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           第142番 香港からスービック   2013年4月

デイズニーベイマリーナへ

香港は天候が悪く長袖、パッチまで着て来たのに風邪をひいてしまった。

船名ピジョン 35ftフランス製デユフォー オーナーKさんは空港まで出迎えにきてくれた。

このマリーナはセーリングヨットは少なく、殆どがハウスボートである。

香港はアパートが高い事を考えると、税金の要らないハウスボートというのは賢明な選択肢なのかもしれない。

係留費も結構高く、ジャバタンハーバーとは雰囲気は全く違う。

香港の古い友人達に電話連絡し、明日は食事会、何人集まるのだろうか。

ハーバーで準備

先ずは燃料の補給にいく。

船の装備をチェックすると、ジブもメインもファーラーだが、マストの中に巻き込むタイプなので、気をつけなければ噛むと難しい事になる。

エンジンはボルボでベルトが緩み気味なので少しテンションを掛ける。

マリーナの外に出て岸壁の給油所で燃料補給。

Kオーナーは350リットル積み込んでまだ心配顔だが、もう十分だとアドバイス。

昼からはイミグレとカスタム、出港手続きを終え食事会である。

午後5時前、香港島のイミグレに行くも、先に、ポートクリアランスを済ませてから来るようにとの事で、当然である。

事務所に行くまえにKオーナーの話がどうやら、入港時のポートクリアランスをしていない。

とりあえず、事情を聴きに行くと、問題点は2つ。

一つは、入港時にポートクリアランスの手続きをしていない。

二つ目は入港してから180日が過ぎているとの事。

この為、来週月曜日に行って事情の説明と手続きをしなければならない。

出港は月曜日という事になり、フィリッピン到着後フィジーの飛行機が余裕が無くなってきた、

今から心配しても仕方が無いので、明日、明後日と長州島へ行く事にした。

夕食は香港島の友人のレストランで10人程集まる。

久しぶりの再会で近況を訊くが皆何とか商売をしている様子。

特にリリーの日本食堂チェーン「無敵屋」は、繁盛している。

今日は、心配事が出きたり、嬉しい事があったりと忙しい1日であった。


香港日曜日

昼は北京ダックを食べ長州島へ行く。
以前に比べて、観光客の数が随分増えている。
Y御夫婦も店は少し移動したものの、アルバイト学生数人を使って,どら焼きと手巻きすしの商売に忙しそうである。
物理学者の旦那さんは、今は、風力発電と小型エンジンの研究をしているそうである。
島を観光し夜は海鮮料理を食べ、私だけこの島に泊まる。

香港月曜日

朝8:30フェリーで出港手続きにいく。
Kオーナーは入港時、ポートクリアランスをしていないので、Dbayが証明書をFAXする事で一応許可となり、180日の無届香港係留のペナルテイとして、180日間の入港禁止処分で解決した。
そうなると、早速出港準備。
13:30Dbay出港。
少し靄っているが波も静かで順調に航行。
新月近いので星が多く見え、夜光虫がきらきら光っている。
夜になってオイルリグステーションが沢山立っている所を通過。
ここは数マイルワイヤーを海底に張っているので近寄らない。

航行2日目
朝6時夜空が白くなる。
この経度は日本に近くなるので、時計を1時間薦める必要があるだろう。
17:30 夕日が綺麗だ。
波風共穏やか、船足約6.5ノット、エンジンは1800〜2000回転。
Kオーナーは船酔いが続いて食事は殆ど取っていない。

航行3日目
06:00 残り380マイル程だろうか。
相変わらず波高1m以内風殆ど無し。
高気圧に入ったよう。


航行4日目
00:00 月は水面に沈み、星が一段と輝きだす。
南十字星が行き先を示し、波を静かに切りながら夜光虫が煌めく。
突然に流れ星。
360度船は見えない。
素晴らしいナイトセーリングだが、こんなセーリングも珍しい。
天候は相変わらず絶好のコンデイション。
レトルト類食品も少なくなったので、米を炊き味噌汁。


航行5日目
相変わらず波も穏やか、風も穏やか雲もないよい天気である。
私のする事はビールとジントニックを飲み合間に飯を食うだけである。
今夜は半月に近いので月光が海面に伸びる。

航行6日目
午前0時スービック湾の入り口に到着、半月の月あかりで入港開始。
openCPNを信じて事前にチェックしたコース上を走らせる事約2時間、途中ポートコントロールを呼びだし到着を知らせる。
午前2時半スービックマリーナに到着、とりあえず一番外側のポンツーンに舫い無事この航海を終えた。

結局、15日午後1時出港、20日午前2時到着、距離600マイル、航行時間110時間、5.45ノットで、天候も荒れる事なく無事終了した。
長い間航海しているが、今回の様に穏やかなクルージングをした事がない。


フイリッピン、オロンガポ(Olongapo)の町で

スービックは米軍基地のあった所で、道路も舗装されホテル等の施設も立派で値段も高いので、タクシーに乗り検問ゲートを抜けてバスターミナルの町、オロンガポへ。

この町に入ると、人と車の混雑で、エネルギーが感じられる。

フイリッピンに来たなら、サンミゲルビールを飲まなければならないが、食事とサンミゲルの両方ある所がないので、レストランチェーン店に入りお嬢さんに持ち込みビールで食べても良いか訊く。

笑顔の可愛いお嬢さんはコンビニの場所を教えてくれる。

先ずはサンミゲルの缶を3本、チキンシズイング(炒め物)、ビーフン焼きで一息いれる。

ホテルはバスターミナルの前、1000ペソ(約2500円)でチェックイン。

どうも、飲み足らないので再度違う場所に、今度は瓶ビールサンミゲルがあった。

この方が私には馴染みがある。

フイリッピンを遊帆(UFO)でクルージング中は毎日これとラムを飲んだものだ。

ホテルに帰り、長い時間シャワーを浴び、寝て体を休めるのが一番である。

ここでは3時間毎のワッチを気にせず、芯から寝る事ができるのである。


マニラ パサイ(Pasay)へ

オロンガポからバスに乗り、いくつもの峠を越えスピードの出せる道になると時速100Kmは出している。

途中手をあげる人がいれば拾いながら走るのだが、車内は無賃乗車のオバチャンがいて降ろされたり、座席に問題があるのか喧嘩したりと、中々面白い。

昔は英語を喋っていたようだが、最近はタガログ語で喋っているので全く分からない。

途中何カ所か止ってトイレやら飯を食いながらパサイへ約3.5時間。

パサイもマニラ市内なのだろう、ゴミゴミケバケバ人と車の洪水であるが、どこかのんびりしている。

タクシードライバーに宿代の範囲2000ペソ位と言い任せてホテルへ向かう。

結局2600ペソと年金生活ジジイには高額ホテルに泊まる事にした。

早速、近くの食堂でサンミゲルを3本ほど呑む。

どこかのカアチャン犬が私の横に来たので料理を注文しシェアーする。

店の中に入ってきても誰も追い出さないゆるさがいい。


パサイ(Pasay)の朝の風景

鶏の声が夜明けを知らせる頃、町は既に車と人ともフルに動きだす。

オートバイ三輪車タクシーは高級な方で、自転車三輪車タクシーが人々の足である。

交差点では、ジプニー(乗合バス)が警笛を鳴らし、暇な人力自転車ドライバーが手をふって交通整理というか、交通の邪魔と言う方が良いかもしれない事をしている。

路地に椅子を出しカアチャンは洗濯をし、暇なトウチャンはビールを呑んでいる。

子供は裸足でも逞しく遊んでいる。

ストリートチルドレンも、相変わらず沢山いるので小銭はポケットにいれてある。

人が食べるのも難しそうなこの町で犬もそれなりに生きている。

犬を比べてみても、日本とフイリッピン、生まれおちた場所で幸、不幸がある。

フイリッピンはキリストカソリック教が大多数で、店に入ると神棚はキリストの像が祭られているが、この国には神様はいるのだろうかと、神様とあまり相性の良くない私は思うのである。

今フイリッピンは選挙期間らしく、運動員がパンフレットを愛想笑顔で渡しているが、この人々とあまりにもかけ離れ過ぎている。

盥の中の水が荒れると、そこに浮かんでいる小舟ほど波に飲み込まれやすい。

それでも、生きる事に逞しく、笑顔で明るそうに見えるのは私が旅人故だろうか。

写真左:派手な乗合バスジプニー
中:路地でカアチャンが女の子を洗っている。
右:自転車三輪車タクシーに選挙ポスターとおどけてくれるドライバー

  


オーストラリア シドニー

マニラから約4時間半、オーストラリアのダーウイン到着、入国手続きを終えた後、中々持ち込み品のチェックが厳しい。

勿論何もないので問題ないが、ヨットで入港時は船内にある食糧については判断が難しいだろう。

ダーウインの時差はマニラから半時間早めるという中途半端なものであった。

ここで国内線に乗り換え4時間半シドニーへ。

早朝到着、空港内でインターネットにつなぎ町の様子を調べる。

両替をするが日本円のレートが悪く1AUD=120円程になっている。

空港から市内にいく電車は2階建てのお洒落なものでセントラル駅で降り、ハイドパークの中を通る。

小さな子供達は公園の大きな木でかくれんぼをして遊び、くちばしの長い鳥が、鳩とかもめに混じって沢山いる。

芝生に座って、朝飯を食べているお嬢さんに何と言う名前か訊くと、Ibis と書いてくれた。

セントラルシテイのAUD100程のホテルにチェックインし、市内シャットルバスでオペラハウスへ向かう途中、酒屋があったので、オーストラリアビールの一番旨いのはどれか?とオニイチャンにきくと、4種類程出してきた。

そのうちの1本を選び値段はAUD5(約600円?)無茶高い、これは問題である。

シャットルバスで海の臭いがする所で降りると、オペラハウスの湾内には5隻ほどセールを張ったヨットが浮かんでいる。

背の高い一輪車に乗ってお手玉をする大道芸を広場やったり、フルートの演奏をしたりと中々面白い。

折角、海のそばまで来たのだから、記念にビールとサンドウイッチ系の物を頼むが、量がすごい。

オーストラリアの若い女性でも、これを平気で食べているのには驚く。

量も驚くが、値段にはもっと驚く。

サンミゲルビールに比べて約8〜10倍もする。

これは、年金暮らしの私にはとても生活できる場所ではないと、思うのであった。

明日、早々に逃げ出す事に、、、

写真左:オペラハウス
中:湾に掛かる橋
右:Ibisという名の嘴が長い鳥

  


シドニー空港にて

シドニーと日本は時差は1時間早い。
シテイトレインでインターナショナル空港に着いた私はジェットスターカウンターへ。
カウンターチェックインのお嬢さん、
「フイジーは次の出国チケットを持っていないと入国が認められませんので、チケットを買い、フイジーでキャンセルしてください。勿論キャンセル料は頂きますが。」
だって。。。
ヨットで出国の場合でも、フイジー政府発行のドキュメントがいるとの事。
呑気モンのオーナーめ!
昨日のメールでさえ何も言ってなかったな。。
多分、彼もこの事を知らないんだろう。
フイリッピンでも同じで、ヨットを係留中、私はマニラー香港の正規料金チケットを持っていたものだ。
ここーオーストラリアはどんな小さな物でもクレジットカードが使えるので、普段使わないクレジイットカードの大活躍である。
さて、4時間後にはフイジーだが、何が起こるやら。。。


フイジー1日目

フイジー空港到着時、イミグレで揉めるも30分程で解放される。
ヨットでこの地から出るのにも色々と煩そうである。
オーナーは前回、片道チケットで入国し3時間絞られ、普通は4カ月の所を2週間の滞在許可しかもらえなかったそうである。
先ずは電気系統からチェック。
テスターで測りながら電圧を調べたり、エンジンを掛けてバッテリー側の電圧を測ったり、14.7Vあり、充電はしているようである。
オーナーは新しいオルタネーター(充電容量の多い)を交換したとの事だが、エンジンに負荷がかからないか心配である。
次に、チェーン50mを買ったのでテンダーで取りに行き、アンカーロッカーにセットする。
明日、オルタネーターの取り付け金具が手に入れば、近くの島(Malolo島)て、テストクルージングに出る。


フイジー2日目

エンジンのメンテナンス(エンジンオイル、フイルター)交換、電気系統修理と、まだ出港できる状態にはならない。
風は殆ど無く、機走が主となるだろう。
未だ、町にも行っていないのだが、マリーナの横のリゾート見学がてら散歩をする。
自動車が少ないというより、ほとんど走っていないので静かだ。
リゾートも大まかで商売になっていないような。
ここは周りの小島の方が良さそうだが、観光客用リゾートだけ特別開発されていて、住民の生活はのんびりしているようである。
物価は決して安くない。
午後、初めての雷と雨がやってくる。
ペナンと同じく、30分程であがる。
やっと、エンジンは何とかなったので、明日早朝近くの島にクルージングをする。
メイン、ジブセールを開いて、リーフを調べる事にする。
昼は、ハーバーのレストランでピザとビール。
やはりここも、1人前は日本の2人前ある。

インターネット接続に問題あり、お返事できませんが悪しからず。

写真左:今回乗る38ftラグーンカタマラン
右:上架は土を掘ってタイやの上に載せているがハリケーンの多いこの辺りではこの方が安全かもしれない。


フイジー3日目

Vuda マリーナを出て、2時間位、エンジン、セールの点検をし、マロロン島にアンカーを降ろす。
早速、オーナーと二人ハルの貝落としに潜る。
疲れて一眠りし、上陸しリゾートのスパーマーケットに買い物に行く。
フイジーに観光に来た客は、多分この島にずっといるという過ごし方になるだろう。
現地人の村とは離れていて、フイジー観光は作られたリゾートの食事ともてなしで満足して帰るという、何をしにフイジーまで来たのだろうかと私などは思うのである。
私は、上陸したついでに、トニックウオーターと果物とビールを買い込む。


フイジー4日目

マロロン島のスーパーマーケットに買い物に行く。
野菜は青物が少なく、根菜類が多く殆どが輸入食品である。
船の電気系統をチェックした結果、冷蔵庫が大量に電気を消費しバッテリーに問題を起こしているのだろうと推測し陸電が使えない時は1日1時間位エンジンを回して充電しながら使うように言う。
メインハリヤードも長すぎるので調整し、シングルハンドで降ろす為にワンポイントリーフした時の位置にマークをつける。
さらに問題はメイントラベラーがダビッド取り付けの為、左右に動かす事が出来ないので、外側にもう一本メインシートをクリートに付け替えられるようにして2本で調整できるように変更した。
これで、明日アンカーを揚げる時に、エンジン回転を揚げ充電しながらウインドラスを揚げて、バッテリーに異常がなければ、まあまあ問題ないだろう。
朝、島に再度上陸し丘の上に登るとフイジーの海と島を見渡せる。
島は椰子もあまり生えていなくてなだらかな斜面に草が生えている。
リゾートのスーパーマーケットへいき、食糧を仕入れ、ビールと芋の粉を薄く焼いて中にカレー風味のポテトが入った現地風朝飯を食べる。
船に帰り、アンカーを揚げるも正常にウインドラスは動き、バッテリーも以上の無いのを確認。
昼前、移動をし潮が引いて砂浜になっている所で再度アンカーを降ろし、船底掃除。
これで、出港準備完了なので、食糧仕入れと、ポートクリアランス、イミグレ、カスタムの手続きの為にラウトカの町へ向かいアンカーを降ろす。
ポート側のビルジポンプが時々作動するのでチェックするとキール付近から僅かながら海水が染み出している。
明日、どれ位の水量か判断し、ここで上架し修理するか、オーストラリアで修理するかを決めることにした。

写真左:マロロン島の丘の上から見る風景
中:慕情が丘で待ってる私
右:のんびり号


フイジー

朝風が強いので、アンカーチェーン30mを50m一杯まで伸ばして、上陸しスーパーマーケットに買い物に行く。
1kmもない位の所が町の中心で市場とスーパーマーケット、雑貨屋が並び、人々が歩いている。
大きな市場に入ると個人で持寄りで店を開いているようで、殆ど同じ種類の同じ値段で売られている。
サツマイモ、オクラ、キュウリ、ニンニク、トマト、豆等を買う。
出た所はミートショップでベーコンを仕入れる。
スーパーマーケットは鰯のトマト煮缶詰。ロングライフ牛乳にコーンフレーク、後はトニックウオーター等、これでバヌアツポートビラまで5〜6日間程充分であろう。
昼飯は、現地食堂で自分で料理を注文するスタイルの店に入る。
タロイモ、ビーフ煮込み、酢豚風、ウツボ煮込み、焼きそば等を食べてみる。
フイジーの男の子(8歳位)は、大きなソーセージ2本とフライドポテト、隣の10歳位のオニイチャンも焼きそばに飯と小さい体でも、しっかりと食べている。
ニコニコし、目が綺麗な可愛い子供達である。
船に帰ろうとすると、風雨が強く、テンダーでビショビショになりながら近づくと、何とアンカーが滑っている。
早速、チェーンを巻きあげながら、深い所に移動し再度打ち直す。
50m出してまだ滑るとは、今後、アンカー本体の癖をもう少し掴まないと問題だ。
又、アンカーチェーンにロープを継ぎ足して置く必要がありそうだ。


フイジー出港前日

テストセーリングも終わり、税関、イミグレに申告に行く。
何だかんだと引き延ばし、申告をしたら直ぐに出港しなければならない等と文句をつけられる。
明日、出港ならマリーナまで出張するからタクシー代を出すかとの事、こちらは「な〜るほど」と納得、これが問題で、OKと言うとニコニコし問題なくなったのである。
タクシー代というのは約3000円程のようである。
これで、明日9時バヌアツに向けて出港だが、南国特有の黒雲が来ると風速30ノットを超えるので、早めにリーフとジブを巻きこんでおかなければならない。
約1週間、シングルハンドの航海の始まりである。
出来れば好天を望む。


5月1日 フイジー時間午前9時 Vuda Marina 出港。
バヌアツ、ポートビラ到着予定 5日

出港日(5月1日)

9:00 税関とイミグレ職員がやってきて手続き始め、イミグレは簡単に終わるが、職員のミスで書類を忘れたとの事、ハーバー事務所にFaxして貰うからまってくれとの事である。

10:00 全て手続きが終わり、舫ロープを外そうとすると、レストランとハーバースタッフ全員10人ほどが整列し、ギターを弾きながら手拍子で別れの歌を歌ってくれる。

私は腰をふりフラダンス風踊りで答える事にした。 

風速20ノット風向210度 フイジーの島にはリーフがあり、入出港航路は限られていて、風に向かっていかなければならない。

17:00 島の周りのリーフの切れ目、幅500m位の所を抜けると、バヌアツまで270度一直線である。

波高3〜4m 風速20ノット 風向220度 最初の夜である。

音楽は美空ひばり 港町13番地

2日

06:15 17-45-685S 176-13-745E

風速15ノット 風向220度 波高3m 目的地270度 天候曇り

ジブを出し艇速5ノット。

朝食 キュウリ トマト 野菜サンドウイッチに豆乳。

11:00 エンジン全て切り、フルセール 艇速6ノット。うねりはあるものの風速15ノット。晴れ。

17:00 ニンニク、キャベツ、ベーコン炒めにご飯を炊くがフイジーのガスタンクは火力が弱いのか旨く出来ない。

19:00 ナビ機器とオートパイロット、航海灯だけ電源を入れる。

月はまだ出てこないので満天の星。

見渡す限り私だけの世界である。

音楽はテレサテン夜来香。

3日

06:00 ポートビラまで345マイル、到着予定5日18:00頃となるだろう。

海象殆ど変わらず、東の空が明るくなりかけている。

09:00 バッテリー充電の為、ポートエンジンアイドリングもソーラーパネルが効いてきたようなのでエンジンオフ。

フルセールに切り替え、風向はアビーム、風力15〜17ノット 艇速6.5〜7ノット。

メイントラベラーがソーラパネル取り付け金具ミスの為、動かせないので臨時にメインシート2本でコントロールしているが、風が強いとトラベラーで左右に振る方がリスクが少ないので、ポートビラに到着したら修理する必要がある。

この船はフルバテンメインセールのカタマランの為に殆どトラベラーで先にコントロールするのが安全である。

船内にある材料で今日のお料理はカレー風味ベーコンじゃがをつくる。

ジントニックはトニックが残1本の為、明日に残す。

ビールは既に無い。

物価の安い、マレーシア、フイリッピン、タイが恋しいが、バヌアツはどうだろう?

バヌアツビールなんて聞いた事がないから、輸入とするとやはり高いだろうな。

音楽はピアノジャズ Over the rainbow


4日

06:30 太陽が海面に顔を出すがオレンジ色である。

海の色はネービーブルーで夜光虫は光らない。

昨日から、風の弱い海域に入ったらしくフルセールにし、スタボーエンジン1800回転で艇速5ノット。

朝は、サンドウイッチ。

ポリネシア人はこの海域をカヌーで渡ったというが、その航海技術と勇気には脱帽である。

今、GPS,オートパイロット、エンジン付きのヨットで簡単に渡れるが、昔のセーリングカヌーに乗り小さな目的の島へ行くことの難しさは語りつくす事ができない。

想像するに緯度だけは星の高さを見て分かりやすいので、そこを起点に東か西かという航海方法でなかったろうか。

しかも、到着しても食料、水さえあるかないかという情報さえない時代の事である。

12:00 無風地帯に入ったようで、うねりだけがある。

暇なので、ニンニクの皮をむき、オリーブオイルで炒めて保存し、料理に使えるようにする。

冷蔵庫の電源は切ってある為、残りベーコンをカリカリに炒めて保存する。

このオーブンの火力さえ上がれば、何でも作れるのだが、鍋半分の水を沸かすのに30分掛かり、かつ沸騰しないのである。

この為、米を炊いてもふやけた状態になり美味しくない。

芋類の蒸物しか料理出来ない困りものである。

ポートビラでカセットコンロを買えればラッキーだが、、、

16:00 コンロの点検を始める。

ガスの出口を探すと中央に小さな穴があるので、針で通して掃除、周りの鉄もワイヤーブラシで掃除。

これで、火力が回復するのではと思い、米を洗い、水きり、水漬け後、火をつける。

今までは15分掛かっても沸いてこなかったのが、5分で吹きだし、これで生米風ご飯を食べなくても良くなるだろう。

21:00 最後のトニックウオーターをジンで割り、ライムをたっぷり入れ、満天の星空には音楽である。

音楽は大人のラブソング、ラテン系のエンゲルバートとフリオイグレシアスがぴったりだ

ゆっくりと盃を傾けムードは最高、なのに何故にひとりなんや?

5日目

06:30 夜明、天候は崩れるとよみ、又、残り90マイル程となった。

本日入港は日曜日の為、イミグレ、税関職員はいないので、明日の朝が望ましい。

その為、2ポイントリーフとジブセール、ポート側エンジン充電の為アイドリング。

風速20ノット アビーム、波高2〜3m 艇速7ノット。

コンロは火力が上がり米も旨く炊けたが、朝食はパンにしよう。

10:30 いるかとも出逢わず、トビウオだけがこの船に驚いたように慌てて飛んで逃げ、波に突っ込んでいく。

いつも思うのだが、人間と反対に、空中にいる時は息を止めて飛んでいるのだろうか。

18:30 島影が見え残り35マイル位、ゆっくりと進んで夜明けを待つ積りである。

夕食はポテトサラダを主食に、ラムを舐めるようにしてのむ。

この航海最後の外海での夜である。

この船の癖も随分と分かったが、クルージングするには帆走も良く走るし、セールの上げ下ろし、リーフ等操作が簡単である。

バースも大きく、居住性も良い。

6日目

02:00 ポートビラの港湾の最初の燈台の南10マイル付近まで近づく。

日の出が6時30分である為、ゆっくりと近づいていく。

湾内の北にアンカーを降ろし無事到着である。


バヌアツ風景

1日目

ヨットの入国についてだが、湾内至る所珊瑚礁があり注意が必要で、アンカーを降ろすと、テンダーで上陸し湾内の北のイミグレで手続きをするが手数料4800VT(約5000円)がいる。

カスタム、ポートクリアランスは湾内の東、大型客船が止る所に事務所がある。

ここも、移動するときにはクルージングビザが必要で申告に行かなければならない。

検疫は、持ち込み生鮮食材は全て没収していき、おまけにカスタムと検疫に各3000VT(10000円=823VT)がいるとの事。

ヨットワールドと言う湾内奥に舫いブイを取ると、カタマランで2000VT(2,200円)/日と、係留費は高額である。

ここもフイジーと同じくレストランで食事は最低1品単価1500円と物価高に驚くばかりだ。

南太平洋は私の様な貧乏ヨットマンにはとんでもない所である。

夜になり、食料品がないので市場に行くと、市場内にオバチャンの手料理バヌアツ屋台村があり、そこで食べる。

蠅もこの時とばかりに、わんさかやってくるので、追っ払うのも面倒くさく一緒にシェアーして食べる。

    


2日目

朝、ポートエンジンVベルトの緩みを直しエンジンのテスト。

海水で真っ裸で洗い、頭、顔一緒にシェービング、後、真水タオルで拭くとさっぱりする。

この辺りの海水も塩分が薄いし、何と言ってもクリアーで温度も丁度良い。

岸から離れた所にアンカーを降ろしたので、蚊も来ないし、振れ回しで風が入って昨夜は寒かったほどである。

真水タンクも150リッター以上あるし、電気も必要ないからヨットワールドハーバーに入らず、無料のここで生活する事にした。

上架して修理と船底塗装は、交渉に行ってきた。

13日から14日間で全て終える予定であり、その間ヨット上で生活する事になるが、昼からカバ(地元の酒)が飲めるそうで楽しみである。

初日税関に行く時にタクシーから見たスーパーマーケットがあったので、テンダーで上陸を試みるが上がる場所が分らない。

家を建てている職人がいたので、訊くと一緒に乗って案内してくれた。

バヌアツの人は、見かけはチョット危なそうだが、中々親切な人が多い。

スーパーマーケットはチーズ、ワイン、惣菜が旨そうなものが売っている。

値段は高めだが、これなら結構な暮らしができそうである。

勿論缶ビールにワイン、ジン、トニックウオーター、アイスクリームにピザと天ぷら、ゴーダチーズを買い帰りのテンダーをゆっくり走らせ、風に吹かれながらビールとピザを食べると最高であった。

案内人の職人にはビールを一缶放り投げて渡し、乾杯!


3日目
市場に行き、アボガドを買うが、日本で売られている3倍はある。

市場の屋台のオバチャンかオネエチャンかバヌアツ人を見慣れていないせいで分からないが、ミルクテイを注文し飲むが大きなカップに一杯入って100VTである。。

「バヌアツの女性は体格がいいね。」

と、遠慮気味に訊くと、笑いながら

「そう、良く食べているから太るのよ。」

と、素直に太っている事をいう。

服装は頭からかぶって締める所の無い、アロハ服とでもいうのだろうか、体型は分からないが胴周りも私の2倍は有りそうな立派
な体格である。

日本の若い女性の様にダイエット等と言う事は考えていない様で、自然でいいじゃないか。

屋台は沢山あるのだが、どこが旨いかしっかりと訊いておいた。

タロイモの料理の仕方も教えてくれる。

夜は船で、スーパーで買ってきた惣菜(ビーフとマメとニンジンなど野菜を薄い何かの皮で包んだものを主食に、ブルーチーズとアボガドを舐めながら赤ワインを飲む。

アボガドは完熟の為バターの様な食感で少し塩分の多いブルーチーズとあい旨い。

午後7時になり、日が沈むと殆どの店は閉まり、歩いている人もいなくなる健康的な町である。

波は入ってこない、蚊も蠅の来ない、適当に風が入ってくる、最高のアンカーリングだ。

BGMは力強い歌手セリーヌデイオン ”I am alive”.


4日目
お昼頃、洗濯もたまった事だし、船で水を使うのも限られているので、町の洗濯屋さんを探す。

イージイウオッシュという洗濯屋さんは、洗濯機5台ほどと乾燥機を設備しオバチャンが洗濯を受けてくれる。

「乾燥なしの洗濯だけなら5Kgまでは650VTよ、1時間程で取りにいらっしゃい。」

バヌアツのオバチャンも見慣れてくると、愛嬌が合って良い。

その間に、市場のオバチャンの手料理を食べに行く。

今日はオムレツに水牛肉と芋の煮込みとご飯を注文、結構うまい。

屋台料理屋のオバチャンの事は、結婚してないけれど子供が3人と言う事まで分った。

南国はどこでも女性が逞しいのである。

横の広場では歌を歌い周りには大勢が芝生に座りこんで眺めている。

ペナンでもよく遊んでいるペタングとかいう、鉄球を使ったラムネ玉みたいな遊びを何組かでしている。

これはイギリス系の遊びの様で、京都の家の前の老人ホームでもやっていた。

夜は船でワインとサラミソーセージ、イタリアンハーブチーズとブルーチーズが夕飯である。

バウネットで町の明かりをネオンサイン代わり、風を受けながらワインを飲む、幸せである。

インターネットカフェでインターネット接続しているが、料金が馬鹿高いので、マクドナルドもKFC、スターバックスを探すが無い。

世界中何処に行ってもありそうだが、ここポートビラに無いのは良いような不便なような、、、

    


5日目

朝食は味噌汁とダシ巻き。
風が強く雨が降る。
10時に対岸1Km離れた所のシップヤードでメイントラベラーを邪魔しているソーラーパネルのステンレスパイプを切って貰いに行かねばならない。
テンダーで行くとびしょぬれになるので、NONBIRIのアンカーを揚げ動かす事にした。
240V電源があればグラインダーで5分も掛からず切れるのだが、携帯用発電機を他所から借りてテンダーに積みこみカットする事にした。
遊帆(UFO)なら電動工具一揃えにホンダ発電機900Wもあるのだが、この船には電気ドリルもない。
天気の回復しそうな昼からという事にして、昼飯はフランスパンにキュウリ、トマト、サラミソーセージにアボガドをマヨネーズと黒コショウで練った物を挟んで食べながら、フイジービールを飲む。
シップヤードのオーナーは南アフリカ人(イギリス系?)で、バヌアツのクルージング事情も聞いた。
パソコン故障で7月帰国時まで更新できなくなった。

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