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       74番 Urizin回航記 ベトナム入港情報 2005年5月3日〜6月29日

5月3日 Harmonyは、朝、次の寄港地ポートデイクソンへ向かった。
    昨晩は、夜12時頃まで、男5人で酒を飲みながら話し込んでしまった。
    クルージングの失敗談が他の人に参考になるのである。
    台風に追いかけられたり、座礁したり、プロペラに魚網がかかったりなど、
    誰でも1度は経験することである。
    自慢ではないが、私等、数え切れないくらいのトラブルに会っている。
    失敗も、再起不能になるほどの大きな事でない限りよい思い出に変わるのである。
    痛い目に会いながら、その船に合った対処の仕方を覚えていくのであって、
    本に書いてある様な、一般的な操船の仕方等は参考にしかならないのである。
    
 4日 ペナンを離れるのを明日午後2時、パンコール島エメラルド湾を最初の寄港地にする。
    その後、ポートデイクソン、シンガポールロイヤルヨットクラブ、テイオマン島、
    ベトナム(ホーチミン、Nha Trang、Danang,) 海南島、香港、台湾(高雄、花連)石垣島
    というコースをとる。
    石垣島到着予定は7月1日から15日の間位と考えている。

 5日 午後4時、ペナンJabatan Harborを出港する。
    ワッチは、ネッシーさんと3時間交代にする。
    ペナン島の南岸から10マイルの所で魚網のブイを発見し、沖合いに沿って西に
    Urizinを走らせる。
    ブイの長さは2マイル程ある。
    進路を156度に取った辺りで、日没となる。
    午前1時から、追っ手ながら風速20ノットを越え、波もあるが、Urizinは、軽快に走っていく。
    エンジンをニュートラルにして、5ノットから6ノットで走っている。
    遊帆UFOと違って、計器類とオートパイロットが良いため操作性は良い
     朝、6時パンコール島の沖合い10マイルとなり、夜明けとともにエメラルド湾にアンカーを降ろす。
     距離74マイル、15時間で初日としては、良いセーリングであった。

 7日 パンコール島 11時アンカーを揚げる。
    ポートデイクソンまで、機走。`
    Urizinのエンジンはボルボを積んでいる。
    エンジンの回転数を2100回転にして走っているが、30分に1回200回転程落ちる。
    多分、燃料フィルターの目詰まりではないかと考えている。

 
  8日 日暮れぎりぎりに、ポートデイクソン アドミラルヨットハーバーに到着する。
    ここは、ハーバーとコンドミニアムと別荘が同じ敷地に建設されていて、分譲されている。
    3年前に来た時は、別荘分譲地に数件建設されていた家屋が、未だ増えていない。
    テラガハーバーで津波の被害にあった、MarcoPoloがここで上架して修理していた。

 9日 ポートデイクソン 11時出港
   ネッシーさんの指示により、メインセールもカバーも外さず機走。
   エンジンは相変わらず回転数が落ちいつ止まるかわからない。
   マラッカ海峡に入り、海峡の幅が狭まり本船航路東側をぎりぎりに走るが、本船と行き違う
   距離は縮まる。
   エンジンストップした時は、ジブセールを開いて避けるしかないだろう。
   相変わらずゴミと流木が多い。

10日 止まりそうになるエンジンで、ラッフルズマリーナ18時着、 ラッキーであった。
   ペナンで先に出港したHarmonyが係留していた。

 11日 ベトナム領事館へ行くと、午前中のビザ申請受付だけで、昼からはベトナム旅行代理店しか
    取り扱っていない。
    ビザ申請は40シンガポールドルと手数料30シンガポールドルで、土曜日、日曜日を除く3日
    必要らしい。
    ヨット入港の為の許可証を領事館に尋ねると、本国に問い合わせしなければわからないとの事。
    ベトナムは15日間の滞在はビザがいらないというネッシーさんの決定により、ビザ申請を取り消す。
    彼は、ここで今回の回航を終わりにしようかと考えているらしい。
    ”もし、ベトナムに入港できなかったら 香港までNon-Stopでしょ。
     そうしたら、セーリングも考えると、今は風が無いので6月まで待つとしたら長くなるのでここで
    終わりにしようかと考えている。
    気象庁に南西の風がいつから吹くか資料をとってみる。”
    と言うことになり、石垣島まで行くかどうか分からなくなったのである。
    シンガポールから香港まで1500マイル 機走ばかりだとすると約2週間(300時間)で600L位はいるだろう。
    燃料に不安があるなら、現在300Lあるのでポリタンクに300L買い足せば問題ない。
    約2週間風無しと言うことはありえないし、もし そうであれば機走でこんなに楽なことはないだろう。
    心配しなければならないのは、雨風を伴った小嵐が通過するので、この時は、風速30ノット位の
    強風が吹くのである。

ベトナムビザ申請情報
  ベトナム大使館:Embassy of The Socialist Republic of Vietnam
       Adress: 10、Leedon Park Singapore
        Visa Application & Collection
       Monday to Friday 0900Hours to 1130 Hours
      
  旅行代理店
       Neway Enterprise Pte Ltd
       Wendy Chan
      H12 prince edward road #04-10 bestway bulding
       Podium A Singapore
       Tel; (65)63233833
       Fax:(65)63231195or63237177
       HP:(65)96437255
   必要書類:PASSPORT & 4x6cmPhoto2枚

インドネシアクルージングビザ取得情報(1年間マルチビザ)
   Ruffles Marinaの事務所で、手続き代行サービスがある。
   下記2箇所へメール或いは電話で連絡を取り、申請書類を送って貰い、申請書類にはサインだけ記入し
   必要書類のPhotocopyと写真3枚を送り返せば約3週間で揃えてくれるらしい。
     必要書類;パスポート、 Boat Registration(英語に翻訳したもの添付)
         Insurance、License(航海免許証)のPhotoCopy と 写真3枚
    手続き日数:3週間
    手続き費用:US$150
   Ruffles Marina Ltd
   Adress:10 Tuas West Drive Singapore 638404
   Tel:(65)68619000
   TelFax:(65)68622280
   E-Mail:sani@rafflesmarina.com.sg
       yanti@rafflesmarina.com.sg

12日 UrizinはVolvoのエンジニアーが来てチェックすると、燃料フィルターの配管間違い(IN OUT 逆に取り付け)
    と、燃料タンクとフィルターの汚れと言うことで修理する。
    私は、JRCの代理店を探して水深器の修理をしてもらうために市内に出る。
    ここラッフルズマリーナからは定期的にシャットルバスがシンガポール電車MRTのBOON LAY(EW27)
    まで行ってくれる。
    目的地はOUTRUM PARK(EW16)で降りて、道を尋ねる。
    シンガポール人は余裕があるのか、自分の携帯電話で問い合わせて親切に教えてくれる。
    JRC代理店CODAR(PTE)LTDに入って修理を頼むと、若い担当者が出てきた。
    ”この手の小さい水深器は、パーツが高くて、買う方が安いくらいなんです。”
    ”中を見もしないで、良くわかるね。一度、蓋を開けてみてもらえませんか?”
    ここからは、オジサンエンジニアーとバトンタッチである。
    オジサンは蓋を開けて、臭いを嗅いでいる。
    ”何処か、ワイヤーが焼けた臭いや。”
    電源の入り口付近でショートして焼けた後がある。
    取りあえず、原因がわかったので日本のJRCで修理するしかないだろう。
    それにしても、アフターサービスの悪さとよく故障するのには、泣かされてしまう。
    船に乗っていると、何処で故障するか分からないので、その度に日本で修理しなければならないのでは
    困るのである。
    前回も電源付近の故障であったが、見ると電線は細く見るからに危なそうである。

13日 石垣島に向かうのか、この辺で終わりにするのか、はっきりしないまま食料の買出しに行く。
    食料を買い込むのだから多分石垣島に向かう積りであろう。
    市内の高島屋と伊勢丹の地下食料品売り場で日本食材を買い込み、マリーナの近くの
    スーパーマーケットで、再度買い足し、タクシーに積み込み戻ってくる。
    これで、食料は20日位は充分持つであろう。

 14日 ラッフルズマリーナを出て、シンガポールの南を廻ってマレーシア側の川の上流にある
    SebanaCoveMarinaに入る。
    このマリーナは3〜4年前に何日間か入港した事がある。
    メールをチェックすると、ユキさんから金端さんの訃報が届いていた。
    BCYCのクラブメンバーであり、遊帆UFOにも乗りに来られた事がある、金端さんが
    急遽亡くなられたそうである。
    何かパーテイをするというと、忙しい時間を割いていつも美味しいものを用意して持ってきてくれた。
    彼は、自分の店を持っているので時間を作るのが難しく、会うといつも
    ”私も、時間があったら遊帆UFOに乗りに行きたいんですわ。”
    と、言うのが常であった。
    何時もニコニコして、船の雑用も率先して、しておられた姿が思い出される。
    本当にヨットが好きなのが感じられた。
    年も若くこれからという時に残念である。

 15日 このマリーナは、隣にゴルフ場と分譲別荘が売り物らしいが利用者は少なそうである。
    マリーナのプールで昼から泳いだり本を読んで過ごす。
     利用者が少ないので、水は綺麗である。
     普段遊帆UFOでは、この様なマリーナにはいらないので、ゆっくりと楽しませてもらう。
     夕方、Harmonyも入港してきたので、Urizinで 焼肉パーテイをする。
     彼らは、ここ2〜3日の内に一度日本へ飛行機で帰国し、6月に戻ってくる予定らしい。

 18日午前10時にSebana Cove Marinaを出港。
    予定コース;テイオマン島まで140マイル アンカーリング3日程
           ベトナム (ホーチミンまで 480マイルーNha Trangまで 220マイルーDanangまで260マイル)
            −香港 まで512マイル。
            入国可能な時各港で、3〜5日滞在、入国不可の時は香港まで直行。
     香港ではインターネット接続可能となるだろう。
     ベトナムで入国拒否されると、20日間程は海上生活となり、インターネットも連絡も出来なくなる。
     マレー半島の南端をかわすと、追っ手の風となり平均5ノットのスピードで帆走する。
     21時10分 風が落ちたのでエンジンにて機走。

19日 テイオマン島の南は2本の角の様に岩が突き出している。
    島の高さは800m程ありそうで、西海岸飛行場の近くのテケッ村の桟橋の近くに
    10時20分アンカーを降ろす。
    海岸線には高級リゾートが立ち並んでいる。
    
20日テイオマン島は南北20Km位、東西15Km位の大きさで、島の道路は、幅3mほどしかなく、
    バイクが最も普通の交通手段であるが、タクシーと、リゾート専用送迎バス等が走っている。
    島全体がランカウイ島の様に、Dury Free になっている。
    滑走路もあって、プロペラ双発機がクアラルンプール、シンガポール間を飛んでいる。
    短い滑走路なので、日本軍が占領していた時に作ったものではないだろうか。
    又、迎えの桟橋からは、マレー半島に高速船が走っている。
    ダイビングを売り物にしているだけに、海の透明度は良い。
    又、観光産業以外に産業は無いようなので、島に振った雨は山から沁み込んで地表に湧き出し
    公害に汚染されていない。
     狭い道路にポツンポツンとミニマーケット、レストラン、カフェ、Duty Free Shopが立っている。
    物価は観光客相手だと、ペナンの倍程するようである。
    島民は、インドネシア人に近く、丸顔で目がパッチリ、小柄で沖縄人とも良く似ていて、
    子供達は特に可愛いのである。
    島民は殆どモスリムの様であるが、愛想が良く、親切である。
    ここでも、デイーゼル燃料20L、水と生鮮食料品を買い足して、次の目的地 ベトナムに
    明後日22日にアンカーを揚げることにしている。

 22日 午前10時、アンカーを揚げ、進路20度、南風風7ノット追い風の為機走。
    15時、風が出てきたので、帆走5ノットのスピードを得る。
    今夜は満月の3日前で波も無いので月明かりが綺麗である。
    21時、風が落ちたので再び機走する。
    暫くして、エンジンの警報がなる。
     ネッシーさんは、エンジンルームをチェックする。
     ”オルタネータのベルトが外れてる。”
    と言うことで、オルタネータを外すと、固定している捻じ込み式ボルトが捻じ切れている。
    捻じ切れた残りは勿論ネジ穴に残っているので、固定することが出来ない。
    即ち、応急処置は出来ず、エンジンをかけられないので、、バッテリーの充電さえも出来なくなる。
    位置は、テイオマンから60マイル、戻るより他方法は無い。
    
 23日、向い風と無風の為思うように島に近づけない。
    
 24日、午前6時、テイオマンの岸まで約1マイルが無風の為近寄れない。
    昨夜から何度試みたことか、ここまで来ると、ぱたりと風が落ちて、流されて沖に押し出される
    という、繰り返しである。
    ”走っているボートを頼んで引いて貰いましょうか?”
    と、ネッシーさん。
    ”自力で帰らなあかんで。それなら、デインギーを降ろして、トライしてみよ。”
    船外機3,3馬力で、引くが最初は左右に振られて操船が難しい。
    暫くすると、コツを飲み込んだので安定して走れるようになった。
    1時間程引き、浜から100m位、水深5mに、午前10時アンカーを降ろす。
    上陸して、マレー式食事を取り、近くで屯しているオニイチャンに、ネッシーさんが
    修理の頼める所を聞いている。
    一人オニイチャンがやってきて、捻じ切れた台座を外して持ち帰り、店で修理して
    持って来た。

 25日 午前10時 テイオマン出航。
    500m程行った所で、再度、水温の警報が鳴るので、引き返す。
    ネッシーさんが昨日のオニイチャンを呼んできて点検して貰っている。
    清水側のバンドの緩みから水が漏れていたらしい。
    15:00 再度 エンジンスタート。

 26日 06:00 初めて小嵐にあう。
    セールをワンポイントリーフしているので、ポート側にだして、追手で走らせ逃げていく。
    風速30ノット、波高3m 大したことは無いが土砂降りの雨と、雷を伴っている。
    雷はギザギザの光を残して、大砲の様に鳴り響く。
    09:00 先程までの小嵐が嘘のように終わり、平穏な海に戻る。

 27日 03;00 油田のステーションがあちらこちらに海上に突き出して建っていて、
    煙突からオレンジ色の炎を吹き上げて、雲もオレンジ色に染まり不気味な感じである。
    近くに寄ると、電気が煌々とつけられ、居住区やら大きなボンベ、タンクが見え、クレーン等が
    設置されている。
    映画ウオーターワールドにでてくる海上都市を思い出した。
    ここまで、 穏やかな海を 平均5ノットの機走で来ている。
    行きかう船も少なく、天気も良く、波高50cm 風向南西 風速10ノット、
    今の所、楽なクルージングである。

 28日 06:00 ベトナム本土と最南端の島(CON島)の間を通過したので、Vung Tauまで100マイルである。
    周りは、ベトナムの漁船が多数操業中である。

 29日 10:00 Vung Tau ハーバーマスターをVHF16chで呼びだし、入国の申請をする。
    その為の一時アンカーポジションは雪風久保さんの情報通りで、ホーチミン市との連絡船
    ジェッテイーの横、漁船が多数アンカーを降ろしている所である。
    立派なホテルやら、カラフルなビルと家が建ち並び綺麗な町の感じがする。
    ハーバーマスターは、代理店をそちらに向かわせるから船上で待機するようにとの事である。
    2時間程待っていると、小船に乗ってやってきた。
    この小船の船頭のオニイチャンはオールを足で自転車のペダルの様にして漕いでいる。
    代理店のオニイチャンは、英語も良く通じるので入国手続き全てと、ベトナム貨幣(ドン)の
    交換を頼むと、2時間程して戻って来た。
    代理店オニイチャン(Tran Phuc Loc)の案内で、再度アンカーを揚げて内陸の川の河口の係留場所まで行く。
    指定された場所は、商船用岸壁である。
    ネッシーさんには、アンカーを降ろせる場所の方が良いとアドバイスするが、代理店のオニイチャンは
    その方が、危ないですよとの事でそのまま岸壁に係留する。
    今夜は、上陸してVung Tauの市内 海鮮レストランで食事をする。
    タクシーの中から見る市街は、綺麗で面白そうであり、明日からの探検が楽しみである。
               
     Vungtauポートコントロールのある漁船溜り     櫂を足で漕ぐ漁師

    ベトナムヨットでの入国情報
    Vung Tau ハーバーマスター アンカーリングポジション:010−20−658N 107−04−062E
           指定された岸壁:010−25−135N 107−08−725E
     Shipping Agent: Sea &Air Freight International
               Vung Tau Branch :01、Nguyen Trai Street,Vung Tau City, Viet Num
               Tran Phuc Loc
               Phone:+84-64-856608
               Fax: +84-64-856786
               Mobile 0913947336 Home +84-64-859176
               E-mail: safi_vt@hcm.vnn.vn
               http://www.safi-vn.com
               http://www.safi_com.vn
               Branch at Hanoi, Hai phong,Da Nang, Vung Tau
    代理店の手続き費用は今回US$200 で、検疫手続き費用別途US$30 を支払ったが、
    事前にE-mail 又は Faxで 連絡し交渉すると、US$150で出来る可能性が大きい。
    一度、入国手続きを終えるとその後、Nha Trang、 Danan、 Hai Phongの各地での費用は必要なく
    船のベトナム滞在はいつまででも有効であるとの代理店の話だが
    今後のクルージングでハッキリするであろう。

 31日 Urizinから離れて、港の前のレンタルームを借りる。
     1日120、000ドン(約840円)でクーラーと温水シャワーもついていて、清潔な部屋である。
     町並みは床屋とカフェが至る所にある。
     私も、伸びきった髭のカットと耳掃除を頼むと1時間程で20、000ドン(140円)である。
     カフェはサイゴンビール小瓶が7、000ドン(50円) コーヒーが2,000ドン(14円)である。
     コーヒーは大きなグラスに氷を一杯いれて、そこに濃いコーヒーを混ぜて飲むのである。
     Urizinに戻ってみると、デッキにおいて置いた、燃料6缶120lが盗まれている。
     やはり岸壁に係留するのは良くない。
     予約していたタクシーが来て、ホーチミン=サイゴン市に見学に行く。
     2時間程走ると、街中に入る。
     何処と無くあか抜けした建物が多い。
     取りあえず、戦争博物館に行ってみる。
     勿論、ベトナム戦争の資料館である。
     次に、日本語が使えるインターネットを探し、昼御飯を食べて帰ってくる。
     ホーチミン=サイゴン市で、1泊したかったのだが、Vung Tau市だけの上陸許可の為日帰りしなければ
     ならないとの事である。

6月2日 ここVung Tauの係留場所は水は無いし、埃は多いし、潮の上下が大きく良くないので
     早々に出る事にする。
     代理店のオニイチャンが来て、精算すると、初めの話と違っているのである。
     代理店の手数料は、行く所で必要との事。
     代理店手数料                          US$200.-
     代理店手数料以外Vungtauでの必要経費 1.港湾使用料:US$16.44
                               2.検疫    :US$30.-
                               3.係船料    :US$46-
                               4.港湾出宿泊許可ビザ:US$10/人

6月3日 Nha Trangまで200マイル。
     Vung Tauを外側に出たところにリゾートが並んでいるが、それ以後海岸線は砂丘の様になっていて、
     人家を殆ど見る事が出来ない。
     所々、海岸線がへこんでいるか、川の河口しか漁村が無い。
     夜になると、沢山の漁船が一斉にライトをつけるので、廻りが明るくなるが、こちらはワッチの気が抜けない。

  5日 風は相変わらず南西から西風10〜20ノットの追手で、殆どセーリングで07:00に到着。
     Vung Tau で懲りているので、VHFでポートコントロールに連絡をせずに、
     自力で良いアンカーリングポジションを探す。
     後ろから、艀に乗って追いかけて来るニイチャンがいる。
     代理店のニイチャンで、後についてこいの、あちらにアンカーを打てのというのを無視して、
     こちらは、リゾートの砂浜の前にアンカーを降ろす。
     ニイチャンは船に乗り込んできて手続きをしようとするのを、値段の交渉から始める。
      話しが纏まるまで、書類もパスポートも渡さない事にした。
     最初、代理店手数料をUS$200というのを、こちらは断固としてはねつけ、自分で申告に行くと主張する。
     交渉の結果、US$50でOKと言う事になったのである。
     この交渉から推察すると、代理店の手数料なるものは、いわばこちらが言いなりになれば、ボッタクリ
     みたいなもので、価格等あってないようなものであり、今回はリゾートの前の海岸にアンカーを
     降ろしたので、港湾使用料、検疫、係船料、は必要ないのである。
     市内に行くのに、宿泊許可ビザなるものが、必要であるとの事なので、今回は、アンカーポジションが
     良いので、外泊は必要ない。
     この後、Danangに行っても、同じ様な事らしいので、4〜5日後にUrizinも
     ここから香港まで距離約680マイル、直行する予定である。
     
  Nha Trangでの代理店は下記の1(Hai Long Shipping)に依頼したが、次の日2の代理店が来た。
  昨年、2004年に香港ーNhaTrangヨットレースがあった時、手続きをしたそうである。
  具体的な代理店手数料は聞いていない。
  この様に、代理店も多数あり、こちらは 選択肢を持っていれば、ボッタクリされる事もないだろう。
  また、実際に代理店を通さなければ手続きができないのかどうかも、疑問である。
  ヨットでの入国の場合、船員ビザ扱いになるようで、前もってのベトナムビザの取得は意味が無い様である。
  逆に言えば、何日、何ヶ月滞在しても問題ないのである。
  市内宿泊ビザとか、他の町に行くビザとかを料金を支払えば許可されるのである。
  VHF16CHで ポートコントロールを呼び出した時、アンカー場所を指定されるので、呼び出さないで
  下記の場所に強制的にアンカーを降ろし、他の場所(港湾桟橋等)への移動を断固断る事。
  同意すると、パイロット代、港湾使用料、係船料等と請求される上に、防犯上も良くない。

    Nha Trang 代理店:
    1. Hai Long Shipping Service Co., Ltd
        Phan Van Phat
         Tel: 84-58-871818-875929 Fax:84-58-871918
         E-mail:hai_long@dng.vnn.vn
    
    2.GMIO"Sea Inc. Goodman Marine Int"l
         Allan Goodman & Phil Hudson
         Mailing Add:86A/15 Tran Phu St. Nha Trang City Vietnum
         Add:Vanterpool Plaza @nd Fl Wickhams Cay 1, Road Town, Tortola,B.V.I.
         Mobile:84-0-918509701,909317614
         E-mail:gmi@pacific.net.sg

     NhaTrang アンカーリングポジション: 012−12−470N 109−12−966E
                            港湾北側のホテルの海岸(約300m)の前
                            デインギーはダイビングボートの乗り場 又は
                            ホテルの海岸に揚げるのが良い。

   2005年6月のベトナムドン:日本円 交換レート:10,000円=1,460,000ドン
                                 1USD=15,850VND
   燃料補給は、浜のレストランに頼んでタクシー(メーター料金)を呼んでもらい市内(約2km)のスタンドまで
   行けば、5,600ドン リッターである。
   レンタバイク、インターネット(日本語OK)、有


 9日出航時 代理店のオニイチャンは代理店手数料USD50-と約束したにもかかわらずUSD150を
 請求され交渉の結果USD100を支払うことになった。
 下記は支払い明細書である。
     Tonnage dues US$1.69
     Formality Fees US$10.00
     Navigational Fee US$4.87
     Shorepasses US$2.00
     Agent Fee US$100.00
     Total: US$118.56

 今回、ベトナム入国の結果分かったことは、代理店手数料とイミグレと防犯の問題があり
 未だヨットに良い環境ではない。
 香港ーマレーシアの寄港地として Nha Trang に入港する位で、わざわざヨットで来る必要はない。

6日、ホテルでレンタバイクを借りて、市内を走り回る。
   ここは、川の河口で市内に川が流れ、漁船が係留されている。
   私が抱いているイメージの一つの場面、川を利用した町並みがある。
   海岸沿いに道路が走っていて、ホテルが立ち並んでいて、町並みは綺麗である。
   立派なホテルやらリゾートもあるが、市内にはミニホテルがあり、室内は清潔、テレビとエアコンがあり、
   120,000ドンから150,000ドン(800円〜1000円)で、交渉しだいで安くなる。
   ベトナムは全て価格は交渉次第という様である。
   韓国釜山の海雲台の様な町並みである。
   砂浜は白く、水は綺麗である。
   休日になると、沢山の人が海水浴を楽しんでいる。
   洒落たカフェがあちらこちらに建っているし、ダイビングスポットも多数ある様である。
   屋台では、フランスパンに、チーズ、ハム、キュウリ、その他をはさんだものが、朝食に良い。
   今回、レストランで食事をしたにも拘らず、香港で食べた様な本格的ベトナム料理に
   出会わなかったのが残念である。
   ベトナム民族衣装アオザイを着た女性は、美しく見えるのである。
   何故美しく見えるのか観察した結果、アオザイの仕立ての巧みさで目の錯覚を誘っている。
   腰の位置を高く見える様にして、前後のスカートの様なヒラヒラで身体の線を細く見せている。
   これなら、単足で太ったオバチャンでもアオザイを着て、三角帽子を被っていれば美しく見える。
   ベトナムは英語が殆ど通じず、会話には苦労する。
   Nya Trangの海は竹で編んだようなお椀の形をしたデインギーが漁船の上に積まれていて、
   これに1本櫂で器用に漕いで進む。
   物売りのオバチャンもこのお椀デインギーで乗って、漁船の間をまわっている。
   今回、ダナンもハイフォンも行かないが、纏めの印象は、ベトナムに無理にヨットで来る必要はなさそうである。
   未だ、手続き費用が高いのと、防犯が良くない、又、長い海岸線を持ちながら、良い港が少ない。
   香港ーマレーシアの補給拠点としては、ここNhaTrangが良いだろう。
   テイオマン島から風向 風力共に良く殆どセーリングで進んできたが、あさって(8日)に、香港へ向かう予定だが、
   この海域は順調で心配は無いだろう。
   香港から台湾、石垣島が台風の隙間を狙って抜けなければならないだろう。

9日 09:00 Nha Trang出港。
   風向220〜240度。 風力12〜25ノット。
   目的地香港に真追手で ランニングで走るべき所を、ジャイブしながらジグザグに進む効率の悪さである。
   しかしながら、この海域は、小嵐も雨も無くピクニック気分である。

   西沙諸島の西端の環礁の灯台を右1マイルに見て通り過ぎる。

   今日の夕日は雲が無いので、太陽が水平線に沈んでいくのが見える。
   最初に輝くのが金星で、今夜は三日月位の為、早々に西の地平線に沈み、見上げると満天の星である。
   北極星も水平線から上に上がってきている。

   かもめが5匹朝の食事に空を舞い、海面すれすれに滑走しながら、鰯を口に加えている。
   気の短いかもめは、頭からダイビングをして魚を食べている。
   Urizinは彼等の為に、鰯を追い込漁の手助けをしている様である。
   ベルトの緩みによるスリップ音が聞こえるのでネッシーさんにチェックする必要有とアドバイスをする。

15日 午前8時30分 香港ロイヤルヨットクラブに入港。(N22-17-10N 114-11-00E)
   6日間の航海、距離680マイル 機走と帆走が半分 。平均4.5ノット
   香港に約1週間 滞在予定。
   このクラブは4日間係船料は無料、以後US$10/日
 


17日 20年以上の友人のLilyに会う。
   彼女は今は食品加工会社の社長である。
   彼女の薦めで長洲島(Cheung Chau Island )へFerry で行く。
   この島の東側の湾(Tung Wan)022-12-722N,114-01-719Eはビーチがあり海水浴場になっている。
   そのビーチの前がバンガローになっていてHKD200で泊まる事が出来る。
   歩いて何処でもいける程の小島であり、食べるものも安く、ゴミゴミしていないので、
   何度も香港に来ていながら、こんなに良いところがあるとは知らなかったのである。
   次の日、帰る前にLilyに電話をかけると、その島に吉野さんという面白い日本人がいるから
   会ってみたらと言うことで、電話をかけると、奥さんが自転車に乗って迎えに来てくれた。
   御主人は、明後日から日本に帰国の為航空券を取りに香港島まで行っているが直ぐに帰ってくるとの事。
   この島に移り住んでもう10年以上たち、広東語も不自由無く話しておられる。
   奥さんは、手巻き寿司と大判焼きを売っていて、御主人は物理の素粒子の理論を研究されているとの事である。
   御主人が帰ってこられて、宇宙空間の理論を聞くが残念ながら理解するには難しすぎる内容である。
   しかしながら、店に置いてある御主人自筆の島の風景のデッサンは素晴らしいもので、多才な人である。
    
    長洲島の物理学者吉野さん

 19日 Lilyとサリー、エリックの4人でマカオまで一緒に行こうという事でFerry乗り場で待ち合わせをする。
    10年ぶりのマカオは、あちらこちらに近代的なビルとホテル等が立ち並んでいる。
    市内の飲茶で、マカオに住んでいるメリーさんの家族と合流し、食事後、家に子犬を見に行く。
    家はアパートで部屋は4部屋程(約65へーべ)で、生まれたばかりのプードルが5匹いた。
    母親犬はジャックより一回り大きい茶色のプードルで、昨年ジャックを亡くした私は特に可愛く思えるのである。
    市内観光の後、8時にマカオ陸軍会館でポルトガル料理を食べる。
    料理は、スペイン料理に似ている。
    私は、明日中国の珠海へ行くために市内のホテルに泊まり、皆さんは香港に戻る。
    


 20日 マカオからバスに乗って、国境のゲートまで行く。
    沢山の人が、国境を越えている。
    タクシーに乗り、海を見に行くと、水泳場になっているが、水はあまり綺麗ではない。
    適当に、歩いてホテルを見つけ、市内を観光する。
    私が仕事で、中国に行っていた頃のイメージと今は全く違う。
    その頃は、4人組とその4人組が倒される頃で悪い印象しかないのである。
    今、ここの中国は、香港、マカオと同じである。
    この街の背後にもう一つの国境があり、人民の出入国を制限しているはずである。
    香港が中国返還に揺れる頃、香港が中国化されるのではなく、中国が香港化される
    という、私の予想はあたっていたのである。
    現在人民元:香港$は1.06:1位であり、かっての兌換券は見当たらない。

 22日 香港出港。
     今年は異常気象の為、中国大陸南部は大雨であるが、お陰で台湾海峡は雨は降るが時化る事はない。
     出港後暫くして再度ベルトの緩みに因る摩擦音が聞こえるので再度ネッシーさんにアドバイスをする。
     
 23日 再度オルタネータの支柱ボルトが折れている。
     場所は中国大陸遼爛という港町の南東15マイル付近であり、修理の為セーリングで入港を試みる。
     海岸から200mの所にアンカーを降ろすが、打ち寄せる波の為にデインギーでの上陸は出来ない。
     修理必要な部品を外し寝ていると外で呼び声が聞こえる。
     近くの漁師が港まで送ってくれるという事らしいので乗り込む。
     ここは、小さな漁村であるが修理は可能らしいく漁師のオニイチャンの案内で工場に行く。
     テイオマン島でも同じボルトが折れたが、原因はベルトの緩みによるシャクリ状態の回転による
     金属疲労であろう。

 27日 午前8時半、台北の基隆港に入港する。
     暫くすると、台湾ヨットクラブの郭さんがやってきてくれる。
     彼の、手助けでイミグレ、税関、ポートクリアランス、検疫等の手続きを済ませる。
     仕事もあるのに駆け付け手助けをしてくれるのには、頭が下がる思いである。
     返礼の気持ちで明日の食事を招待するということで約束をする。
     
     郭さん ネッシー船長 プータロー

 28日 8年前に散歩した中正公園に登ってみると、相変わらず日本語のカラオケ(長崎は今日も雨だった)で
     オバチャンが気持ちよさそうに歌い、横で、オッチャン、オバチャンが社交ダンスを綺麗なステップを踏んで
     踊っている。
     8年前から、毎日同じように過ごす中国人を見て、懐の深さを感じるのであった。
     Urizinはエンジンの部品をデンマークから取り寄せるのに何日掛かるか分からないし、
     ネッシーさんは基隆から石垣島まで130マイル程なので、シングルハンドで行けるとの事で
     私は、明日飛行機で京都まで帰ることにした。
     夕方、郭さんが迎えに来てくれて台北のレストランまで案内してもらう。
     Jimmy陳にも会えて、台湾ヨットクラブのメンバーと一緒に花連港までセーリングした懐かしい
     思い出にひたり楽しい一時を過ごす。
     あれから、もう8年も過ぎてしまったが、ついこの間の様に思えるのである。

 29日 台北から関空へ。
     
     ペナンをでて基隆まで、約2ヶ月 2500マイル走った事になるが、時化ける事なくイージーセーリングの日々という
     幸運に恵まれたが、ボルボエンジンのトラブルには悩まされた。
     初めに、燃料フィルターの目詰まり、次がオルタネーターベルトの緩みからくる振動による金属疲労でボルト折れ、
     又、間接冷却だがゴム管の傷により海水が清水側に流れ込み予備タンクに溢れ出すというトラブルであった。
     私は、今回8Kg体重減、且つ、香港からの風邪をこじらせ、体調を整える為に静養する。

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