいるヨッテイ達は遠回りする必要がなく、税金も払っていないのに大いに
   利用させてもらっている。
   約2Km程の道に椰子と木、芝生が植えられ、殆ど車は通らないので、夕方になると子供達が
   自転車、スケートで遊んでいる。
   その先の浜辺は夕方から、恋人カップルや、ファミリーがバーベキューをしたり、遠浅の海に入って
   貝を拾ったり、網をうったりしている。
   フルムーンの今夜は明るく、ペナンマイロードを唄を歌いながら愛車をゆっくりこいで晩飯を食べに行く。
   日本は今月からガソリンが税金の為に値上げになったのに、デモもストライキもなかったようである。
   勿論、最近は日本のニュースを見ることも聞く事も無いのだが。
   今後、ガソリンが高くなれば、おとなしい日本人はどうするのだろう。
   燃費の良い小型車か、バイクか自転車に買い替え、或いは、バス、電車の利用という事になり、
   車の販売台数は大幅に減り、高速道路利用も減っていくだろう。
   世界中で一番沢山車を作っている日本で国内販売台数が減るという事は、中国、インドへシフトしていくに違いない。
   私のような終着駅に近づいている人間は、それでもかまわないが、日本経済は減速し、力を失っていくだろう。
   今の日本は、本当に必要な道路作りの為ではなく、道路賊政治屋と道路賊官僚と道路賊業者がお互いの
   利益の為に手を組んで税金を食い漁る構造になっている。
   外国より高額な料金のかかる物と情報の流れは、人間でいうなら高血圧で糖尿病を抱えたようなものである。
   満月のマイロードを自転車に乗って、子供や孫の世代の日本を心配する馬鹿なジジイなのである。
   
   ハーバーの繋留場所が無く、外でアンカーを打っている船は現在2艇だが、見慣れぬカタマラン(フォンテンパジョー2ft)
   がハーバーに近寄ってきてアンカーを降ろした。
   2人程乗っていて、テンダーで上陸し何処かへ行ってしまったが、夕方になって突風が吹いてきた。
   カタマランはアンカーが抜けてゆっくり流されペナン大橋の方に向かっている。
   ハーバーにいるセーラーは呼び合い、今直ぐ動ける船を捜す。
   2人ずつテンダーに乗り2隻が船に向かう。
   残りは受け取ったロープを引っ張り、イマージェンシージェッテイに寄せる。
   日頃、仲が悪くてもこういう時はは協力し合って迅速に動くのはやはり海の男達である。
   船はペナン大橋の橋げたに衝突する事なく、無事に桟橋に繋ぎとめたのである。
  
   天気が良ければ、夕方7時頃になるとサムかタッチが今晩は夕食を何にするか聞きに来る。
   この時間はサンセットゴールデンタイムと呼んでいて涼しくビールを飲みながら、無駄話するのが常である。
   今日は、食べ物の話である。
   ”私は食べるものは残っても捨てる事ができない。
    今、日本は経済大国とか言うけれど、子供の時は肉なんか無かったし、何か特別な日だけ
    鶏をしめてすき焼きするのがごちそうやったからね。”
   と、私が言うと、サム(中華系マレーシア)は
   ”私のオジイサンは、塩の塊を見ておかゆを1パイ、舐めておかゆを1パイというように食べたらしい。”
   私の息子位の年のサム、タッチ(タイ)、リタ(ビルマ)は、日本のそんな時代は知らない。
   戦争の無い今の時代に生まれた我々は本当にラッキーである。
   もし戦争中なら、彼等とこうして一緒に食事をしてグダグダと無駄話さえできない。
   ビールを片手に綺麗な夕焼を見ながら、ゴールデンタイムに感謝である。

   ”今晩はウエスタン料理を食べに行こう”
   と言う事になり、サムの軽自動車でタッチと3人でジョージタウンにある屋台へ向かう。
   ここの屋台は、マッシュルームクリームスープ、チキンコルドンブルー、ステーキが安くて旨いのである。
   しかし、道路が大変な渋滞である。
   最初は交通事故だろうと考えていたが、どこまでも、どの道も渋滞である。
   どこのガソリンスタンドも、大変な車の行列で、道路をふさいでいるのである。
   ”明日からガソリン値上げで今日中に満タンにしようと、みんなガソリンスタンドに来てるからや”
   と、中華系マレーシア人のサムの説明である。
   どこの国でも人の考えは同じである。
   今のガソリン価格は1リッター2リンギット弱(60円)位である。
   ”日本は200円位にもうすぐなるよ。”
   石油という限られた資源に世界中のお金が流れ込んでいる。
   石油に依存して経済発展を維持している今の地球上の人類はサッカーボールの上でこぼれた砂糖を
   探して右往左往している蟻のように見える。
   しかし、今更石器時代に戻る事もできない人類は新しい代替エネルギーか経済の仕組を考え実行する時が
   来ているようである。
   賢い人類は人間の限りない欲望をコントロールする方法を見つけるに違いない。
   そうでなければ、サッカーボールの上の蟻はいつかいなくなっている。

   6月
   遊帆UFOには私と、蜘蛛が1匹、ゲッコウ(ヤモリの種類)が1匹一緒に住み分けている。
   何故分かるかというと、夕方にゲッコウが名前の如く、”ゲッコウ、ゲッコウ”とデッキで鳴く。
   蜘蛛はその姿を時々、キャビン内やら、デッキで散歩しているのを見かけるのである。
   時々、ハエも侵入してくるが、出きるだけ手を出さずキャビンを暗くし、戸を開けて出て行ってもらう様にしているが、
   それでも、出て行かないハエには、最後通告をして、かっての剣道の達人の腕をもって成敗している。
   蚊には、この手は通用しないので、ヒットラーの得意手のガス室方式で殲滅している。
   船の周りには、魚を追って時々、トカゲが泳いでやってくる。
   今日は、桟橋の上から体長2mはありそうなトカゲが顔を水面からだし、前足(前手?)を背中の後ろに組み、
   体をクネクネさせながら、泳いでいるのに出くわした。
   ジッと睨んでガンを飛ばすと、殺気を感じたのか、前足を背中から外し水中でブレーキをかけ、
   ”オット、おまえさんは、何用あってガンをとばすんや”
   と、言う感じでジッと睨み返してくる。
   一瞬、戸惑ったようだが、
   ”こいつは大丈夫、たいした事ない”
   と思ったのか又、クネクネスイスイと後ろ手に組み、私を無視して泳いでいった。
   何故か大変人間臭い表情というか、態度を示すので実に可愛い奴である。

   昨日、エビ、アサリ、イカ、オデン、大根、葱等を買い、黄さんに味付けをお願いして、ミョンタン(辛い魚貝類の鍋)でパーテイをする。
   黄さんは、ベトナム料理で薄い米の皮で色んなものを巻いた春巻きを作ってくれる。
   結局、黄さんが男7人のオモニ(お母さん)役を引き受けることになる。
   李さんの青春時代は、私より少し年上なので韓国で仕事を始めた時代と重なっている。
   韓国経済発展の一番苦労の多い時代を生きてきた世代である。 
    35年位前から韓国と関わりを持ってきた私は現在の韓国若者を見ると、あんた達のアボジ、オモニがどれだけ苦労したか
   知ってるかと聞きたくなる。
   韓国の若者も日本の若者も同じであるが。。
   ”私は、志願してベトナム戦争に行ったけど、給料は本当に僅かだが、それでも普通の兵隊より良かったんです。
    私は、ある日軍幹部から呼び出され、特別警護についたが、それが直立不動で目だけしか動かす事が許されない。
    今から考えると馬鹿な警備方法だったよね”
   李さんは若い頃の韓国軍隊生活を面白可笑しく話しをしてくれた。
   ベトナム戦争に参加し無事に戻って、今、ペナンで一緒に酒を飲みながら飯を食っているが、遊帆UFOが釜山ヨットハーバーを
   ホームベースにしていた頃からの友人で、人の出会いの不思議を感じるのである。
   ”明日、PISA(南にある体育館)に行ってみたら。色々と食べ物のコーナーがあって面白いよ”
   という黄さんの薦めで、愛車に跨り50分程こいで見学に行く。
   試食&冷やかしながら店を見てまわると、私の好きな月餅がもう出ている。(これは普通旧盆に出回る)
   ”ネエチャン、アヒルの塩漬け卵2個入りの月餅1個いくら?”
   ”8RM(250円)よ”
   横に、砂糖漬け豚肉のバーベキューも売っているので、こちらも買う。
   船に帰って暫くすると、サムがインド食パンと、ビーフン炒めを差し入れてくれるので、
   先程、買ってきた豚肉バーベキューを半分分ける。
   今夜は、ビールを飲みながら,豚肉バーベキューとインド食パンで晩飯に、デザートは烏龍茶に月餅である。
   このハーバーは英国風気取った雰囲気ではなく、昔の長屋風にしようと思っているのである。

   サムが私の帰国時に合わせて、一緒に京都観光、琵琶湖クルージングしようという事で日本大使館に行く。
   2週間の滞在予定で航空券を提示すると、10日間日本滞在までは私の身元保証書添付でビザ取得可能だとの事で
   キャンセル料を払って航空券を没にした。
   再度、大使館に出向くと、私の身元保証書にパスポートのコピーと銀行の残高証明書を添付してくれとの事である。
   ”私が身元保証書を出したら、銀行残高があろうとなかろうと私が責任を持つという事だろう、
    何故何度も書類が必要か?”
   私も、サムも気分が悪くして大使館を出る。
   全く、日本の外務省は何を考えて仕事をしているのか?ではなく仕事をしていないのである。
   海外から見ると、日本は本当に島国で未だ鎖国状態、加えて封建時代の延長である。
   明治維新は革命などと呼べる代物ではなく、江戸の武士社会の支配階級の交代であった。
   日本国民、社会全体が管理社会が当然であるとし、情報は教えるべきでなく従わせるだけであり、上意下達、
   お上に逆らう事はもってのほか、人と違うことをしようものなら村八分という村社会の中に未だいるのである。
   サムも腹を立ててマレーシアの石油開発の話をする。
   ”油田開発に日本の資本を借り、それを原油で支払いしているが、その価格は借り入れ時契約価格のままである”
   それでは、安い原油を輸入して現在の値段で売っているのであれば、誰かが膨大な利益を得ている事になる。
   新聞社も御用聞きニュースばかり報道せず、この事実経緯を追究してニュースにすればどうだろう。
   日本国民は石油価格の値上げに漁業組合が休業をするとのニュースを聞いただけである。
   おとなしい物言わぬ国民全員、段々と冷めていく風呂から出る事も出来ずに、気が付けば風邪でほとんどが死んでいる
   という、いつか通った道を歩いている気がするのである。

   いつものメンバーでデイナーパーテイのテーマで、モスリムの割礼の話になった。
   タッチがタイ人のモスリムであり、サムは中華系マレーシア人なので割礼の事は良く知っている。
   私は、割礼とはおぼろげながら何をするかは知っているが、どの様にカットするのか見たことがない。
   何故か”割る”という言葉から縦割りにカットするものだとばかり想像していたので、マントを被ったような、
   周りにビラビラが付いているような変な姿を思い浮かべていた。
   この事をタッチに話すと、
   ”そうじゃない”
   と、右手を鋏の形にして左手で先をつまんで輪切りの格好をする。
   ”ええ、そんな切り方したら、後縫合せな血がでるがな”
   ”いや、薬油をつけておけば治る”
   ”たまに。短く切りすぎて、朝に大きくなった時に大変痛い目にあうよ”
   と、うその様な、本当の様な、想像しても痛そうな話をタッチと、サムが話してくれる。
   男だけかと思っていたら、女子も割礼があるらしく、話しを聞いてもどこを切るのか結局分からなかった。
   いやはや、尾籠な話で申し訳ない。
   モスリムは何故この様な事をするのか理由を聞いても二人は
   ”そういう儀式習慣だ”
   というだけである。
   モスリムに改宗すると、この割礼の他、モスリム様式名前を名乗らなければならないらしい。
   例えば、オサマ、ビン、ラーデインという有名人がいるが、
   オサマがモスリム式名前で、太郎とかトムであり、ビンは男と言う意味で、ラーデインが福田というモスリム式ファミリーネームにあたるらしい。
   タッチはタイ人なので、生来正式タイの長い名前(何度聞いても舌を噛みそうな長い名前で覚えられない)があり、
   上記の様な長いモスリム用名前もあるが、結局あだ名の”タッチ”にしているらしい。
   

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