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ランカウイ津波情報リンク(Isaac Mr.Leeがポンツーンに掴っている写真)

   70番 ランカウイで同盟軍と再会  2005年 2月〜2月12日

1月28日 アジア観光促進パーテイらしきものが、テラガハーバーの向かえで、午後7時から
     始まるので、ロンダ、マーチンの船で見学する事にする。
     マレーシア、タイは勿論の事であるが、ベトナム、ミャンマー観光に力を入れているようである。
     普段はパラパラとしかいないいないのに、どこからこれだけ大勢の人が湧き出てきたのかと
     思う位の盛況ぶりである。
     舞台が造られ、モデルが民族服に着替えて音楽と共に踊りだす。
     食事はビュッフェスタイルの食べ放題である。
     花火が10発程打ち上げられ夜空に花が咲いた様になる。
     津波の恐怖を振り払うかのように、デイスコのリズムに合わせ、金田夫妻 ファンさん、
     ロンダ、私は踊るのであった。

  29日 インペラー修理とマレシア入国手続の為にレンタバイクでクアタウンまで行く。
    インペラーの修理はパーツリストでベアリングの番号を調べておいたので
    いつも利用している中国系金物屋で簡単に買う事ができた。
    次は錆で固着した古いベアリングを外すのにワークショップを探していると、
    3軒隣のアウトボードエンジンを修理している店で、主人がやってくれるいう。
    まだ、オイルシールやら、サークリップやら細かい部品が必要だが、それも全部
    自分がやっておくから、月曜日に取りに来いとのことである。
    マレーシアのイミグレ、カスタム、ハーバーマスターは親切でプーケット、シャロン湾の様に
    お金を請求される事は無い。
    しかも、3ヶ月滞在期間がある。
    ついでに クアタウンで野菜と酒類を買ってハーバーへ戻る。
    マレーシア半島はタイとほぼ同じ経度にありながら1時間早いので7時でも未だ明るい。
    今夜はLha3でIsaac 久保ちゃん 私でお別れパーテイである。
    というのも、Lha3は船体の破損が酷く、プーケットのボートラグーンで修理するので、
    月曜日にランカウイを出港するそうである。
    遊帆UFOも、もしLha3がカンタンで修理すると言う事なら、一緒に行こうと思って来たのだが、
    遊帆UFOの船底塗装だけなら、ここ防波堤の横の浜へビーチングしてやってしまおうかと、
    考えている。
    久保ちゃんは、インドネシアのアチェへの救援ボランテアへ参加申し込みをしていて、
    2日から2週間から3週間の期間行く事になるらしい。
    今夜は、Lha3がカレーを作ってくれているし、Isaacが鳥のコチュジャン炒めと
    私がクアタウンで焼豚肉を買ってきているので、これを肴に津波の時の話をしながら酒を飲む。
    津波の来た12月26日の朝、マサコさんは耳に異常な音を何度も聞いたそうである。
    12時半頃津波の第一波がやってきた時には、突然な事で如何する事も出来なかった。
    リーさんはポンツーンの柱に抱きついていたが、水嵩が増して波にさらわれ
    もう駄目かと思ったそうである。
 
    (写真有り) 12;27−20 から3分後は波にさらわれ見えなくなっている。
    渦巻きに巻き込まれ自分が水中に引き込まれ何処にいるかも知れず1分程して頭が水面に出た。
    幸いにもゴムボートが側に浮いていたので渾身の力を出して乗り大した怪我もなかったらしい。
    第一波でポンツーンに繋留されていた沢山の船が洗濯機の中にいるように、渦を巻きながら
    ぶつかり合って穴が開き浸水して沈んで行ったそうで、地獄の様だったという。
    ハーバーの横に引き上げられたヨットが無残な姿で置かれている。
    同盟軍は被害はあったものの、船が沈んだのでもなく、命にも別状がなかったのをラッキーと
    思わなくてはならないだろう。

 31日 インペラーの修理が出来ているので取りにクアタウンまでレンタバイクで行く。
    インペラーの修理はベアリングオイルシール交換して70RM(2000円)程であった。
    船底塗装のペイント Jotun Seaqueen 5l 300RM
    プライマー  Jotun Jotamastic 5l 145RM
    その他塗装用具とV-beltを買う。
    ”Multiquip Trading (Langkawi)Sdn.Bhd Tel;9666953"
    今晩は、豚肉でサンパブをしようと、市場、スーパーマーケットを探すが売っていない。
    以前、輸入品を専門で売っていた店も、入っていくとマチコ巻きしたオネエチャンが2人いる。
    何か雰囲気が変わっていて嫌な予感がする。
    ”ネエチャン、豚肉とベーコンあるか?”
    ”チキンか牛肉のソーセージはありますが、ベーコンと豚肉はありません。”
    ”いつ、入荷するのか?”
    ”いつか分かりません。”
    何処で売っているか分からないので、中国系の金物屋で尋ねる。
    彼等中国人は4本足はテーブル以外、空を飛ぶのは飛行機以外、2本足は親以外
    食べない物は無いと揶揄されている位である。
    ”豚肉ね。電話するからチョット待ってて。”
    暫くすると、中国系のオッサンがバイクに乗って金物屋まで来る。
    ”あんた、豚肉欲しいの? 私について来なさい。”
    5分程走るとそこは一般住宅で、案内してもらわなかったら絶対にここが豚肉屋とは分からない。
    私も、何かやばい物を買うような気分になり思わず声を潜めてしまう。。
    ”オッサン、何故、こんな事してるんや?”
    ”ここは、モスリムの厳しい所だから、オープンできないね。”
    ”ペナンはどこでも市場でもデパートでも売ってるで。”
    ”私、前はペナンにいた。ペナンは大丈夫。ここはダメね。豚肉いる時は電話しなさい。”
    名刺には、名前と住所と電話番号だけで、勿論、豚肉屋等とは書いていない。
    人を一つの価値観で縛ろうとする宗教、国家制度に私は生理的に合わないのである。
    ”豚肉を規制するのは、モスリムの為の大義”というのを、違う言葉に代えてみると、
    ”何でも規制するのは、日本国民の為の大義”と言う事になるのである。
    日本はそこまでバカな国ではないだろうと思っているうちに、見えにくい所で
    次々とバカな事を決めて気がついたときには、羊の群の様に、誰も彼もが同じ方向へ
    動いている事になる。
    
2月2日 冷却水インペラーをエンジンに取り付けにかかる。
    V-beltをインペラー側とオルタネーター側に張り、廃棄パイプも修理して、
    エンジンを回してみる。
    スターターモーターが”ウイーン”という音を出すだけでエンジンは回らない。
    ベルトのテンションを掛けすぎたようだ。
    テンションを再度調整して、エンジンは快調に回りだす。
    明日からはこの間作った燃料タンクの修理をしなければならない。
    タンクの形を箱型にしたのだが、燃料が減ってくると、燃料が前後左右に揺られて、
    エアーがパイプの中に入るのである。
    底を傾斜させるか、出口の所を一段低い形にしなければならない。
    体を洗いにハーバーの事務所まで行くと、Wayout ルイが船の修理をしている。
    彼の船はスタンションが引きちぎられ、船側のアルミのレールが少し曲がっている。
    ”オバタ、船を揚げて修理するのに ルムット(マレーシアパンコール島)か、カンタンへ
    行こうと思ってる。”
    ”私は、ルムットへは行った事がないけれどカンタンは何度も行ってる。”
    ”川の上流だろ。行く時は上潮の時か?”
    ”そう、連れ潮で行くのが良い。最初のブイを見つけたら後は順番に真直ぐブイを目指せば行ける。
     あとで、シップヤードの電話とFax番号をメモしてあげるから、連絡取ったらどうや。
     2月10日から14日までは中国の正月で、タイは中華系が多いから、その時仕事はできんよ。
     タイではボートラグーン、ラチャナイより安いと思うよ。”
    遊帆UFOも船底塗装以外にジブファーラーを外して、修理する必要があり、ここテラガの砂浜で
    出来るかどうか、カンタンで修理するか迷っている。

    ここの周りは、イタリアン、ロシア、中華とレストランがあるが、バカ高い為行く事はなく、
    建設工事ハン場飯のタイ料理へ行く。
    飯時になると、いつも30人位の労働者がいるのに数人しかいない。
    ハン場飯のオッサンはにんにくの皮を寂しそうにむいている。
    ”オッサン、お客が少ないな。”
    ”建設工事のビルの会社がお金無いから、労働者にお金払わない。みんな怒って帰った。”
    ”建設途中に賃金が払えないなんて、どういう計画してんのや。
     行き当たりばったり、予算の目処無しでスタートするのか。”
    ビルは5階建てで広さは500坪以上はあるだろう。
    何の為のビルなのか良く分からないし、どちらにしても御土産物売りのテナントが入る位だろう。
    地元ランカウイに住む人には高級すぎて売れないだろうし、観光客の為ならば、
    どこも、同じ物を同じ値段で売っていて品数も無く1日で飽きてしまう。
    暫く商売したかと思うと、店を閉めている。
    商売する方も行き当たりばったりなのである。
    これが、こちらの商売の仕方なのだろうか。
    ランカウイはマハテイール前首相の生まれ故郷の為、肝煎りで政府主導で開発されている。
    勿論、マレー人優先、モスリム絶対である。
    しかし、失礼ながらマレー人は中華系人に商売の点では太刀打ちできない。
    見るからに、何の販売努力をするわけでなく、お客の希望を汲み取るでもなく、価格も隣の店に
    合わせて売るだけで、安く提供しようとかいう考えは全く見られない。
    これで良かったら買って行ってか、という大名商売である。
    いくら、マレー人優先にしても50年後位には中華系人が商売を抑えるであろう事は明らかである。
    私としては、ランカウイがペナンの様に変わってくれたら、万々歳である。

    ここ数日前から、持病の痛風がいつもの左足の親指関節に出て、夜もズキズキとして
    寝る事ができない。
    痛風の薬を飲んで、3日位ジッと寝ているしか方法が無い。
    こうなると、遊帆UFOの狭い船内は以外と便利なのである。
    手を伸ばせば何でも届くし、あちらこちらに持つ所があるので、足を浮かして移動できる。
    プーケットで12冊程仕入れた本も、残す所1冊になってしまった。
    ここランカウイでは、本屋等見かけた事がないので、ペナンのジョージタウンまで
    行かなくてはならない。
    来週はカミサマの誕生日で、遠く離れた所からは何もできないので、娘に頼んで花束を
    プレゼントしてもらう様に頼んだ。
    クルージングするのはカップルが基本で、私の様にシングルハンドは変な人か、
    寂しい人と見られている。
    カップルの船へ食事を招待して貰っても、余程気心の知れた船しかいけないのである。
    夫婦は一緒にいて、同じ経験をしてこそ絆も強くなるのであろう。
    Isaacのファンさん、Lha3のマサコさんは立派なシーウーマンで見上げた者である。
    
    隣のニュージーランドの夫婦が今夜5時から近所の船で集まって
    持ち寄りパーテイをするという連絡が入る。
    シャロン湾でも時々近所でアンカーを降ろしていた50ft位のカタマランが集合場所である。
    これだけ大きさがあると、17人(8艇+私)が乗ってもビクともしないし、スペースに余裕がある。
    デッキに電気冷蔵庫はあり、勿論中には冷凍庫もあり、2人乗りシーカヌーも乗せてある。
    コックピットは後までハードドジャーで覆われていて、雨が降ろうと、日が照ろうと快適である。
    広いので遊帆UFOのように、頭をぶつけたり、足を引っ掛けたりする事がない。
    各艇、1品と飲み物を持って来て、適当に時間をつぶすのである。
    話は、津波とクルージング情報、奥様方は買い物情報が主な内容である。
    いつも感心するのは、大人の遊び方を心得ているようで、喧嘩になったり、言い争いをしたり
    しない事である。
    集まったのは、殆ど英語圏で英語圏でないのは、フランス人夫婦と私だけである。
    そのフランソワ(フランス人旦那)が途中私の側で囁く。
    ”皆、英語を早口で喋るから分からん。”
    ”私なんか、ユックリ喋ってもらっても良くわからんよ。”
    ”喋ってるのが、アイルランド、オーストラリア、イングランド、アメリカだと、随分違うからな。”
    ”私なんか、その差さえ分からんよ。私に喋る時は特別自分で考えてもらう事にしてる。
     だから、私と喋れないのは私が悪いのでなく、相手が悪いと思っているよ。”
    私は、所詮母国語でないから、分からないのが当然で、母国語の相手が私の程度を
    理解し、その程度に頭をひねって喋ってもらわなくてはならないと思っているからである。
    その為、この様なパーテイに参加するのも言葉の引け目はないのだが、みんなカップル
    である事に、引け目を感じ、自分だけ変な人で、居心地が悪いのである。

    プーケット、ボートラグーンに修理の為に行ったLha3から経過報告が入る。
    タイの仲介者が中に入っていて、彼には手付金US$2000を前渡しているらしい。
    彼の話は、ボートラグーンでは何日かかろうと、修理代、繋留費、上架代、それに
    上架中はプーケット市内にアパートを借り、自動車もつけての費用が合計US$5000で
    全て、やりますとの事だったらしい。
    私は、この話をここテラガハーバーで聞いた時、そんないい加減な話はオカシイと思って
    私事のように何度も問い直したのである。
    ボートラグーンは今は津波修理の為随分込み合っているのを聞いているので、
    この仲介者がそんなに簡単に手配できるわけがないと思っていたのである。
    そして今日の電話では、詐欺にあって前渡し金を持ち逃げされて、被害のあった
    何艇かが一緒に警察に届けに行ったそうである。
    Lha3はこの津波で船体に穴が開き修理しなければならない弱みに付け込む
    悪質な詐欺であるが、今更お金が戻るわけでないので、諦めて、最小限の費用で
    速く修理をしてしまうしか方法が無いのである。
    今、ボートラグーンではネッシーさんが修理中の為、そこの様子は良く分かっているので、
    アドバイスを受けられるであろう。

 9日 中国のHappy New Yearの為、Isaacはテラガハーバーの事務所の職員に焼肉パーテイ
    用意してくれる。
    プルコギ、キムチ、イカの甘コチュジャン和え、サンチュをテーブルに並べ、振舞ってくれる。
    マレーシア人の口にキムチはあうらしく、好評である。
    ”セーボン、マーニパドウセヨ。”
    韓国語で”新年おめでとうございます”と言う意味であるが、直訳すると
    ”新福、沢山受けてください”と言う字で表される。
    プーケット、ペナンでは今日は爆竹があちらこちらでならされるがここランカウイは
    モスリムの神様に遠慮してか爆竹の音も聞こえない。
    日本は太陽暦で正月をするようになり、旧正月は何もしなくなったが、
    気候を考慮すると、太陰暦が良く会っている。
    何でも取り入れ、捨て去るのが巧い日本人は今後何人になっていくのであろう。
    或いは、何人に拘らない方が良いのかもしれないが。。。
    私は、海人で海が我国ですと言うような事、もっと大きく私は地球人で地球が我国です
    と言える様になれば、地球に平和が来るのかもしれない。

    昨日は、フォーアステイを少し長くして、ジブファーラーのメンテナンスがしやすい様に、
    マストを後側へ少し傾かせ、他のステイも締めなおす。
    マストは、後方へ5度程傾斜して、これでセール効果も少しは良くなったかもしれない。
    風のおさまるのを待って、背の届く所で遊帆UFOを浮かしたまま藤壺落を大まかに
    落とす。
    14日にはカンタンへ行き、上架して全てチェックをしようと思っている。
    今日は、朝からステンレスの錆落としの仕事にかかる。
    刷毛で錆びている所を薬品を塗っていくだけで、5分後水洗いすればピカピカになる。
    コンパウンドで擦らなくても良いので、横着物の私には有難い薬品である。
    薬品名;PMOSPHURRIE ACID これを40に 水60で薄めて使う。

    エンジンのスターターが”ウイーン”という音で噛みあっていない。
    点検すると、スターターのロックの割りピンが無くなって抜けそうになっている。
    前回、スターターを点検に出した時、割りピンを忘れていたらしい。
    カンタンのシッップヤードは13日まで正月でお休みなので、明日か明後日位に
    ここテラガハーバーを離れる積りである。
    カンタンの河口で最大潮流から上潮の潮止まり位まで待って川を登っていくと
    容易に行ける。
    25日位にロンダ’マーテインの船が、月末にはWAYOUT ルイの船がカンタンに
    行くそうである。
    タイ、マレーシアのなかでは、費用は一番安いと思われる。
    遊帆UFOの場合、スリップヤードの上下で5000バーツ 上架したのち1日当り、
    300バーツ、ヘルプに人を雇って 1日当り400バーツ位であろう。

    昼から久しぶりにする事もなくなったので、滝で泳ごうと自転車を漕いで、15分
    そこから歩いて10分で滝壺に到着である。
    ランカウイは私にとって面白くない所だが、唯一この滝が気に入っているのでよく来る。
    最近は野生猿が観光客が菓子を呉れるのを目当てに、近くまで寄ってくる。
    隙を見せると、何でも取って行く。
    滝壺には地元小学生の男の子6人と女の子2人が泳いだりもぐったりして遊んでいる。
    5分程すると、慣れて水の掛け合いをする。
    私が、手のひらで水鉄砲を作り水を掛けると、側に来て如何するのか見習っている。
    子供達と一緒に潜りあいをしたりして1時間程水で遊ぶ。
    私も、この子供達と同じ年の頃、大屋川という水の綺麗な川で、岩から飛び込んだり、
    潜って岩の間に手を入れ魚を手掴みで取ったりして、1日中遊んだものである。
    今は乾季で3ヶ月位雨が降らないのに、この滝は水が枯れない。
    1段上に7つの井戸というのがあるらしく、そこから湧き出る水の為、結構高地にある
    にも拘らず、水枯れが無いのである。
    山の下には、何処でもある土産物売屋があり、そこの店で椰子のジュースを飲む。
    その店のマレーシアのオバチャンは、赤い民族衣装を着て、太い腕に金の腕輪を
    何重にもしている。
    全ての指に、金の指輪をしていて、キンピカオバチャンである。
    ”あんた、日本人でしょ。よく来るね。どこのホテルに泊まってるの?”
    何故か、私は目立つらしく一度も話した事もないのに覚えられている。
    キンピカオバチャンは、スイカをこれ以上薄く切れないだろうと思われるほど、
    薄く切って氷のケースに入れ、売っている。
    成る程、だからキンピカオバチャンになるのかと、感心するのであった。
    
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