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   67番 年末お正月を京都で過ごす。
       インドネシア大津波
            2004年12月23日〜

12月23日 暖かい所に慣れた体は関空に降り立つと寒さで震える。
     ジャックは2日前に死んでしまった。
     梅田までリムジンバスで行くが早朝なので、まだ人の波は無い。
     あちらこちら見て歩く私と出勤途中の人の歩くスピードが違うのである。
     自分だけが違う次元にいて取り残された様な妙な感じがするのである。

  26日 今回帰国理由の1つ、クリスマスのサンタクロースをこなして、琵琶湖柳が崎に行く。
     皆さんは年末恒例餅つきに行っているので夕方しか帰ってこない。
     私は湖族の末裔を桟橋につけて、やまとの湯に入りに行く。
     気持ちよくホカホカした気分でK先生の船に戻りテレビニュースをみると
     インドネシアスマトラ島 アチェで震度8,9の地震が起こりプーケットに
     津波が押し寄せ被害が出ている。
     遊帆を泊めているのはプーケット島の東側にあるシャロン湾で島々に
     囲まれた所だから多分大丈夫であろうと思うがどうなったか分からない。
     今回に限り、アンカーを直列に2つ打ち、水深5mの所に40m位チェーンを出している。
     それだけを唯一頼りにするだけである。
     この時期は乾季でプーケット島の南西側インド洋に面したビーチが波も無く
     良い場所なので多くのヨットと観光客がパトン、カタ、カロンといったビーチに
     集まっていただろう。
     プーケットから帰る直前まで私もカタビーチの方に泊めていたので、もし帰国
     していないとすると未だそこに留まってクリスマスを過ごしていただろう。
     こちらは直接波が入ってくるので被害は甚大になったかもしれない。

 27日 プーケットにいるユキさんとネッシーさんから遊帆の状況が入る。
     船は被害が無いが、全船のアンカーが動いた為他船が近寄ってきているとの事である。
     遊帆をエンジンをかけて動かすのは手順があって難しい。
     その為、正月を済まして4日にプーケットに帰るように航空券予約をしなおす。
     Isaacからメールが入りマレーシア ランカウイ島Telagaハーバーの様子が分かる。
     繋留中の船15隻が沈没、ポンツーンは使える状態で無いひどい状況である。
     幸い、Isaacは少しの被害、Lha3はデッキに穴が開いたが浮かんでいるとの事、
     雪風からは連絡が無い。どこにいるのであろうか?
     各地のヨット仲間から無事の確認のメールが入ってくる。
     未だ、時間が経っていないので被害甚大の船は連絡する余裕も無いだろう。
     

     
     Telaga Habourの被害 Isaacからのメール

28日 雪風 久保さんからメールが入る。
    津波のあった時は、ピーピー島から南東30マイル付近を航行中で津波があったのを知らなくて
    ピーピー島に入港して始めて津波を知ったそうで被害は無しである。
    1日違ってピーピー島にアンカーを降ろしていたら、被害は甚大だっただろう。
    今の所、幸いな事に知り合いのヨット仲間で大きな被害にあった連絡は入っていない。

30日 他のヨッテイからのメールでは、遊帆にやはり他の船が近づいてきて距離が無く、
    接触しているようだとの連絡があり、明日急遽プーケットに戻る準備をする。
    12時発、シンガポールで35分しかない乗り継ぎを乗れても乗れなくても自己責任で予約を入れる。
    広いシンガポール空港でマラソンをしなければならない。
    もし、乗り遅れると翌朝1月1日 8:55分出発便しかないのである。
    昨日は、琵琶湖で繋留しているもう一つの船(湖族の末裔)を手放す為、皆様に感謝の意味で
    パーテイを企画した。
    いつもの如く急な思いつきの為、連絡するのに限りがあり、来ていただけたのは10人程となった。
    全くヨット未経験の私に、湖族の末裔がセーリングを通して船と波と風とはどんなものかを教えてくれた。
    遊帆に乗り出してからは、琵琶湖で寂しく待つ船となり、走ることを忘れ宴会船になってしまったのである。
    しかし、湖族の末裔は手のかからない船で、いつ帰ってきても機嫌よくエンジンはかかるのであった。
    いつも感じることだが、船は持ち主の意思とは別に自分の意思と個性を持っていると思う。
    湖族の末裔はおとなしい静かなあまり文句を言わない船である。
    遊帆は、ご機嫌な時があるかと思うと、悪女の様に駄々をこね私の力と愛情を試しにかかる。
    その為、とんでもない高価なものを買わされたりするのである。
    離れたくても離れられない、離れていたら呼び戻される最も我侭手に負えない悪女なのである。
    大抵のヨッテイは、悪女に捕まり不自由な自由を喜んでいる様である。
    いつも人から、”何の為に一人でクルージングしてるの”と尋ねられ、自分でも分からないのだが、
    どうやらヨットという我侭悪女に魅入られた為離れられないというのも理由のひとつであろう。
    
    毎年恒例のご挨拶
    

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