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          97番 ペナン雑記帳      2009年

1月始め ペナンの空は薄い青色で高い所に所々筋雲と鱗雲があり、太陽が照りつけている。
   夕方になると、ラジコン飛行機、ヘリコプターを持って数人がマイロードの空き地に集まってくる。
   最近はモーターも電池も軽量、ハイパワーになっているので性能が良い。
   私も小学生の頃、竹とバルサ板とゴムで模型飛行機を作り飛ばしたものである。
   模型飛行機大会が各地で行われていて、飛行成績がよく東京まで行きご褒美に本物のヘリコプターに乗せてもらった記憶がある。
   ヘリコプターの操縦席は前面、足元が透けて見えるので、上空に飛び上った時に怖かった思い出がある。
   空を飛んでみたいという欲望はその後も捨てられず、伊吹山のハングライダー、ニールのパラグライダーと、機会がありながら
   実際に飛ぶことはなかった。
   ペナンにも白頭鷲が飛んでいて、夕方時々見つけるのだが、10分だけ私と鷲が交替できたらなと思うのである。
   最近気がついたのだが、ペナンは日本の様に電信棒が立っていないのである。
   その為、町はすっきりしていて美しく見える。
   所が、朝の散歩コースの海岸までのマイロードは若者のデートスポットになって、日が暮れると沢山の人が集まる。
   人が集まると、屋台が並ぶ。
   屋台が並ぶと、食べ残し、プラスチック等ゴミが一杯、海岸と道路に散乱する。
   朝になると、カラスが食べ残しを食い散らかしにくるのと、競争でゴミを集める人がいる。
   何故、ゴミ箱を設置しないのか不思議に思うのである。

   左の上の奥歯が欠けて気になっていたが、ペナンの歯医者に掛ることにした。
   病院は5人の先生がいて、治療室は明るく清潔で、医者は丁寧に応対してくれる。
   全ての歯を検査して洗浄後、どんな治療をするか説明してくれる。
   1回の治療で終わり、160RM(4500円)であった。
   勿論、社会保険、国民健康保険などは無く実費である。
   もう一つ高血圧の治療の医者は診察代は無しで、薬代だけ請求される(1か月分1500円)。
   そのうち、一度入院をしてみたいと考えている。

   1月26日から、旧正月で中華系は飾り付けを始めている。
   ジャスコも行燈を垂らしたり、正月用お菓子等も並び始めているが客足はさっぱりである。
   中央イベントホールで中華民族芸能の看板をあげて、オジサンが中国帽子をかぶり、両手に竹でできたカスタネットを
   リズミカルに鳴らし、今度は太鼓と銅鑼の紐に持ち替えて、歌を歌いながら紙芝居を箱の穴から子供たちに5RMで見せている。
   紙芝居は10枚位を引き上げながら場面を展開していく。
   ニコニコ顔できっと面白おかしく話をしているのであろう。
   日本では紙芝居と飴細工はセットになっていたが、ここでは別のコーナーでいろんな形の飴細工を売っている。
   
   このオジサン一人で歌、ドラ、太鼓、竹カスタネット、話全てやるのである。

   
   マレーシアは多民族、多宗教国家の為か、ベリーダンスを踊っている。
   

   マイロードから海岸までゴミが散乱している事は書いたが、朝の散歩のときにマレー系の20代の若者が2人でそのゴミを
   拾い集めているのを何度か見かける。
   近づいて話を聞いてみると、ボランテイアらしい。
   ”あんたら えらい。頑張ってな。”
   私も、散歩のついでにゴミ拾いをしようと思うのであった。

   ハーバーの浚渫作業をどうやら本気で始めるらしい。
   ポンツーン北側の船をみんなで押したり引いたりして移動させる。
   クレーン船で海底の泥を掬いあげてはしけ船に乗せる。
   灰色の泥がプラスチックと一緒に揚がってくる。
   6m程掘るとクレーン船は少し移動して又掘っていく。
   このハーバーは波除も防波堤もないので、海底の泥は潮流で流れ込んでくるので何処までやるのか見ものである。
   この様な人間の騒々しさに閉口したのか、体長1.5mほどのトカゲが後ろ手でスイスイと泳いで浜辺の方へ引っ越ししていた。
   トカゲは表情と仕種がどこか人間臭いのである。
    
   後ろ手に組んで、こちらを睨みながら泳いでいく。
   
   久しぶりに日本のニュースサイトを見ていて、”対馬が危ない。立法措置が不可欠”“議員視察で高まる機運”
   等とセンセーショナルなタイトルがあった。
   詳細を読んでみると、対馬不動産を韓国資本が買い占めているのを取り上げているのである。
   旧日本海軍の軍事施設であるとかいう理由をつけて問題視しているが、時代遅れな、ピントのずれた何ともお粗末な話である。
   ”軍港として使用可能で。。。”今時、そんな所に軍港をつくれるはずもなく、唯知らない人を不安にし、
   危機感を植え付け、さも正論のように思わせる、政治屋の従来ある手口である。
   いつか日本が戦争に突っ込んでいったのも、政治屋と新聞屋のこの手口によってである。
   何年か前、日本の資本がアメリカの有名ビルを買収した時も同じようなイチャモンをアメリカでつけていたようだが、
   何でもアメリカに倣っての今回の問題視らしい。
   日本政治屋の頭の程度の低さといい、品のなさ、世界の動きが見えない井の中の蛙というか、全くお粗末な限りである。
   日本国民は教育も進み立派な人も大勢いるのに、何故日本政治屋は世界政治家と比べるべくもない、恥ずかしい人間ばかりなのか。
   奇しくもオバマ大統領の就任演説の日である。
   良くも悪くも世界中の人に注目されるような日本政治家はいる筈である。
   立派な日本国民をバックにしているのだから、世界に貢献し、政界中の人々から称賛されるような政治家になれる
   近い位置にいるのである。
   せめて日本国民から称賛される国民の為の歴史的政治家が出てきてほしいものである。
   海外から日本を眺めてみると、日本は未だ鎖国の徳川幕府が続いているようである。
   老中、若年寄等は霞が関官僚に変わっただけで、徳川、明治、大正、昭和、平成と同じ政治体制のままである。
   明治維新も武士支配階級の入れ替えだけで、革命ではないのである。
   私が学校で習った民主主義はヨーロッパの様に人民が起こした革命であって、日本の場合は封建主義が言い過ぎなら
   社会主義というものである。
   いつもお上から”今度の政治体制はこれで行きますからね”、という具合に知らしめ、行われてきたものである。
   日本だけが世界の流れから取り残されていくようである。
   現代世界一を誇る日本製品も実は非常に特殊化すぎている。
   より付加価値の高いものを作る為に、いつの間にか無駄なものをつけコスト高になって、後発グループの製品に
   負けるという事になりそうである。
   アジアで走っている自動車は日本の様に5年で乗り換えというわけではないので、未だに修理工場で直しながら使っている。
   今の日本車は修理は全部ユニット交換ということらしいが、ここでは純正部品でなくても使わなくてはならないので
   シンプルな方が良いのかも知れない。
   アジアでは自動車本来の目的(移動手段)が満たされれば必要十分な所があり、購入選択肢が日本とずれているのである。
  
   マイロードのゴミ散乱は前回書いたが、何度も清掃職員にゴミ箱設置するように話していたが、まさか私の要求が
   清掃局の偉いサンに届いたわけではないだろうが、とに角なかなか洒落たゴミ箱を設置してくれたのである。
   散歩しながらのゴミ拾いも今では散歩に行く動機となって、休まず毎日散歩するようになった。
   ゴミ箱の話では、インドネシアのトバ湖の事を思い出した。
   トバ湖は私の好きな所であるが、ここも最近ゴミが増えゴミ箱設置に日本のボランテイアが寄付を集めて設置していたようである。
   日本ではゴミにお金を払うのが常識となったのをみると、その国の文化、社会道徳のバロメーターとなるのかも知れない。
   最近嬉しいことの一つに円高、マレーシアリンギット安で随分と生活資金が割安に成った事である。
   円を交換して生活している私には去年の今頃から40%、去年の10月から比べると30%のアップの使える値打ちなのである。
   今日も大西さんとの話で、
   “円高で不景気は、お金の値打ちは上がるし、物価は下がるし、我々にはなかなかええな”
   ”今月は月6万円の生活費が余るわ。”
   等と話をしていた。
   消費税もかからないし、税金も払っていないのでゴミ拾いはペナンに体で恩返しと思っているのである。
   
   ここが現在行きどまりになっているので、今まで誰も来なかったのが、最近はビーチがデートスポットとなり、月曜日の朝はゴミが散乱するのである。
   青いポストの様なゴミ箱はなかなか洒落ている。

   明日は旧正月で中華系の店はどこもお休みになる。
   朝6時半、サムとユキ夫婦、私で中華系市場に今日のスチームボートの食材買出しに行く。
   ここは日本でいうとアメ横みたいなものだろうか、この時間で人気のローストポークは売り切れで沢山並んでいた客は不平を言うが無いものは仕方が無い。
   我々は海老とイカ、ラプラプ(斑点のある高級魚)、おでん、野菜を買う。
   勿論、朝飯も市場の屋台で食べるが、安くて味は抜群である。
   午後3時頃、海老とイカは掃除して、ラプラプの頭を小麦粉をつけて揚げて出汁を作る。
   6時頃、大西さんを迎えに行く、7時頃から桟橋にテーブルを作り、旧正月忘年会の始まりである。
   黄さん、李さん組は饅頭(豚 牛ミンチ)を作り、ユキ組は豚肉のトウロンポウを作っている。
   一度フライにした魚の頭での出汁は魚の臭みは無く中々いける味である。
   大西さんは李さんと酒のやり取りに忙しい。
   私の隣のロンも出てきたので、捕まえて仲間に入れてしまう。
   男連中は何でも理由をつけて酒飲みパーテイを開くのが楽しみなのである。
   ここの小さいハーバーでは船が入れ替わることも少なく、長屋の雰囲気である。

   長屋の雰囲気のこのハーバーに最近ギクシャクした風が漂うようになった。
   というのも、繋留している船でインターネットを使う船から年間120RMを集めて共同ルーター1台を設置し、
   各自ワイヤレスアンテナでインターネットに接続している現状である。
   所がメンバーの数人がP2P等を使って映像ファイル等をダウンロードすると、それだけで回線容量を独占してしまい
   他のメンバーが接続しようとしてもスピードが遅くなったりパンクしたりして不平不満が出てくるのである。
   みんなで集まって良い案は無いかと考えるのであるが、各自事情があってなかなかまとまらないのである。
   もう1回線増やしてルーターを増設できれば1歩程解決するのだが、ハーバーのお偉いさんが
   ”このハーバーは公共の使用目的のみ許可されるのであって、1回線以上増やせない”
   という、どこかの国の官僚と同じことを言うのである。。
   結局、いまあるルーターを使ってP2Pなどをブロックするという事になりそうである。
   人は便利な生活になるとより以上の事を望むのも仕方のないことである。
   私は遊帆(UFO)と同じく吹く風まかせである。
  
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