トップページに 目次に 前のページ(第142番)へ バヌアツ 5月16日 船の上での生活は足が弱るので、ポートビラの町を見学しながら散歩する。 行き違う人達は、笑顔で軽く挨拶をしてくれる。 丘を越えると干潟が有りそうなので、それを目指すが、少しの坂でも息があがる。 JAICAという看板があり、病院の付属病棟を作っているようである。 私もリタイヤーボランテイアで何か出来ないかと思って説明会に行ったが、何の資格も無い私は諦めた経験がある。 干潟の方に行くのに丘を降りていかねばならないが、舗装道路を外れると、人が踏みならした小道しかない。 干潟までの坂の途中に、地元バヌアツ人の家があちらこちらに建っているが、舗装道路に面した外国人の家とは比べる事はできない。 海まで降りていくと、海上コッテージやらある、綺麗なリゾートホテルに出た。 海外旅行者はこういうリゾートに宿泊し、海風の吹くのを受けながらマッサージをして貰い、夕方にバヌアツダンスを見ながら、現地風豪華料理を食べ、満足して帰るのだろう。 Wバヌアツて、綺麗で食べ物もおいしいよね!W 何て事に、、、 5月17日 真水タンク節約のため、食器洗いも海水で洗う。 体は夕暮れ真っ裸で頭を剃り体を洗うのが普通になった。 電気はソーラーで充分こと足りている。 青野菜はべらぼうな値段なので、地元のパパイヤの料理方法をかんがえる。 青いパパイヤを千切りにし、玉ねぎと、キュウリで塩胡椒でサラダに、これはまあまあの味。 夜上弦の月、明日が半月か、、 海面に月の明かりが照り返して、美しい。 しかし、星は隠れてしまう。 いつも思うのは何故不便な海の上がよいのだろう、ということである。 私は未だこれだというものは無いのだが、いくら良いロケーションで良い家でも、興味がわかない。 同じ所に縛られるのが嫌なのである。 困ったもんである。 5月20日 バヌアツはキリスト教会があちらこちらに建っていて、日曜日の朝には,お祈りをし説教を聞く爲に人々が集まってくる。 スーパーマーケットでは、土、日曜日は酒は売らない。 今日は月曜日、夜明けと共に町が見えてくるが、未だ車も走っていないので静かな朝である。 ポートビラ湾は西に一ヵ所入口があるだけなので、西風が吹かない限り波は全く立たない天然の良港である。 いつも東風なのだが、数日前から西風が吹くことがある。 6月ケアンズまで約1300マイル約12日間の航海と考えているが、出来ればまともの風は吹いて貰いたくない。 毎日朝晩数人の人達が船の側を干上がった岩まで運動の爲に泳いでいる。 アンカーを降ろしている所は水深10m程あるが底まで見えるし、魚の泳いでいるのも見えている。 海草は殆ど無く、珊瑚のまわりに魚が集まっている。 素潜りで貝を取っているジョンというバヌアツ人がきて貝を見せてくれる。 ゛ハマグリににてるな,蛸は取れないか? ゛ ゛30cm位のは時々とれるよ、食うか?゛ ゛取れたら持ってきて゛ 余りに海が綺麗なので魚も食べるものが無いためか、あったかい海のためか味はあまり旨くない。 貝とか蛸ならば、と思っている。 潜りで取るには、年を取りすぎている。 体を洗うついでに、もぐろうと思っても5mも潜れない。 子供の時は、明石港の岸壁で褌に空豆を紐で結び、一日中素潜りで魚を銛で突いて取っていたものだが、その想いでは、ほんの少し前の様な、ずっと遠い昔の様な、、 スーパーマーケットに買い出しに行く途中に北斗という船名(tayana42)がアンカーを降ろし、年の頃は50歳頃のアメリカ人らしい女性が乗っている。 日本の船ですか? ときくと そうだが、なぜに分かりますか? とのこと。 そこで、北斗の意味を教えると納得し喜んでいた。 カップルの日本人から買ったそうだが、まだセーリングをしたことがないとのことだった。 中々チャーミングな話をしていて気持ちの良い御婦人であった。 夕方に雨が降りそうな気配であるので、雨水集めに容器をセットする。 遊帆(UFO)なら直ぐに水タンク一杯に出来るが、この船はその仕掛けが出来ていないし、海水蛇口も無い。 遊帆(UFO)と違って、Lagoonカタマランはヨットハーバーに係留すると言うのが普通の使い方なのだろう 5月22日 皆さん誕生日メッセージありがとうございます。 思い出すと、昨年鹿児島から瀬戸内海のクルージング中に、頭にリボンを巻いて皆さんにお祝いして貰ったのでした。 今年はバヌアツの海の上、空には月と星、テーブルにオーストラリア産赤ワインと、ジントニックを用意しています。 インターネットで世界中が繋がる今は一人であっても一人のような気はしません。 頭にリボンを巻いた辺りから、人脈が拡がり色んな方と友人になれた事、こんなに嬉しいことはありません。 私の場合、クルージングという旅をしながら、素晴らしい出逢いに巡りあっています。 その幸運に感謝し、これからも続きますよう、乾杯! 今日のバックグラウンド、ソプラノサックス ケニー・G 5月25日 最近は上陸するのは、2日に一度となり、歩くことをしなくなってしまった。 足腰の弱るのが心配である。 バヌアツで限られた食材と調味料しかないのを、工夫し遊びながら色々な物を作っている。 青野菜はチンゲン菜の様なものしかないので、これに塩をし、昆布だしと、檸檬を絞り漬物にした。 3日後位から、味も馴染んでまあまあ旨くできた。 再度出港までに、食料の保存をしておかなくてはならない。 数年前にインド洋を渡った時は、沢山のキムチを作ったが、ここバヌアツでは白菜小玉が1000円以上もするので、使う事もできない。 あとは酢漬けで何とかなるだろう。 時間はたっぷりある海の上では、本を読むのが一番の楽しみなので、電子書籍数十冊ダウンロードしていたが、パソコンが壊れた今は見ることができない。 タブレットで新たに購入ダウンロードしようとすると、著作権の問題があり海外サイトからはダウンロード出来ないとのこと。 日本はニュースも書籍等、進んでいる筈のこういう所が鎖国状態なのは情けない。 そこで著作権切れの本を電子書籍にした青空文庫というのを見付け、吉川英治の宮本武蔵等を読んでいる。 又、夢の中で武蔵と勝負しなければならないな。 暫くぶりにエンジンをかけて暫くすると警告音がなる。 冷却水は出ているので、エンジンルームをチェック。 冷却チューブが、ベルトに当たりそこから少し水漏れがしている。 オーナーは30日にバヌアツに来るので、部品を頼むが日が無いので無理とのこと。 何とか修理で誤魔化してくれ、とのことである。 永くはもたないのを承知なら、修理してみようと、返事をする。 まずはチューブを取り外し穴の程度を調べ、船内にあるもので、修理することにした。 今から1200マイル走るのに、こんなことで良いのかな? まあ、なんとかなるでしょう。 お知恵拝借! その後水漏れチューブは修理済み、エンジンテストするも、5分程で再度温度上昇警告音がなります。 その時冷却水は勢い良く出ています。 チューブ漏れもありません。 このエンジンは間接冷却で、クーラントリザーブタンクには未だ半分程残っています。 私の考えは、真水クーラントがエンジン側に来ていないのではと、考えています。 その他、考えられる原因を御教えください。 夜に雨が降りだすので、水集めである。 入れ物を全部だし雨を受けるが、子供の時代の天井の雨漏りを思い出す。 私は雨は嫌いではない。 明日は真水で体洗いと洗濯ができる。 雨雨降れ降れ!嬉しいな! 次の朝、雨も止んだのでエンジンのキャップを開け、今はクーラントを手に入れる事もできないので水をいれ、エンジンテスト、応急処置的に問題は無くなった。 雨水は一杯溜まっているだろうと、クーラーボックスを見ると、空っぽ、底の栓が開いてた。 今日は何かと水に祟られる日であった。 5月26日 雨も止んだので洗濯と体洗いをしようと、クーラーボックスを見ると空っぽ、何と底の栓を開けたままであった。 朝7時、テンダーに溜まっている水だけで済ます。 昨日入港してきたカタマランは小さい男の子二人を乗せていて、アンカーを降ろすとバウやらキャビン天井やら登り、スピンハリでブランコ遊びまでしている。 ヨットマンは皆同じ考えなので、朝から洗濯をしデッキに干している。 夫婦と子供連れのクルージング生活は、西洋人には結構見かける。 日本でこんなことをしていれば、子供の教育はどうするんだと、周りから言われることだろう。 船から落ちる危険もある。 天気の良い日ばかりでなく、何日も苦労し到着しても、別に旨いものがあるわけでもない。 クルージングと言えば、聞こえはよいが、陸上なら歩いて旅してまわる変わり者といえば、分かりやすいかもしれない。 不自由なクルージング生活をそれでも続ける全く変人揃いである 午前10時、朝から降ったり止んだりの雨なので洗濯物はそのまま雨で洗いなおす。 デッキにスポンジシートを置いて水集めると、見るまにバケツ一杯になる。 このスポンジシートは、プーケットクルージングの時に、ボブさんが持ってきたもので、置いて帰ってくれたので、今回ここまで持ってきたものである。 乗り継ぎの空港でも休むのにも便利なもので、有り難く使わさせて貰っている。 水も100リッター程は溜まり当分心配は無くなった。 すると、2日間船上で流石に食料がなくなってきたので、上陸したい。 ゛お天気の神様、もう雨は十分です。晴れてくださいね。゛ 私という人間は勝手なのである。 6月2日 明日でバヌアツのビザも切れるのでオーストラリア ケアンズに、向け出港することにした。 燃料と水の補給さえ終われば、夕方でもそのまま出ていくつもりである。 距離は1360マイル、途中島はない。 11~12日間位だろうが、天気快復してきたので風は弱まっている。 今のところ、応急処置だがエンジンは問題ない。 天候の穏やかなことを天気の神様に御願いしていこう。 神様もかってな奴と思うだろうが、 6月12日 6月3日午後3時バヌアツ出港、12日午前5時ケアンズ到着。 その間、波高3m 風速15~20ノット 船足平均7ノット。 どういうわけか、環礁(アトール)、グレートバリアリーフ、入港は夜になってしまったが、openCPNのお陰で無事クルージングを終える事が出来た。 次のページ(第144番 嵐山にて)へ